#創作大賞2026 #エンタメ原作部門 納豆チャンピオンへの道 第12章|How To Make Natto-Champion|世界新記録と行灯に隠された『激レア納豆』
後半戦になり、僕が選んだ問題は「ノンセクションA」の20だった。
「次の問題は、納豆をかき混ぜ、納豆の糸をどこまで伸ばせるか、長さを競ってもらいます!」
「えーーっ?!」
まるで小学校の運動会みたいな競技に、3人とも唖然とした。
そして順番はジャンケンによって決められ、一番手は三井田さん、二番手は高野さん、そして最後は僕となった。
そして使う納豆は水戸のだるま食品の藁苞納豆だった。
先頭バッターの三井田さんはその納豆を小鉢に乗せ換えた。
「それでは三井田さん、スタートしてください!」
三井田さんは納豆を10回程度かき混ぜて、小鉢をテーブル上のスタートラインに置いてから、箸で納豆を掬い、横移動を始めた。
納豆の糸はかき混ぜる回数が少ないと粘りが強くなる傾向があるので、三井田さんは王道の作戦に出た。
しかし、途中で箸から納豆が零れ落ちた。
「アチャー!ヤッチマッタ!!」
三井田さんには珍しく舌を出して、頭を搔いた。
スタッフがスタート地点から納豆が落ちた場所までの距離を測り、ジモンさんにメモを渡した。
「ただ今の競技、三井田さんの結果は…21.5cm!」
三井田さんはガクッと項垂れ、ステージから降りると、高野さんがステージに上がった。
「続いて高野さん!どうぞ!」
高野さんは三井田さんより多く40回程度かき混ぜ、箸で納豆を摘まみ、スタートした。
すると、三井田さんの記録を軽々と超え、納豆の糸が2m以上伸ばしたところで、糸が途中で切れた。
「おーっと!糸が切れた場所はどこだ?!」
と、ジモンさんがテーブルに近づき、スタート地点から納豆の糸を辿った。
「切れたのは、ここですね!」
と、ジモンさんが糸の端を指すと、スタッフが測定した。
「ただ今の高野さんの測定値は…1m56cm!!
お見事!」
三井田さんより約8倍長い記録に、高野さんはガッツポーズを見せた。
そして最後に僕がステージにあがった。
「それでは、現在トップの蒲生さん!お願いします!」
三井田さんの10回は粘りは強いが糸が太すぎて伸びなかった。高野さんの40回は糸は伸びるが、細すぎて切れやすい。
それなら、その中間――粘りと伸縮性のバランスが最も極まる『20回』がベストだ!
僕は20回かき混ぜてから、納豆を箸で持ち上げ、スタートした。
すると1m過ぎで、糸の塊がテーブルに落ちた。
「おーっと、蒲生さん!ここまでか?!」
「それ、納豆じゃないですよね?」
と、すぐにチャレンジを申し出た。
「んーーー?!、これは糸!
納豆の粒ではないですね!」
するとディレクターの指示をスタッフがジモンさんに耳打ちした。
「糸はセーフです!」
判定が出る間もゆっくりと糸を伸ばし続け、高野さんの記録した地点を超えた。
あとで聞いた説明では、納豆の『粒』が落ちたらアウトだが、純粋な『糸』が垂れ下がってテーブルに触れるのは、切れていない限り有効、と今度はまるで三段跳びみたいに『ルールの解釈』が変更になったらしい。
「なんと!高野さんの記録を超えたか?」
「カッカッカッカ!」
ジモンさんの実況に僕は思わず、高笑いしてしまった。
そして長テーブル3台分の端の手前で、納豆を落とした。
途中で切れて、記録が短くなるのを防ぐ作戦だった。
「結果は2m64cmで、世界新記録!!
この勝負!蒲生さんがダントツで勝利!」
「やったー!」
僕は両手を挙げてガッツポーズした。
4問連取して波に乗ってきた。
続いて選択したのは「映像・音」の20だった。
するとスタッフが行灯を持ってきた。
「この行灯に写った納豆のシルエットを見て、
どこのメーカーの何という商品かを当ててください。
よーい、スタート!」
すると行灯が点灯し、バナナ状のシルエットがゆっくり横回転した。
ピンポーン!
久々に三井田さんが瞬殺でボタンを押した。
「むむっ?!これだけ分かったのか?
三井田さん!答えをどうぞ!」
「丸真食品の舟納豆!」
と自信たっぷりに三井田さんは答えた。
ブッブーー!
「え?なんで違うの?!」
不正解のブザーに三井田さんは憮然とした表情を見せた。
僕も同じ回答だったので、頭が真っ白になった。
ピンポーン!
すると今度は高野さんがボタンを押した。
「さぁ!高野くん追い上げなるか?!」
「丸真食品さんの祝舟!」
(なるほど、水引、熨斗付の贈答用の舟納豆か!)
ブッブーー!
(え?これも不正解?)
二人お手付きだったので、自動的に回答権が回ってきた。
回答時間はたっぷりあったが、舟納豆以外、全く思いつかなかった。
スタジオが沈黙する中、カメラと照明が僕に向けられ、時間だけが過ぎ、みんなのジリジリとした熱い視線を浴びて、緊張の汗がジワジワと滴って来た。
(てことは、商品名じゃなくて、社名が違うのか?)
「丸真食品工業の舟納豆?」
と、苦し紛れに推測で回答した。
ブッブーーー!
当然の結果だった。
全員不正解でこの問題はお流れになった。
そこでジモンさんが行灯を開けた。
やはり経木を舟形にした納豆だった。
「正解は、だるま食品の『味倶留名』でした!」
「えーー?水戸のだるま食品でも舟形の納豆を作ってたの?!」
と、3人とも驚きを隠せなかった。
だるま食品と言えば、先ほどの糸の長さを競った、藁つと納豆くらいしか思いつかなかった。
それほど激レアな商品だった。
ちなみに丸真食品は2025年に「舟納豆」に社名変更しました。
「全員不正解だったので次の問題は私が選ばさせていただきます」
とジモンさんが言った。
ここからは大逆転があり得る30点問題に突入した。
「それでは味の30!行きますよ!」
するとテーブルの上に再びクロッシュでフタをされたトレーが並んだ。
「この中に3種類の納豆が混ざった状態のどんぶりがあります。
それぞれのメーカー名、商品名を当てる『まぜまぜ問題』です。
それでは、スタート!」
クロッシュを開けると、どんぶりの中には
大粒納豆、極小粒納豆、黒豆納豆が混ざっていた。
しかもタレが付いていなかった。
(一つでも難しいのに、納豆だけで3種類全部当てるの?)
さすが30点問題の超難問。
死闘と呼ぶに相応しい激戦の扉が今、開かれた。
第1章はこちらからどうぞ
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