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#創作大賞2026 #エンタメ原作部門 納豆チャンピオンへの道 第3章|How To Make Natto-Champion|TVチャンピオン出場切符

番組制作会社から届いたメールを恐る恐る開封してみると、冒頭のあいさつの後、

2000年8月12日(土)、JR亀戸駅に10時集合、の主旨の本文に、2日間の番組撮影のためのスケジュール表が添付されていた。

え?こちらの都合の確認もナシに、いきなり出場依頼?
 ん?芝公園のテレビ東京本社に集合じゃないの?
 なんで亀戸?……まさか、ニセ番組か?」

一方的で怪しい通知を不審に思い、三井田さんにメールで問い合わせてみた。

「こんばんは。
 今日、番組の出場依頼が届いたけど、三井田さんにも届いた?
 しかも集合場所が亀戸駅なんだけど、なんか怪しくない?」

すると三井田さんからすぐに返事が来た。

「こんばんは。
 僕の所にも今日届いたよ。
 やったね!がんもさんも出場できるんだね!
 番組のロケは、最初の対決場所が集合場所になるんだよ!
 テレビ局集合は後日のスタジオ収録だけみたいだよ」

「なるほど、そういうことか」

どうやら通知は本物だったので、一安心した。

スケジュール表をよく見ると、第1ラウンドは「全国納豆利き豆勝負」だった。
この第1ラウンドで敗退することは、納豆開発委員会のウェブサイトを運営し、全国に100人の委員がいるトップの委員長としては、沽券に関わる問題だ。
何としてでも第1ラウンドを突破しなければならない。

しかしTVチャンピオン出場切符を手に入れたが、出場までの期間は残り2カ月しかなかった。

出場切符を手にした日から戦いが始まった。まずは先日に回答したアンケートの再確認。
約100銘柄の納豆を調べ直した。

大手納豆メーカーの商品はほぼ網羅していたが、地方の納豆はほとんど未知の世界。

リストにあった納豆メーカーのサイトを検索し、通販可能な納豆は手あたり次第購入し、冷蔵庫の中はほぼ納豆で埋め尽くされた。

平日は岩手、青森、秋田の商社や工務店への営業の合間を縫って、スーパー、コンビニに立ち寄っては納豆を買い漁り、営業車の中で納豆を食べ散らかした。車の中は納豆の匂いが充満した。
 そして週末に納豆開発委員会のウェブサイトに納豆コレクションをまとめて更新した。

第2ラウンドは「ヘルシー納豆料理勝負」だった。

事前のアンケート調査で提出した創作メニューを、実際に作ることになった。
創作メニューは納豆中華まん、納豆かに玉丼、中華風納豆サラダだった。

キッチンはにわかに戦場になった。ネットで調べたレシピを片手に、慣れない手つきで一人で調理して、家族4人に試食してもらいながら、試行錯誤を繰り返した。

一番苦労したのは中華まんだった。
他の料理と同時並行でイーストを使って一人で生地から中華まんを作っていたら、3時間かかってしまった。

ダメだ。2時間以内に完成させなければ、即失格だ

そこで中華まんを早く作る方法をネットで調べた。

「イーストで発酵を待っていたら間に合わない。
 それなら、ベーキングパウダーで一気に膨らませて、レンジとせいろの二刀流で時間を削るしかない!」

ラップで巻いた肉まんを電子レンジで加熱させたあと、せいろで蒸して時間短縮を図った。すべての料理を1時間50分で完成したが、中華まんはイーストを使ったものより、皮が若干硬くなった。

「やった!時間ギリギリで完成したね」
「中華まんはちょっと硬めだけど、味は美味しいよ」

と家族の意見に励まされた。

これなら戦える

と手応えを感じた。

当初の最終目標は第2ラウンドで、楽しみながら納豆料理を完成させることだった。
知識と熱量では納豆学会の三井田さんには敵わないと思い、優勝どころか、決勝ラウンド進出の考えは毛頭なかった。

そして納豆開発委員会の掲示板に、TVチャンピオン「全国納豆王選手権」の出場を告知し、当日の応援にくる委員を募集すると、東京近郊在住の数人が駆けつけてくれることになった。

ロケ収録の日はお盆休み期間でもあったので上司には、何も連絡しなかった。「TVチャンピオン出場のため」上京するなど、言う勇気がなかった。
しかも第1ラウンド敗退の負け犬になったら、馬鹿にされるのが目に見えていたので余計に言えなかった。

第2ラウンドで使用する食材はクール便で事前に制作会社宛に発送した。
そして当日の朝は赤いシャツに黒いベストに、走りやすいチノパンとスニーカーという勝負服を身に纏った。
盛岡駅から始発の新幹線に乗り、岩手山を背にして「東京」という大海原の戦地に赴いた。

新幹線の中では、中島みゆきの「ファイト」の曲が何度も頭の中を駆け巡り、アドレナリンが止まらなくなった。
闘志を駆り立てるあの歌声に背中を押されながら、僕は「東京」という大海原の戦地へと赴いた。 心臓が高鳴り、静かな戦いが始まっていた。

第2章  第4章

第1章はこちらからどうぞ

#創作大賞2026 #エンタメ原作部門 #ドラマ脚本 #TVチャンピオン #テレビ東京

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