AI時代に変わる「判断のあり方」と変わらない「責任の主体の価値」
みなさんこんにちは、企業を総合サポートする株式会社K.I.D.S.広報です。
「AI時代のマネジメントは多層構造になる」という記事に対して、読者の方から興味深いコメントをいただきました。
「多層構造+AI協働」の環境において、最も代替されにくい能力は、判断力と責任を引き受ける力のどちらだと思いますか?
判断力 vs 責任力(という言葉があるかは分かりませんが…)
ホワイトカラーの生存戦略にもかかわってくる悩ましい問題ですね。
どう考えたらよいのか、代表の吉江彰洋にぶつけてみました。
●「判断力」の定義が、AIによって書き換えられる
――読者の方から「判断力か、責任か」という質問がきました
結論から言えば、AI時代に希少化するのは判断そのものではなく、「その判断の結果に対して自らの名前を載せられる人」だと思っています。
理由はシンプルで、「判断力」そのものは、これからどんどんAIによって補完・代替されていくからです。
そもそも「判断」に至るまでには、
情報の収集、分析
選択肢の列挙
検討
といったプロセスがありますよね。
全部AIが得意な分野です。
すでに「AIの判断を借りた意思決定」はビジネスの現場で当たり前になりつつあります。
ちょうど最近、帝国バンクからコンサルの倒産が過去最高ペースって発表もありましたよね。
——「情報収集、分析、選択肢の提示」というのは確かにコンサルが担うことが多かった部分ですね
前にも言いましたが、大企業ではコンプラの厳格化やサラリーマン出身経営者が増えた関係で、長時間働くことやリスクテイクすることに消極的です。
だから、外部の労働力としてコンサルを使って、リスクを下げられるよう調査・分析を徹底して、「綺麗なパワポ」を作らせてきたんですね。
でも、AIが発展する中で、綺麗な資料を作るだけの「高級文房具」の仕事は減っていくはずです。調査・分析にしても、もっと一次情報など深いところにいかないといけない。
コンサルティングにしても、単なる知識ではなくて、実体験をともなった精度や説得力などがさらに求められていくはずです。なので、過去にも書きましたが、事業会社出身のコンサルの割合が増えていくとにらんでいます。
代わりに事業会社出身の人が中途でコンサル業界に入ってくることが増えるとにらんでいます。
多くの人はコンサルに「机上の空論」というか、風呂敷を広げるイメージを持っていると思うんですが、事業会社出身の人はフィージビリティ(実現可能性)重視です。
知識は生成AIで手に入りますから、実体験をもとにアドバイスできる人が重宝されるだろうということですね。
——コンサルはAIに代わるかもしれませんが、最終的に判断するのは人間のままでは?
それはそうです。
ただし、「これからの判断力」というのは、ゼロから答えをひねり出すのではなく、「AIが出してきた複数のアウトプットを、正しく評価して選別できること」に変わっていくでしょう。
判断に至るまでの過程はAIがかなりサポートしてくれる。もしかしたら、AIの判断をそのまま追認するだけになるかもしれないですよね。
たとえば、正解率が8割を超えるような判断であれば、当事者とAIだけで完結してしまうかもしれません。
ただ、そこにリスクが絡むとやはり大変です。正解率が8割でも、2割の確率で大きな損害が出るとしたら、もっと細かく詰めないといけないし、心理的負担も大きい。
AIは試行錯誤できますが、意思決定する側の人間はそうそう試行錯誤はできません。なぜなら、現実世界でやると「責任」が生じるからです。
●責任は人間にしか取れない
――「責任を引き受ける力」は代替されづらいということ?
構造的に人間にしかできないですよね。
万が一、システムに致命的なエラーが起きたとき、あるいはプロジェクトが失敗したとき、AIが「すみません、私のプログラミングのせいです。減給処分を受け入れます」なんて言うことはあり得ないでしょう(笑)。
AIを開発している会社を訴えても、まず勝てないと思います。
「トラブルが起きたとき、最後に誰が矢面に立って答えるのか」という問いは、どれだけAIが高度化しても、人間にしか帰着しません。
――ビジネスにおける「元請け」の本質も、そこにあると?
その通りです。
以前も「責任分界点」という話をしましたが、元請け企業やリーダーが存在し続けられるのは、成果物の品質保証以上に「何かあったときの責任の所在だから」です(本当に責任をとれるのか、というのは別の問題として生じうるとして)。
●「責任」と「判断」は、切り離せないセットである
――「判断はAI丸投げで、ミスったときに責任だけ取ればいいんだ」と考える人も出てくるのでは?
いや、そこがこの問題の面白いところで、両者は完全に切り離せないんだと思います。
中身を何も理解していないのに「俺が責任を取るから、とにかくこれで行け!」というのは、ただの無責任なギャンブルです。
本当に責任を引き受けるためには、「なぜ、AIが出したA案ではなくB案を選んだのか」という判断の根拠を、自分の言葉でロジカルに語れなければならないはずです。
――なるほど。自分の言葉で語れないと、周囲も納得してついていけないですね
その意味で、「判断力」は「責任」を成立させるための必須条件として、人間に残り続けるということだと思います。ただ、それ自体はAIがかなりサポートしてくれる。
これからのビジネスパーソンは、まずはAIを使いこなして「正しい判断の目利き」ができるようになること。
そしてその上で、ここぞという場面で「自分がリスクを背負って打席に立つ覚悟」を磨いていく必要があるのだと思います。
K.I.D.S.では、AI技術の導入支援だけでなく、AI時代に希少化する「意思決定できるリーダーの育成」や組織変革のサポートを行っています。
「AIを導入したが、現場が指示待ちになってしまい意思決定が遅れた」
「これからの時代、次世代の幹部候補にどんなスキルを身につけさせるべきか悩んでいる」
そんな経営層・人事担当者の皆様、ぜひ一度、私たちの知見を組織づくりにお役立てください。
