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闇 467(2019年48歳編)

闇 467(2019年48歳編)

2026/02/01 sun
前回の章


二千十九年九月七日、土曜日仏滅。

客足が減り、食事休憩。
大久保病院方面に向かい、ちづる食堂へ入る。
ここに来るのも久しぶりだ。
インカジ新宿クレッシェンド時代ぐらいか?
そうすると二千十四年になるから五年ぶりになる。

これまで何故歌舞伎町にいながらここへ来なかったか?
大きく分けると理由は二つあった。

一つは深夜暇しているホスト連中が多いので、とてもうるさい。
もう一つはちづるという名前が、今は亡きお袋の名前だからである。

この店に罪などない。
しかしこの二つがずっと引っ掛かっていたのは事実。

それでももうお袋はこの世にいないのだ。
ずっと幼少の頃から憎悪だけで築いた親子関係。
処女作新宿クレッシェンドを書いた時点で、洗心したのではないかと感じたが、モヤモヤは晴れていなかった。

そんな事を考えながら、温かい豚しゃぶ定食を注文する。

2019/09/07 新宿 ちづる食堂 温かい豚しゃぶ

五年ぶりの食事。
確か最後は有馬記念を当てた時じゃなかったか?

確かあの時は、岡部さんが新宿に来て一緒に飲んだ記憶が蘇る。
そのあと一人で客で店に来てくれたフィリピン人のチェリーから連絡があり、彼女の店へ行った。

マゲたちの世話をしていると、携帯電話が鳴った。
店に来ていたフィリピン人のチェリーから。
「社長サン、お店やってないネ。どうしたの?」
客に告知もしないまま、ひっそりと新宿クレッシェンドは幕を閉じた。
チェリーからしてみれば、外国人が入れる貴重なインカジが一つ無くなったようなものである。
正直に店を辞めた事を言い、毎日来てくれたチェリーの店へ顔を出すからと伝えた。
「嬉しい、社長サン。今日大丈夫カ?」
そもそも俺は社長でも何でもないし、現在無職だからただのプー太郎。
でもその説明を彼女にして納得させるのは難しい。
正に日本人と外国人との言葉の壁だよな……。
それでもチェリーはよく俺の店に来てくれた子。
気持ちが嬉しかったし、感謝も当然あった。
行く行くと社交辞令で終わるのも好きじゃない。
「うん、今日時間あるからチェリーのお店に行けるよ」
「ホント? 私嬉しいネ」
彼女へ店の場所を聞き、中野まで向かう。
ブロードウェイの入口で待ち合わせる。
「チェリーお腹は?」
「少し減ってル。私、いいお店知ってるネ」
彼女の希望する店へ向かう。
ブロードウェイから横道へ入った近くの店でシェラスコのディナー。
美味そうな見栄えの割に味はいまいちだった。
会計は二人で五千円台。
値段は安い店で安心する。
チェリーの働くフィリピンクラブは中野サンプラザの近くにあった。
「社長サン、シャンパンいいカ?」
「構わないけど、あまり高いのは入れないでくれよ」
テーブルに花火が刺してある豪華なフルーツの盛り合わせが出てくる。
「おいおい、会計十万超えるんじゃないのか?」
「大丈夫。ウチの店安いネ」
一応財布の中に二十万は持ってきている。
ただ会計をして驚いた。
シャンパンを頼み、豪華なフルーツの盛り合わせまで来ているのに二万円ちょうど。
下手な日本人の女の飲み屋なんて行けないくらい良心的な店だ。
見送りでエレベーター前まで来るチェリー。
南米系の血が入っているのか、従来のフィリピン人とは少し違った顔立ち。
普通に奇麗な女である。
「社長サン、今日ありがと」
チェリー別れ際抱きついてくる。
俺は誰もスタッフがこちらを見ていないのを確認すると、チェリーの顎に指を掛けて顔を上げさせ、濃厚なキスをした。
拒む様子のない彼女。
お互いの舌を絡み合わせ、身体を抱き寄せる。
豊満な胸を手で鷲掴みにした。
短く漏れるチェリーの吐息。
奥から彼女を呼ぶ声で我に返る。
さり気なくエレベーターへ乗り込み「じゃあまた」と短い挨拶をした。
外へ出てから、俺も節操が無いなと反省する。
この数日間で何人の女をいいと思った?
彩未に、けいこ。
そして今回フィリピン人のチェリー。
おいおい、色気づいている場合じゃないだろうが。
まずは職を探さないと……。

