夏の緑をまとう木の枝をよく見つめて窓越しに室内からスケッチすると
はじめに
この賃貸の部屋を選んだのは正解だったと思う。炎天下の外でスケッチするのははっきりいって無謀。そこで部屋のなかで絵が描けないかと見わたす。窓のそとに数本の木々。彩りゆたかな緑の葉が「描いてよ。」とばかりに茂る。この室内から窓越しに見え、スケッチできるじゃないか。
きょうはそんな話。
暑いなかへ
きょうは2度の外出。午前中早めと午後3時すぎ。それぞれ買いものと歯科通い。いずれも道の先の日陰をみつけながらそれをたどりながら歩く。どちらの所要も川むこうまで橋を渡っていく。川沿いはまだ風があるだけマシかもしれない。よく考えると外出するとほぼ川向うに用件が多い。散歩すらいくつかの橋を行き来する。こちら側で済ますことは半分より少ない。
やむなく2本の橋のいずれかを渡る。午前中早くならば影が長く、ほぼそれ伝いで歩き目的地までたどりつける。だが真昼はそうはいかない。UVクリームを塗るべきだったと道なかばで気づく。農業をしていた頃はかならずやっていたことができていない。緊張感が薄れ気味かも。
絵を描く
この炎天下で外に出てスケッチしようとは思いつかない。もちろん日陰で描ける場所を見つけようとするがそんな都合よくいかない。木の下や建物のかげなどは描きたい場所とはたいてい逆。そんな影のある側こそが絵の対象になりがち。とはいえ陽射しのなかで描くのは無理。
もはや6月から9月いっぱいぐらいは思い通り描こうというのは、避けたほうがよいのかもしれない。これほどまで高温の夏が毎年のように来ようとは。
そこで
やむなく室内で描けるものをさがす。カーテンをあけるとそこには夏の陽をあびる木々のすがた。室内から窓越しに描ける。
3階からすこしだけ見下ろしぎみで、いちばん高い枝先はすこしだけ低いぐらい。ふだんからその姿をながめて過ごす。手頃なサイズのスケッチブックをイーゼルにセットしつつ位置決め。早速4Bの鉛筆を動かしはじめる。
見つづけると
すでにここでの生活は3シーズン目にはいる。それらの木々を見下ろしつづけてきた。冬には葉を落とし枝だけに。小枝まで雪におおわれることも。春にはみずみずしい若葉をふく。そして日に日に緑が濃くなる。どの場面も絵にしたい。さらに夕日でオレンジ色に染まる姿もいいし、霜が降りる頃、低温にさらされ葉は黄色く色づく。四季おりおりのすがたに見惚れる。
木々の毎年の生きざまを眼のまえにしつつ時間のうつろいを感じ、つくづくここを住処に選んでよかったと思う。
おわりに
木は場所にめぐまれればヒトよりも長い生涯を得られるチャンスがある。はたして街なかのこの一画で木々たちは今後どんな風景をみつめることになろうか。この地はすでにわたしがここを借りるときには空き家だった。たまにどなたかがこの庭の管理にやってきて作業なさる。いつまでこの風景をながめられるのか…。
いろいろ想像をしつつ室内からスケッチする。もとの家をかたづけたところ、何冊か使いかけのスケッチブックをみつけた。おそらく絵を再開するたびに買ったのだろう。のこりのまっさらの紙をみつけては、そこへ木を描く。
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