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#創作大賞2026 #エンタメ原作部門 納豆チャンピオンへの道 第15章|How To Make Natto-Champion|波乱の決着!初代納豆王、地元盛岡で大ピンチ!?

決勝ラウンド終盤の14問目。
先に不正解だった三井田さんの後に回答権が回ってきた。

まるでPK戦の5人目の気分で緊張した。
蹴るのは右(いなふく)か左(金来屋)か?
それともキーパー正面のど真ん中(巌手屋)か?

箱の中から手を出して、ゆっくり席に戻り、ボタンを押した。

ピンポーン!

「さぁ!蒲生さん、答えをどうぞ!」

この期に及んでもまだ迷い、AB型の優柔不断の性格がここで露呈してしまった。

(ここまで来れたのは、全て三井田さんのおかげ。
 結果を恐れず最後まで楽しもう
)

そう思い、ふーっと、息を吐いた。

「か、金来屋の納豆せんべい?」

最後のシュートはボールを蹴る直前に躓き、
思い切り蹴りだすことができず、
チョコンと左(金来屋)へ蹴りだした。

「蒲生さんの答えは金来屋だ!
 さぁ!正解はどうだ?___」

それでも蹴られたボールはゴールマウス左隅へ
フワッと弧を描いた。
キーパーがゴールを阻むか?

ほんの数秒の沈黙が、僕には数時間に感じた。

ピンポーン!ピンポーン!

これまで聞いてきた正解の電子音の中で、
一番虚しく会場に響いたように感じた。

「___正解です!
 最後の1問を残して、優勝が決定しました!
 蒲生さん!おめでとうございます!!」

ジモンさんが言った瞬間、会場は大きな拍手に包まれた。
しかし優勝した喜びよりも戸惑いが大きかった。

(こんなカタチで僕が三井田さんに勝っていいのか?
 こんな貧弱な勝ち方でいいのか?
 僕が今までテレビで観てきた、歴代のTVチャンピオンは
 圧倒的に強くもっとカッコ良かった
)

すると三井田さんが僕のところに駆け寄り、

「がんもさん!おめでとう!」

と勝利を祝福してくれた。

「三井田さん、ありがとう。
 まさか僕が優勝するなんて___」
「いやいや、決勝は圧勝じゃないですか!」

後から高野さんも握手を求めてきた。

「蒲生さん!おめでとう!」
「高野さん!ありがとう」

右手で固い握手を交わすと、高野さんは左手で僕の右肩を叩き、健闘を称えてくれた。

「これで全国納豆王選手権の初代チャンピオンは蒲生さんに決まりました!」

とジモンさんが僕の右腕を高々と挙げて、勝ち名乗り上げた。

しかし勝利の余韻を味わう余裕もなく、番組スタッフは慌ただしく会場のセットを片付け始めた。

いやぁ!三井田さんが優勝すると思ってましたが、
 蒲生さんのラストスパートは見事でした!

とディレクターが、三井田さんと僕にあいさつに来た。

(そうだよな。
 やっぱり誰が見たって三井田さんが
 チャンピオンに相応しいと思うよな)

最後のシーンはテイクツーなしでいいんすか?

僕自身納得し難い終わり方だったので、
ディレクターにテイクツーを申し出た。

いやいや、伏兵がラスボス倒すみたいで、
 意外性があって良かったですよ。

 ___皆さん、長丁場お疲れ様でした。
 あとは、よろしく___」

そう言って、ディレクターは先に会場を出た。

そして東京在住の高野さんとはここで別れ、三井田さんと僕は荷物をまとめ、スタッフの案内でロケバスに乗り込み、東京駅に向かった。

後日プロフィール撮影のため、盛岡と柏崎にお伺いします。
 あと蒲生さんは別途スタジオ収録で再び東京に来て頂きます。
 詳細は追ってメールします。よろしくお願いします」

(あぁ、第二の戦いはまだ続くのか…)

「二日間楽しかったです。
 この企画に誘ってくれてありがとうございました」

と最後に三井田さんにも感謝の気持ちを伝えた。

「これからも納豆開発委員会の活動期待してます。
 また、どこかで会いましょう」

と、東京駅の新幹線改札口で、三井田さんと別れて、
盛岡行きの東北新幹線の最終便に乗って、東京を後にした。

23時過ぎに盛岡駅に着き、タクシーで自宅に戻ると、
家族がみんな起きていて出迎えてくれた。

「パパ!TVチャンピオンおめでとう。
 ホントにダントツで勝ったの?」

と、玄関先で妻が最初に出迎えてくれた。

「いや、点差はダントツだけど、内容はギリギリで…
 まだ夢見てるみたいで信じられないよ」

すると後ろから小学5年の長女と小学1年の次女が

「パパがチャンピオンになってスゴイ!」
「明日学校でパパの事、みんなに言わなきゃ!」

と、目を潤ませながら、抱き着いてきた。

「いやいや、放送日まで内緒にしなきゃ
 ダメなんだって」

「パパ!チャンピオンの優勝メダル見せて!」

と年中の長男が証拠品をせがんだ。

「まだ貰ってないよ(笑)
 今度また東京行く時貰えるかも」

と、深夜遅くまで、2日間の出来事を報告し、
喜びを分かち合った。


後日スタッフからプロフィール撮影について、
日程調整と、大まかな内容がメールで届いた。

撮影場所は自宅と勤務先、そして地元スーパーだった。

そのことを上司に相談すると

オマエが納豆王になるほど、納豆好きだとは知らなかった。
 ただ事務所での撮影は狭すぎて無理だろう。
 取引先のPRも兼ねて、ジャパン建材にお願いするよ」

職場の営業所は上司と僕の二人だけでマンションの1LDKだったので、
ジャパン建材にお願いし、収録予定日の土曜日に撮影許可をもらった。


9月のとある土曜日午前10時。
紺のスーツを着て、盛岡駅で撮影スタッフと待ち合わせをした。

改札口から出て来たのは、先日の案内役だったスタッフだった。

「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
「おはようございます。先日はお世話になりました。
 ところで、カメラマンや音声担当の方は?」
「今日はカメラマン一人、地元の方にお願いしてまして、
 そろそろ来る頃かと…」

するとまもなくカメラを抱えた体格のいい男性が現れた。
「おはようございます。
 IBCのカメラマン飯岡です」
「今日はよろしくお願いします。
 蒲生さんがスーツ姿ですから、まずは職場から撮影しましょうか?」
「いや、仕事場として取引先に撮影協力いただいてまして、
 既に待っていると思いますので、まずはそちらにご案内します」

と言うことで、僕が車で先導し、スタッフ達はタクシーで後を追いかけてきた。
盛岡駅から15分の盛岡南IC付近の流通センターにある、ジャパン建材の倉庫兼事務所に到着した。

事務所の駐車場に車を止めると、誰もいなかった。

(え?!日にち間違えて伝えたか?
 それとも、まさかドタキャン?)

3人で事務所前で立ち竦んでしまった。

第14章  第16章

第1章はこちらからどうぞ

#創作大賞2026 #エンタメ原作部門 #ドラマ脚本 #TVチャンピオン #テレビ東京


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