そういえば最近強飲のけいこの顔も見ていないな。
飯野君へ紹介し、好意を寄せてしまった手前もある。
あいつの店には新宿へ戻ってきてから、まだ数回しか顔を出していなかった。

そういえばあの時以来の小便を漏らした彩未は、今頃どうしているのだろうな?
中川の豚小屋近辺に飲みに来ているのか?
いやいや、あれから五年だぞ?
もうさすがにいないだろう。

温かい豚しゃぶ定食を食べ終わり、外へ出る。

大久保病院界隈には、相変わらず数名の立ちんぼう女たちが立っていた。
一晩二万が相場と聞くが、それならまだ風俗へ行ったほうがいい。
それでも虚しいから、俺はひろみとの面倒なやり取りをこうして毎日続けている。

二千六年の十二月クリスマスイブ前に別れた百合子以来、ちゃんとした彼女のできない俺。

一体俺はひろみに何を求め、何をしたいのだろう?

仕事を終え西武新宿駅に向かうと、いつものように山ゴネスがしつこく飲みに誘ってくるので回避するように新八食堂へ入る。

2019/09/07 新宿 新八食堂

酒を飲みたいだけの山下はそれを見て、諦めて帰ったようだ。
食べた食事の写真さえ送るように言ってくるひろみ。

申し込んだ旅行の新幹線のチケットが届いた頃に、九州へ行く事を伝えなきゃな……。


二千十九年九月八日、日曜日大安、白露。

仕事を終え真っ直ぐ家に帰りゆっくり睡眠を取る。
目を覚ましてもまだ昼過ぎだったので、ランチを食べに外へ出た。

クレアモールの湯游ランドの先にできたキッチュ食堂。

前から気になっていたので入ってみる。

2019/09/08 川越 キッチュ食堂メニュー

料金は全体的に高めな千円越えメニューばかり。
今ではまるで行かなくなったカフェアンジーのポークジンジャーを思い出し、頼んでみた。

出てきたのは想像していたのとはまるで違うポークジンジャー。
大きな白い皿の中央へお洒落に盛り付けた感じのもの。

ライスとスープは別につき、量的には少し物足りなさを感じる。

2019/09/08 川越 キッチュ食堂ポークジンジャー

味は美味くもなく不味くもなく不思議な味付けといったところ。
値段の割りに微妙な店だなという感想。

思えば日曜日というと、あれだけ競馬の結果を気にしていた俺が、まったく気にならなくなっている。
ひろみとのやり取りのお陰で、あれだけ狂っていたギャンブル狂の熱も無くなり、金の貯まる生活になったのだ。

