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[前編]名店の裏に、この男あり。行列を生み出す製麺師・不死鳥カラスさんの、店主の熱意に応える麺づくりと職人哲学【#応援のプロマガジン】

こんにちは!株式会社イタミアートのPR担当のFです。私たちは「のぼり旗」や「横断幕」などの製造販売で、日本中のお店の商売繁盛を全力で応援している上場企業です。

そんな私たちが、「世の中には、とんでもなく熱い『応援のプロ🔥』がいるらしい」と聞きつけ、突撃インタビューを敢行する新企画「#応援のプロマガジン」。

第7回目のゲストは、東京・浅草にある老舗製麺所「浅草開化楼」の製麺師であり、麺プロデューサーとしても知られる不死鳥カラスさんです。
浅草開化楼といえば、ラーメン好きなら一度はその名前を目にしたことがあるはず。

つけ麺ブームを牽引した「六厘舎」や「つけめんTETSU」、そしてミシュランガイド東京で一つ星を獲得した「銀座 八五」。日本のラーメン史を彩ってきた名店の麺づくりを、カラスさんは陰で支えてきました。

そして料理研究家・リュウジさんのYouTubeでも絶賛された大ヒット商品・低加水パスタ「カラヒグ麺」の開発者でもあります。

前編では、「日本の麺文化を応援するプロ」である不死鳥カラスさんに、その唯一無二の麺づくりの哲学と、数々の繁盛店を支えてきた店主たちとの熱い物語について、じっくりとお話を伺いました。

【Profile】不死鳥カラス(ふしちょうからす)昭和25年創業・浅草開化楼のカリスマ製麺師。プロレスラーとしての経歴を持ち、覆面がトレードマーク。「六厘舎」「つけめんTETSU」などのオリジナル麺開発で2000年代中盤の一大つけめんブームを支えた立役者。製麺所の麺を使うお店として初めて2022年•2023年と2年連続でミシュランガイド東京の一つ星に選ばれた「中華そば 銀座 八五」の麺開発も手がける。また家庭用では低加水パスタ「カラヒグ麺」の開発者として、その製麺技術や考え方を広く共有していることでも知られる。

【裏方でも輝ける。マスクマン・不死鳥カラスという生き方】

イタミアートF:カラスさん、本日はよろしくお願いいたします!
まず、カラスさんにおすすめいただいたお店に行ってきたのですが、どこも本当に美味しくて感動しました。
麺そのものの凄みを、初めて体感しました✨

マスクがトレードマークの不死鳥カラスさん

不死鳥カラスさん:よろしくお願いします。喜んでもらえてよかったです。

イタミアートF:まずは製麺師であるカラスさんご自身のことや、お店との関わりについて深く伺えればと思います。それでは簡単に自己紹介をお願いできますか。

不死鳥カラスさん:はい。東京・浅草の町工場、浅草開化楼という製麺所で働いています。昭和25年創業の老舗の部類に入る中華麺の製造会社ですね。
そこに31歳で入社したので、今年で勤続25年になります。立場としては、普通に平社員ですよ!毎日工場に入って麺作っている工員です。馬車馬のように(笑)

イタミアートF:普通の平社員と言われると、ちょっと驚きです。
カラスさんといえば、そのトレードマークであるプロレスラーのマスクが印象的です。

不死鳥カラスさん:僕の前職ってプロレスラー・大仁田厚さんの芸能マネージャーだったんです。都合10年の最後の2年、このマスク姿で自分もリングに立っていたんですよ。その頃の経験を自分の見せ方に転用している部分はありますね。

製麺所の人間なんて、本来は表に出ない完全な裏方です。だけど、裏方であっても顔を覚えてもらうきっかけになるなら、使えるものは使えという考え方ですね。意味のある仕事をしている限り、このマスクは強力な武器になります。

不死鳥カラスさん:大仁田さんが無名から、日本中の老若男女誰もが知ってる存在に成り上がっていく姿を誰よりも間近で見てきたからこそ、どうやったら売れるか、どうやって認知してもらうかという勘所は持っているつもりです。裏方でも輝けるという社会の姿を、自分自身で体感して動いているという感じですね。

「製麺所の麺では星が取れない」というジンクスを、ひっくり返した

イタミアートF:浅草開化楼さんは800以上のお店に麺を届けていらっしゃいますが、カラスさんがその中でも印象的だったお店を一つ教えてもらえますか?

不死鳥カラスさん:「銀座 八五」ですね。ミシュランガイド東京で一つ星を獲得したお店です。

ある日、店主の松村康史さん(フレンチシェフを36年間極めた名匠)から連絡を受けて『銀座で新しいラーメン店を、これまで誰もやっていない革新的なスープでやりたい。ミシュランも決して無視できないような(お店にしたい)』と言われました。

その時点で、僕のお客さんで、ミシュランガイド東京に載るようなお店は、1店もなかったんですよ。

イタミアートF:当時はそうだったんですね。

不死鳥カラスさん:八五はラーメンの味を決めるタレを使わず、素材のうま味を活かしたスープの味だけで食べさせるラーメンなんですよ。無駄な主張は要らない、何よりこのスープを美味しく味わってもらう麺にしたいと思いました。

低加水の細麺ですが時間が経っても『伸びない、膨らまない、溶け出さない』と。そのために選んだのが、僕がパスタ用(後編に登場するカラヒグ麺)に開発した配合です。

で、八五専用麺としてリリースして。その後、ミシュランガイドで一つ星を獲得しました。

イタミアートF:すごい!

