AI時代にSIerは死ぬ? 「外注文化」が消えない、日本ならではの理由
みなさんこんにちは、企業を総合サポートする株式会社K.I.D.S.広報です。
前回は、「SIer的な人材」がAI時代に重宝されるという話を紹介しました。自分のAIや部下、その部下が使うAIなどを、「下請け」と考えれば、ITや建設業界などにみられる重層下請構造にそっくりという内容でした。
ただ、現実のSIer(システムインテグレーター)をめぐっては、ネットで検索すると「AIによってSIerは死ぬ」みたいな記事がたくさん出てきます。
「SaaSの死」の次は「SIerの死」か、みたいな。
かなり不穏な雰囲気です。
果たして、SIerの将来はどうなっていくのか。
K.I.D.S.代表の吉江彰洋に聞きました。
●「SIerが死ぬ」と言われる理由
——なぜSIerがAIで死ぬと言われているんですか?
1つは、AIによってシステムを内製する難易度が下がっていくからです。
そしてもう1つ、「人月モデル」の崩壊が言われています。
SIerのビジネスモデルは長らく、「何人のエンジニアが何カ月働いたか」で報酬を計算する人月商売が基本でした。
ところが、生成AIが進化すると、これまで10人でやっていた作業を2〜3人でこなせるようになる。AIが大量のコードを書き、ドキュメントを整理し、テストケースまで生成する。
「頭数×時間」で積み上げていた収益モデルが、根本から揺らぐわけです。
●でも、日本の「外注文化」はそう簡単には変わらない
——実際にはどうなると思いますか?
正直なところ、日本においてはそう簡単には変わらないんじゃないでしょうか。
理由は日本の労働法制にあります。
つまり終身雇用制ですね。
——終身雇用と外注が、どうつながるんですか?
一度採用した社員は簡単に解雇できないのであれば、企業は特にリスクの高い仕事を自社の正社員に担わせることに慎重になります。
リスク対応では「発生確率の高低」と「影響の大小」による4象限マトリクスで考える有名なフレームワークがあります。

たとえば、影響度合いが小さいものの場合、発生確率が高ければ「軽減」を図るし、滅多に起きないなら、そのときは仕方がないと「受容」することも考えられます。
一方、影響度合いが大きければ、発生確率が高いものは最初から「回避」すべきです。
問題は発生確率が低い場合です。この場合、諦めてしまうのはもったいないので、保険を使ったり、外注を使ったりすることでリスクを外部化します。これを「転嫁」と呼んでいます。

日本企業が外注を使うのは、この「転嫁」にあたります。責任の所在を明確にしたい、つまり「責任分界点」をはっきりさせたいわけです。
システム開発で何か問題が起きたとき、「それはベンダーの責任範囲」と切り分けられることが大事なんですね。
●優秀な社員は「攻め」で使いたい
正社員にリスクの高い仕事をやらせたくない理由は、もう1つあります。
リスク対応は優秀な人にしかできないんですが、優秀な人をリスク対応に使いたくないんです。
リスク対応は利益を生みません。その一方で、優秀でない社員にリスク対応をさせても、収拾がつかなくなる可能性がある。
結果として、「リスクの高い部分は外部に出して、責任ごと移す」というのが、日本企業にとって合理的な選択になってきたんです。
終身雇用がある限り、この構造は変わりにくいでしょうね。
●それでも、変わらざるを得ない部分はある
——じゃあSIerは安泰、ということになりますか?
外注文化は残ったとしても、人月モデルは転換を求められるでしょう。
たとえば、以下は富士ソフトの事例です。
富士ソフトの新体制発足の背景にあるのが、市場環境の構造的変化と、それに伴う変革の必要性だ。同社は、新体制発足を発表するプレスリリースで「生成AIの進展によって、単なる開発・運用の受託ではなく、経営変革や事業成長に伴走するパートナーとしての役割がSIerに求められている」と述べている。
こうした状況変化を踏まえて同社が打ち出すのが、従来の人月型・プロジェクト型中心のビジネスモデルから、オファリング(型化)を軸とした成長モデルへの転換だ。過去の案件で得た知識や経験をパッケージ化し、顧客の経営課題に対して提案、提供することで、再現性ある事業成長を狙う。
最近、「FDE(Forward Deployed Engineer:前線展開エンジニア)」の存在が注目されています。
わかりやすく言えば、業務分析をした上で、改善アプリまで作っちゃえる能力です。
SIerも今後は、単なる開発・運用の受託ではなく、クライアントの業務を深く認識・分析した上で、改善提案をしていくことになるんでしょうね。
K.I.D.S.では、AIによって変容する「組織」と「人材」のあり方についても、クライアント企業の皆様と一緒に考えていきます。
「AI導入後の組織をどう設計すればいいかわからない」「どんな人材を育てればいいか」といったお悩みは、ぜひお気軽にご相談ください。
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