この日、あとは大人しく家で過ごし、彼女とのチャットのやり取りで休みを終える。

二千十九年九月九日、月曜日赤口。

「おい、智一郎。何か郵便届いているぞ?」

寝ていると親父が郵便物を部屋まで持ってくる。
赤い風船と書いてあった。

ひょっとしたら以前申し込んだ旅行プランのチケットか?
案の定中身はホテルの宿泊券と、新幹線の往復チケットだった。

2019/09/09 九州博多 09/15プレジデントホテル宿泊券

プレジデントホテル博多……。

確か社長だか大統領だかの英語だよな?
随分大層な名前のホテルだ。

もう一つは新幹線チケット。
これは品川駅から博多駅まで。

2019/09/09 博多 往復新幹線チケット

九月十五日の朝十時三十七分発で、のぞみ二十五号。
ここだけは絶対に覚えておかないと。
帰りが九月十七日の昼三時十分発。

いくら都合があると言ったところで三日も九州にいれば、一日ぐらいひろみもさすがに会いに来るはずだ。

俺はチケットの写真を撮り、ひろみへ送る。
昼間は彼女の仕事が忙しいのか中々既読にならない。
まああとで見たら絶対驚くだろう。

夕方頃ひろみから電話が掛かってくる。
半分興奮し、半分は怒った口調。

「別に忙しいなら来ないでもいいよ。俺は全然旅行をしていないから、たまたま観光で九州へ行くだけの話だし」

あえて意地悪く伝え、手短に電話を切った。

時間になり新宿歌舞伎町へ向かう。
ラッキーハウスへ到着すると、一日早めのプール金を受け取った。

二つ封筒があり、宛名は『赤崎様』と書いてある皮肉。
考えれば新宿へ四度戻ってきてから、俺は赤崎隼人という偽名を二年半以上もこの店で使っている。
毎日もらう一万円の日払いに残りの八千円掛ける日数分のプール金。
もう一つは店の売上が良かった時の祝儀だった。

2019/09/09 ラッキーハウス プール金給料袋

しつこくチャットで話し掛けてくるひろみ。
業務中なので、返信をあえてしなかった。
もう九州へ行く事だけは確定しているのだ。

仮に彼女がその三日間で一度も来ないようなら、この面倒臭い関係を終わりにすればいいだけ。
最近彼女とのやり取りと仕事だけで生活が進み、フェイスブックなどのSNSですら放置気味だった。

二千十九年九月十日、火曜日先勝。

仕事を終えて帰りの小江戸号に乗る。
ひろみが何度も本当に来るのかとうるさい。

『チケットもちゃんと見せたろ? 別に嫌なら来ないでもいいよ。 岩上智一郎』

あえて冷たい返信をして彼女の感情を揺さぶる。
あれこれ質問責めのひろみ。
全部でいくら掛かったのか?
ちゃんと金は貯めているのか?

まだ実際に会った訳でもなければ、別に俺はこの女の彼氏でも何でもない。
ただ十五日に九州へ行き、来るなら抱くだけの話である。

あまり機嫌を損ねる訳にもいかず、ある程度の質問には答えた。
旅行プランの金額は確か四万円台。
金はある程度ちゃんと貯めている。

ちょうどもらったばかりの封筒を二つ破き、財布にあった一万円札も取り出して小江戸号車内で撮影して見せた。

2019/09/10 西武新宿線 小江戸号車内 一万円札の束

別にこの金額だけではない。
口座にも金を入れているし、家に帰ればプーさんの缶の中にも金は入っている。

そんなやり取りをしながら、あと三日経てば俺も四十八歳になるのかと実感した。


二千十九年九月十二日、木曜日先負。

仕事帰り川越へ到着すると、クレアモールにあるいつものゲームセンターへ行く。

どうせもう少しで九州へ行くのだ。
ひろみの為にUFOキャッチャーで、すみっコぐらしレジスターおもちゃや、ぬいぐるみなど適当に取っておこうと思ったのだ。

2019/09/12 川越ゲームセンター UFOキャッチャー すみっコぐらしレジスターおもちゃ

無駄遣いするなとブツブツ文句を言いながらも、ひろみは卑猥な自分の写真を送ってくる比率が増える。
まだハッキリ来るとは言っていないが、当日になれば張り切って会いに来るのが手に取るように分かった。

家に帰ると、九州へ向かう準備を始める。
三日分の衣服類。
あとはひろみ用にこれまで取ったUFOキャッチャーの景品類。
直前でくらづくり本舗の和菓子もお土産で買っておくか。

旅行なんてするのはいつ以来ぶりだ?

