いつのまにか翻訳アプリをしごとのなかでしっかりつかっていた その2

はじめに
「研究サポートのしごとでの気づき。翻訳アプリがしごとのかなめの部分を変えつつある」と、2年前に記した。
そののち、PC上での翻訳はさらに進化しつつある。さまざまな場面でそこそこの翻訳されたものを見る機会が増えつつある。即時的に話す内容を「同時翻訳」する機能は、音声認識の部分が不十分でいまひとつではあるが。いずれは遜色ないレベルに達しそうな勢いを感じる。この2年間で使いつづけて感じたことを記す。
きょうはそんな話。
論文の執筆作業に
最初に触れておきたい。前回もおなじように示したが、この記事を読みすすめるにあたり必要だろう。一般的な学術論文の体裁は以下の手順に書きすすめる。もちろん例外もある。
Title(題名)
Authors(著者)
Abstract(要旨)
Introduction(序文、序論)
Materials & Methods (材料と方法)
Results(結果)
Discussion(考察)
References(参考文献)
生命科学の実験で得られた新たな成果を論文にまとめる。この研究に至る経緯や過去から現在までの関連する研究内容をIntroduction(序論)のかたちで紹介する。ここは最初のAbstractよりも難渋する部分。この両者で論文の質がほぼ決まると言っても過言でなさそう。
もう一度、自らの出した結果の位置づけ、とくに独自性や新規性が当該の学術雑誌の読者にふさわしいレベルにあるか否かを、客観的にみるのにもっともよい。わたしはここのできぐあいで投稿先を決めている。
引用文献
Introductionの欄を記すにはこの研究テーマに関してストックした関連の論文を何度も熟読し直す。100本をゆうに越すことも。さらにのべならばその10倍は超すかも。文末のReferencesにリストアップすべき文献(50本ほど)を、Introductionのなかで年代を追いつつ、ひと言ずつで紹介していく。もちろん採用した実験方法はMethodsで、討論すべき対象についてはDiscussionのところで引用する。
おおげさでもなくそのしごとの命運に関わるだいじな作業のひとつ。作為的であってはならずあくまでも客観的立場でレビューする。この2年のあいだの翻訳アプリの発達のおかげで、この部分をつくる作業が格段にスムーズに。
論文作成には
執筆にあたり、上に記したようにそのテーマに関連する研究論文や著書、レビューなどをIntroductionのセクションで紹介。当該テーマがいかに必要で解明すべき内容だ、あるいはこれまでの一連の研究においてここが未解明で興味深いと明確と導いていく。この論文が投稿された段階でこのテーマについてはここで最先端の議論が進んでいると読み取れるように。
もちろん後半のDiscussionでも今回のResults(結果)を従来の研究結果と照らし合わせつつ、予想される反論への対処や将来への課題など議論を多面的にすすめる。そこでもたくさんの論文を引用する。
AIの支援
ここであらたな支援について紹介しておきたい。この2年のあいだのAIの進歩。それ以前から使っていたがより強力になったと感じる。論文作成時に議論を深める目的でAIが投げかける。大部分は既知だが気づかなかった欠けた視点が加わりはじめた。
ここにも関連する事象がありますよとか、こんな見方をする学者もいますと紹介してくれ、論文中にとりあげるかどうかはべつとしてあらたな視点があると気づかせてもらえる。
現在の作業
さて、現在の論文執筆作業についてつづきを。
このところの翻訳アプリはくせを把握すれば申し分ない。生命科学の用語のわずかな修正をたまにおこなえばあやしげな訳にはならない。用語に関しては2年前よりも格段に的確になりつつある。あともうすこしといったところか。
ただし英文に関しては、生命科学の学術論文によく使われるような常套句やよく用いられる表現に関してはもうすこし磨かれるといいかなと思う。
ゆめ物語
まだ夢かもしれないが究極的には、こちらが相対して話す当該内容を上に記した論文形式にまとめてくれるAIのサポートが理想。つまりは「気の利く」アシスタント役であってほしい。
この部分の傍証がたりないとか、こちらに疑問の余地が…など、そのときどきにおうじてアドバイスや相談にのってもらえると。日々の実験が終わるたびに、論文形式でまとまったかたちで見れると理想的。
もちろんそれには専門のスキルを持ち合わせており、日本語にありがちなあいまいさなどを熟知し、的確な学術論文用のいいまわしの英語にとらえ直し、体裁よくまとめてくれる能力は必須。つまりはわたしの代役。
いまの時点では
現時点では、あいかわらず下書きの英文について、翻訳アプリ(英⇒日)でまともな日本語に訳されるか否かでチェック。英文から翻訳された日本語の意味が通り、そつなく読めればもとの英文はそれなりにできているはず。これをくりかえしつつ英文を見直して、体裁や内容のさらなるチェック。さらに最終的にネイティブの方へ見ていただく。
こうしてすこしは依頼先の方々の手をわずらわせることを軽減できそう。ただしこの英作文チェックとネイティブの方への依頼については2年前と変化していない。
おわりに
しごとのすすめかたは変わりつつある。それはタイプライターからワープロ、そしてPCと変化してきた流れとは、さらに大きな変化と言えそう。それにくわえて学生さんのサポートは変わる面と変わらないところの両面ある。
英語の習得に関してはやはり重要。翻訳アプリ、AIに任せっきりではいただけない。AIを使えるようになってほしいが、あくまでも統括するのはニンゲン。べつにとがめない。つかいこなせるようになってほしい。そして同時に論文内容の理解に力点をおいてほしい。論文講読の英語の負担軽減をアプリにサポートしてもらいつつ、ヒトは書かれた内容の理解にはげむ。
一部の労苦はAIにアシストしてもらいつつ、より本質的な内容理解とその先へとすすんでもらいたい。もちろん英語能力も充実させてほしい。
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