「比べてしまうのは悪いこと?」って、ほんとにそう?
子どもの頃、私は一度も新しい洋服を買ってもらったことがありませんでした。
家には、お金がありませんでした。
私が着ていたのは、母の知り合いの子どもから譲ってもらった、お下がりの洋服ばかり。
もちろん、その洋服が嫌だったわけではありません。
でも、学校でかわいい新品の洋服を着ている友達を見るたびに、心の中で思っていました。
「いいなぁ。」
「私も、あんな服を着てみたい。」
その気持ちを母に伝えると、返ってくる言葉は決まっていました。
「人は人。自分は自分。」
きっと母は、私が人と比べて苦しまないように伝えてくれたのでしょう。
でも幼かった私は、その言葉をこう受け取っていました。
「比べることは悪いことなんだ。」
だから私は、比べてしまう自分まで責めるようになりました。
でも今、ふと思うのです。
ほんとにそうなのでしょうか。
私たちは、比べながら世界を認識している
少し考えてみてください。
今日は昨日より暑い。
この道は、あっちより近い。
この花は小さい。
あの木は大きい。
私たちは、違いを感じることで世界を認識しています。
もし比べることができなければ、
「今日は昨日より暖かいね。」
そんなことさえ感じられなくなってしまいます。
つまり、比べることは、人間が世界を理解するための自然な働きです。
だから私は、
比べること自体は悪いことではない。
そう思っています。
苦しかったのは、比べたことではありませんでした
大人になっても、私は何度も人と比べてきました。
会社員だった頃。
SNSを始めてから。
起業してからも。
「あの人はすごいな。」
「あの人は素敵なお母さんだな。」
「あの人は楽しそう。」
そんなふうに思った次の瞬間、
心の中では、いつも同じ言葉が続いていました。
「それに比べて私は……。」
私は比べたあと、自分の価値まで下げていたのです。
今ならわかります。
苦しかったのは、比べたからではありません。
比べたあとに、
「だから私は足りない。」
そう決めつけていたからです。
母の言葉を、私は勘違いしていたのかもしれない
今になって思います。
母は、「比べるな」と言いたかったわけではなかったのかもしれません。
きっと、
人と比べて、自分を嫌いになってほしくなかった。
自分を責めてほしくなかった。
そんな願いがあったのだと思います。
でも私は、
「比べること自体が悪いことなんだ。」
そう受け取っていました。
同じ言葉でも、
受け取る認識によって意味は変わります。
もしかすると、
苦しみは出来事ではなく、
認識から生まれているのかもしれません。
山を歩いていて気づいたこと
星野村へ移住してから、
毎日のように山を歩いています。
そこには、
まっすぐ空へ伸びる木もあれば、
横へ大きく枝を広げる木もあります。
小さな花。
名前も知らない草。
苔。
どれも違います。
でも、
どちらが優れているかなんて、
誰も決めていません。
それぞれが、
その場所で役割を持って生きています。
その景色を見ていると、
人も本当は同じなのではないかと思うのです。
比べることは、自分を知る入り口になる
「あの人は話すのが上手。」
以前の私は、
「だから私はダメだ。」
で終わっていました。
でも今は、
少しだけ問いが変わりました。
「私は、何が得意なんだろう。」
「あの人から学べることは何だろう。」
そう問いかけるようになると、
比べることが、
自分を責める時間ではなく、
自分を知る時間へと変わっていきました。
認識が変わると、比べ方も変わる
現実は何も変わっていません。
変わったのは、
私の認識でした。
「あの人はすごい。」
その事実は同じです。
でも、
そのあとに続ける言葉は、
自分で選ぶことができます。
「だから私はダメ。」
そう続けることもできる。
「私は私の良さを育てよう。」
そう続けることもできる。
苦しみをつくっていたのは、
比べることではなく、
比べたあとに自分へ与えていた意味だったのです。
私は思うのです
比べることが悪いのではありません。
苦しみを生むのは、
比べたあとに、
自分へどんな意味を与えているか。
そこなのだと思います。
もし、
比べたあとに、
「私には私の役割がある。」
「私には私の魅力がある。」
そう思えたなら。
比べることは、
自分を責める時間ではなく、
自分を知る時間へと変わっていくのではないでしょうか。
あなたは、どう思いますか?
今日、
誰かを見て、
「いいな。」
と思ったとき。
そのあと、
あなたは自分に、
どんな言葉をかけていますか?
もしかしたら、
あなたを苦しめているのは、
比べることではなく、
そのあとに無意識に続けている言葉なのかもしれません。
私は今日も、
自分に問いかけています。
「比べてしまうのは悪いこと?」って、ほんとにそう?
🌱 感じることを取り戻す、小さなワーク
今日一日を振り返ってみてください。
誰かを見て「いいな」と思った場面はありましたか?
そのとき、心の中で続いた言葉を書き出してみてください。
「それに比べて私は……」
「どうせ私なんて……」
「私には無理……」
もしそんな言葉が出てきたら、もう一度だけ問いかけてみてください。
「ほんとにそう?」
その問いが、認識を見つめ直す最初の一歩になるかもしれません。
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