横浜は仕事でなのでカウントをしないにしても、過去思い当たるのが百合子と付き合っていた頃。

二千五年六月末になり、百合子の誕生日を兼ねた長野旅行へ行く。
長谷川に言い、三日間の休みをもらう。
行くコースはすべて百合子任せ。
雷電為右衛門について色々下調べをしていたので、密かに楽しみだった。
彼の産まれた聖地で、俺と魂が重なり合い、強大な目覚めがあるかもしれない。
どうするよ、身長が十センチほどいきなり伸びちゃったら……。
いや、そんな事あるわけねえだろ。
しかし百合子が言っていた雷電がこの地へ呼んでいるような気がするという発言。
彼女はあの時雷電が長野出身なんて知りもしなかった。
群馬に行ってから、霊感ゼロの俺でも奇妙な体験はしている。
その先長野では、何が待っているのだろうか?
そういえば自衛隊時代の同期の古澤が長野と言っていたっけな。
長野の松本で和牛飼っているとか。
久しぶりに連絡してみようかな。
いや、富田の時みたいな件になったら、面倒なだけだ。
縁があるなら、その内流れで交差する事もあるだろう。
海野宿というところへ到着する。
古めかしい建物。
何でも日本の道百選になっているようだが、腹が減っているので何か食べたい。
「ここの蕎麦を食べてみたかったの」
蕎麦よりうどん派の俺は、いまいち乗り気じゃない。
だけど百合子の誕生日なので好きなようにさせる。
一軒の蕎麦屋に入り、二皿注文。
足りなかったら別なところでガツガツ食べればいいさ。
古民家というのか座敷席へ案内され、蕎麦を待つ。
江戸時代というから随分昔だ。
おばあちゃんが明治生まれで、おじいちゃんが大正生まれ。
それより前の時代に雷電はいた。
本当に実在していたのだろうか?
この近くに雷電生家があると百合子は言っていた。
蕎麦が運ばれてくる。
「え…、何この蕎麦…。凄い美味くない?」
見掛けは普通の蕎麦に過ぎない。
しかしこれまで食べたどんな蕎麦よりも美味かった。
蕎麦を食べて感動したのはこれが初めてだ。

あの時の海野塾で食べた蕎麦は本当に旨かったっけ……。

また行ってみたいものだが、おそらく旅行好きの彼女でもできない限り、生涯行く事はないのだろう。

あの時が最後か?
いやいや、百合子はとにかくどこかへ行きたがった。
秩父の旅館もそうだ。

あの日の帰り、そのまま歌舞伎町へ俺は仕事へ行き、巣鴨警察にパクられたのだ。

今でも忘れはしない三十三歳の誕生日を迎えた翌日。

それ以外にも彼女の娘の里帆と早紀も連れて行った那須のホテルサンバレー。
考えてみれば、百合子の時以降俺はまったく旅行一つしていない事になる。

あれも確か二千五年だろ?
つまり…、俺は十四年間旅行をしていない事になるのか。

里帆とあの時飲んだ酒は美味しかったなあ……。

ついつい昨日の事のように思い出してしまう。

百合子が土曜、日曜と連休取れないか聞かれる。
理由を聞くと、外泊で那須へ行きたいようだ。
里帆は俺にかなり懐いている。
街を歩いていても、三十三歳の男の手を自分から繋ぎ、一緒に歩きたがるほどだ。
変に遠慮をする早紀の為にも、俺は時間を作り、目に見えない溝を埋めていきたい。
新作のデータ作りの火曜、金曜以外なら問題無いだろう。
長谷川へ相談すると、何事もなく許可を取れた。
「那須ってどこか行きたい宛てあるの?」
「サンバレー!」
どこかで聞いた事があるような……。
百合子が娘の里帆と早紀へ「サンバレー決まったよ」と言うと、二人は大はしゃぎで喜んだ。
「蟹食べ放題なんでしょ?」
「プール一杯あるところだよね?」
よく分からないが、子供たちにとっては行きたくて溜まらない場所のようだ。
サンバレー…、何度か聞いた事あるんだけどな……。
あ、そうか!
西武台高校時代、研修と称して三年間行ったボロいホテルの名がサンバレーだったっけ。
それにしてもあんな古ホテルなんか行って楽しいのか?
百合子へ尋ねると、俺の高校生の頃とは違い、二千五年の今現在では大改造をし、流れる温泉プールに様々な種類の湯、バイキング形式の大型レストランなどかなり変わったようだ。
実際那須のサンバレーへ行くと、あまりの変化ぶりに自分の目を疑ったほどだ。
豪華な食事に温泉プール。
これじゃ子供たちが大喜びするのも無理はない。
夜になると昼間はロビーラウンジとして喫茶店のような形で経営している空間が、カクテルなど洒落たお酒も出すBARに変わる。
俺は百合子に酒を飲んでくると伝え、そこへ向かうと里帆もついて来た。
今年から中学生の里帆。
ちょっとくらいは酒の味を教えてもいいか……。

