母はいつも、「足りないところ」を見ていた。ほんとにそう?
私たちは、
目の前で起きている「事実」を見ていると思っています。
でも、本当に見ているのは、
自分の認識なのかもしれません。
そんなことを考えるようになったきっかけがあります。
母はいつも、こう言っていました。
「パチンコさえしなければ、本当にいい人なのに。」
これは、子どもの頃から何度も聞いてきた母の口癖でした。
当時の私は、不思議で仕方ありませんでした。
そんなにいい人なら、
どうして母は幸せそうじゃないんだろう。
その頃は答えが分かりませんでした。
でも今なら、少し違う見方ができます。
人は、「事実」を見ているわけじゃない
もちろん父には問題もありました。
パチンコで家族を困らせたこともあります。
でも、それだけではありませんでした。
子どもの頃、父はよく私たち兄弟と遊んでくれました。
プロレスごっこ。
足相撲。
夜、詩吟の師範をしていた母が家を空ける日は、
父と一緒にお風呂へ入るのが当たり前でした。
父との楽しい思い出は、今でもたくさんあります。
だから私は、大人になって思うのです。
母と私は、
同じ父を見ていたはずなのに、見えていたものは違った。
母は、
「パチンコをする父」
を見ていました。
私は、
「一緒に遊んでくれる父」
を見ていました。
父は変わっていません。
変わっていたのは、
見ているものでした。
私たちは、何を見て生きているんだろう
この出来事を思い出すたびに、
私は自分に問いかけます。
私は、
「あるもの」
と
「足りないもの」
どちらを見て生きているんだろう。
私も、母と同じ認識を持っていた
子どもの私は、
母を見ながら思っていました。
「誰かが変わらないと幸せになれない人生は苦しい。」
だから私は、
誰かに人生を委ねるような生き方だけはしたくありませんでした。
専業主婦になりたいと思ったこともありませんでした。
自分の幸せを、
誰かに委ねることが怖かったからです。
でも、大人になって気づいたことがあります。
母は朝から晩まで働いていました。
経済的に依存していたわけではありません。
もしかしたら母を苦しめていたのは、
「男が稼ぐもの。」
「女は養ってもらうもの。」
そんな時代の価値観だったのかもしれません。
もし、
「夫が変われば幸せになれる。」
という認識を持っていたとしたら、
どれだけ頑張っても苦しかっただろうと思います。
母もまた、
その時代の価値観の中で、
一生懸命生きていた一人だったのです。
母とは違う人生を歩いていると思っていた
私は、
母とは違う人生を歩こうと決めていました。
だから社会人になってからは、
本を読み、
勉強し、
営業で結果を出すことに夢中でした。
もっと頑張ろう。
もっと学ぼう。
もっと成長しよう。
営業では表彰もされました。
でも、
「もう十分。」
とは思えませんでした。
結果を出しても、
また次の課題を探している。
また次の「足りないもの」を探している。
そのとき気づいたんです。
母とは違う生き方を選んだつもりだったのに、
私は私で、
「足りないものを見る認識」
を持って生きていたことに。
母は父の足りないところを見ていました。
私は自分の足りないところを見ていました。
違うようで、
同じ認識だったのです。
引き算とは、「認識」を見直すこと
私は最近、
「引き算」が大事なんじゃないかと思っています。
でも、
物を減らすことでも、
努力をやめることでもありません。
自分が見ているものを見直すことです。
「私は足りない。」
「相手が変われば幸せになれる。」
「もっと頑張らなきゃ価値がない。」
そう思っている自分に、
一度問いかけてみる。
「ほんとにそう?」
その問いが、
私にとっての引き算です。
本来の自分に気づく
思い込みを一つ手放すたびに、
心が軽くなります。
それは、
新しい自分になるからではありません。
余計なものが少しずつ剥がれて、
本来の自分が見えてくるから。
私は、
人は変わるというより、
本来の自分を思い出していく存在
なんじゃないかと思っています。
ほんとにそう?
私たちは、
生まれたときから、
「足りない存在」だったのでしょうか。
それとも、
家庭の中で繰り返し聞いてきた言葉や、
時代の価値観、
周りの認識に触れる中で、
そう思うようになったのでしょうか。
もし認識は受け継がれるものなら、
認識は選び直すこともできるのかもしれません。
幸せになるために必要なのは、
何かを足すことではなく、
「私は何を見ているんだろう。」
と問いかけること。
なのかもしれません。
母はいつも、「足りないところ」を見ていた。ほんとにそう?
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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