不死鳥カラスさん:それまで一つ星を獲ったお店は、八五を入れて4店。でも他の3店との決定的な違いがあるんですよ。八五以外の3店は全部、自家製麺なんです。

イタミアートF:なるほど…

不死鳥カラスさん:「製麺所の麺を使ってるから一つ星を取れない」っていうジンクスがあって。それを覆しましたね。

銀座 八五は2年連続で一つ星が続いたんですが、その後、ラーメン店の星付きの扱いにも変化があり、ビブグルマンとして掲載される流れになりました。

そう考えると、製麺所の麺で一つ星を獲ったというのは、本当に特別なことだったと思っています。

お客さんに見えるように置いている店もある、浅草開化楼の麺箱。

「つけ麺は絶対に流行る」。配達時代に感じた一杯の衝撃

イタミアートF:そこに至る前の、「つけ麺ブーム」を起こされた話も聞かせてください。

つけ麺ブームを語る上で、六厘舎さんやつけめんTETSUさんの存在は外せないと思います。そもそも、カラスさんがつけ麺用の麺を作るようになったきっかけは何だったのでしょうか?

不死鳥カラスさん:これは僕が浅草開化楼に入って間もない頃の話で。最初は配達のアルバイトとして入ったんですけど、その時に初めてラーメン屋さんのつけ麺を食べて、感動したんですよね。「絶対これは流行る」と思って。

当時、社内にはつけ麺専用の麺がなかったので、専用の麺を新しく作って、社内のラインナップに採用してもらえばいいと考え、開発に着手したのが始まりです。

イタミアートF:なるほど。六厘舎さんとの出会いはどんな形だったのですか?

不死鳥カラスさん:六厘舎の場合は、店主の三田さんから電話がかかってきたんです。「うちは毎日売り切れの行列店なんだけど、スープは美味しいって言われる一方で、麺がそれほどでもないって言われちゃうんだよね」と相談されたんです(笑)
もし麺が美味しくなったら最強の店になれるから、力を貸してほしいと。

当時の僕はまだ経験が浅かったので、最初は社内にあった万能型の低加水麺を流用したんです。それは背脂系のラーメンにも合うし、茹で方次第ではつけ麺にも使えるという麺でした。

だけど、お店側のオペレーションがまだ追いついていなくて、提供までに時間がかかっていた。その時に提供した麺では、いざお客さまが食べる時には既に劣化が始まってしまうという問題が顕在化したんです。

イタミアートF:そこからどのように改良していったのですか。

不死鳥カラスさん:三田さんから再度相談を受けて、今度は僕自身がつけ麺用に考えた麺を、三田さんが希望する太さで提案しました。それを食べてもらったときに、これいいっすね、と強い手応えを得られたんです。

イタミアートF:その改良が、後の大きな広がりにつながったのですね。

取材中に見せていただいた「製麺ダコ」。こんなところにタコができるんですね…

不死鳥カラスさん:そこから六厘舎さんは大ブレイクしました。ネットの口コミサイトで拡散され、さらにテレビ番組で佐野実さん(ラーメンの鬼と言われた、ラーメン店「支那そばや」創業者)が紹介してくれたことで全国的に火がつきました。

テレビ放映の翌日からは、浅草開化楼には「六厘舎の麺が欲しい」という問い合わせが毎日10件、20件と入り、それが約1年間続いたんです。

でもすべてお断りしました。六厘舎の三田さんと僕は、お互いにまだ無名だった頃から、2人でのし上がってきたわけです。
そうやって苦労して作り上げてきたものを、簡単に切り売りするような真似はしねえと。

揺るがない友情があるから、この麺は他には絶対に売らないと決めて、その麺を「鎖国麺」と命名しました。他には一切出さないという形を貫いたんです。

イタミアートF:熱いですね!

不死鳥カラスさん:つけめんTETSUの店主もラーメンに対してものすごく深い情熱を持っている人間です。節目節目でそういう熱い人間に会って、二人三脚でつながっていく仲間になれた。そいつらを絶対に負けさせるわけにはいかないという強い思いで、彼らの熱意に全力で応えていった結果が、あの頃の形につながっているんです。

とにかく僕は、熱い店主の想いに全力で応えたいんですよね。

頑張る脇役が、誰かの商売を根底から支える

イタミアートF:お話を伺っていると、カラスさんの麺づくりは、店主の想いを形にする仕事なのだと感じます。

私たちイタミアートも、のぼりや暖簾、横断幕などの製造販売を通じて、お店の想いや魅力を街に届けるお手伝いをしています。
立場は違いますが、「お店に繁盛してほしい」という気持ちには、通じるものがあると感じました。

不死鳥カラスさん:僕はこれまで、自分の作った麺が主役だなんて思ったことは一度もありません。本質的には「頑張る脇役」だと思っています。

ラーメン屋さんにとって、やっぱり自分で麺を作っていない限りはスープが命、という思いが強いじゃないですか。俺の麺が主役なんだよ、なんていう気持ちはサラサラない。その中で、自分の職人としての気持ちをきれいに腑に落としてくれる言葉が、ずっと大切にしてきた「頑張る脇役」というポジションなんです。


前編はここまで。後編では、イタリア料理人・樋口敬洋さんと開発した低加水パスタ「カラヒグ麺」の開発秘話、そしてカラスさんが見据える日本の麺文化のこれからについて伺います。

不死鳥カラスさんインタビューの後編は、来週公開予定です。後編もぜひご覧ください‼️

不死鳥カラスさんのXはこちら:@w960phoenix

取材時に使用した「ミニのぼり」。イタミアートでは、こうした小さなのぼりも制作しています。