2005年 ホテルサンバレー那須 俺と里帆

「里帆、ママには絶対に内緒だからな!」
「うん、分かってる」
里帆を甘やかした分、早紀にはたくさんのお土産を買ってやらないとな……。
このサンバレーで驚いたのが、硫黄の湯にあった黒石鹸だった。
顔中の脂分がすべて流れ落ちてしまうほどの効果で、俺の顔を見た百合子家族が大笑いしたほどだ。
色々あったけど、今の俺は仕事もうまく行き、家族という存在もできた。
悲惨だった時代を思うと怖いくらい幸せだ。

四十七…、いや明日で四十八歳と考えたら、三十三歳の頃だからあれから十五年も経つのか……。

自分で手放してしまった幸せ。
現状がこのザマ。

里帆はあの時で中学生になったという事は、十三歳ぐらい?
つまり今では二十八歳。
百合子なんて俺の二つ上だから、五十歳になっているのかよ……。

成功したら本当にあの親子たちには金をあげたいぐらいだ。
せめてもの罪滅ぼしに。

大切な時期に、俺は別れたという選択をした事で一つの親子の人生を惑わせてしまっただけなのだ。
どう考えてもやはり俺は業が深過ぎる。

時間になりいつものように新宿へ。

小江戸号車内のテーブルの裏側にはカナヘイのラッピング電車運行開始と書かれたシールが貼ってある。
俺はその写真を撮ると、ひろみへ送った。

2019/09/12 西武新宿線 小江戸号車内カナヘイ

このまま出勤して仕事中に四十八歳を迎える俺。

だらしない愚直な人生。
だが、これも俺が馬鹿げた結果を選び続けた末路なのだ。

俺の誕生日前日に一人盛り上がるひろみ。
下着姿の写真を送っては俺の反応を確かめているようだった。

まったく俺は何をやってんだかな……。

そんな心など嘲笑うかのように電車は無情にも新宿へ黙々と進んでいく。


二千十九年九月十三日、金曜日仏滅。

とうとう業務中に四十八歳を迎える。
職場の誰にも自分の誕生日を伝えていない為、誰一人当然祝福もない。
十三日の金曜日に、オマケで仏滅かよ……。

馬鹿な山下は少し暇になると、仕事帰り一杯行くかとタカる事だけ考えている。
ラッキーハウスの業務の兼ね合いがあるからたまに相手をしているだけで、そうでもないととっくに縁など切っているだろう。

ひろみだけはキチガイのようなメッセージを送り祝福してきた。
一服の最中フェイスブックを確認する。

去年同様たくさんの祝福コメント。
一人一人返事をする事を考えると、それだけで気が重くなってきた。

何で俺は、こんな面倒なものを未だ続けているのだろうな……。

溜め息とまだこんな俺に言葉を掛けてくれる人たちがいるという安堵。
不思議な葛藤の中、セブンスターを揉み消しINキーを持ってホールへ向かう。

仕事を終えるとしつこい山下を置き去りに真っ直ぐ川越へ帰る。
面倒なので個人的に返事をしていないまま、俺はいつものゲームセンターへ寄った。

今日と明日出勤すれば九州。
きっとひろみはプレジデントホテルに来るはず。
そんな確信はあった。

懲りずにUFOキャッチャーの景品を取る。
見事すみっコぐらしの長財布を取ると、写真を撮影した。
本当にフェイスブックにも載せる価値がない写真ばかり、俺は撮っているよなあ……。

2019/09/13 川越ゲームセンター UFOキャッチャー すみっコぐらし長財布

家に帰ると、一人一人の祝福コメントを眺めた。

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