手話が「好き」と「仕事」の間で揺れた瞬間
手話通訳士のあらかわいおりです。
手話に関することを幅広く発信しています。
現在5冊の本を出版し、
2026年中に10冊の手話の本を出版するべく執筆中です。
手話通訳のような、ボランティア色の強い仕事をしている方々が、
noteを中心に副収入を得ることで、
より仕事に励むことができる。
そのロールモデルになるべく奮闘中です。
Googleで「手話 あらかわいおり」と検索していただくと、
私の活動がわかります。
今日は、専業の手話通訳者になったころを思い出してみました。
手話に出会ったとき、私はただ純粋に「好き」でした。
楽しいから続ける。通じるのが嬉しいから学ぶ。
そこには、義務も責任も、ほとんどありませんでした。
だからこそ、あの時間はとても自由でした。
仕事を早期退職したときも、正直に言えば、
「これからは手話通訳者一本でやっていこう」
そんな覚悟は、まったくありませんでした。
むしろ、どこかで迷っていました。
このままゆるやかに関わっていくのか。
それとも、別の形で社会とつながるのか。
しばらくの間、答えは出ませんでした。
悩んだ末に、ひとつだけ決めたことがあります。
「残りの人生は、人の役に立つ形で生きていこう」
そのとき、自然と浮かんだのが、手話通訳でした。
好きで続けてきたもの。
でも、まだ「仕事」として真正面から向き合ったことはないもの。
だからこそ、選びました。
退職前、私は主に土日を使って手話通訳をしていました。
イベント、講演会、地域の催し。
どこか華やかで、一期一会の空気が流れる現場です。
もちろん責任はありますが、
どこか「非日常」の中での通訳でした。
ところが、平日も含めてフルで動くようになったとき、
世界は一変しました。
医療現場。
企業の研修。
継続性が求められる場面。
そこには「一回きり」では済まされない重みがありました。
通訳は、その場限りでは終わりません。
医療であれば、命や生活に直結します。
企業であれば、理解のズレがそのまま業務に影響します。
つまり、
「なんとなく伝わればいい」は、通用しない。
その現実に、真正面から向き合うことになります。
仕事として動き始めたとき、
自分の中の“甘え”が、はっきりと消えていきました。
これまでは、
「覚えたほうがいい知識」だったものが、
いつの間にか、
「覚えていて当たり前の知識」に変わっていく。
知らないでは済まされない。
準備不足は、そのまま相手の不利益になる。
そんな厳しさが、日常になりました。
正直に言えば、何度も思いました。
「好きなだけでは、やっていけない」
これは、きれいごとではありません。
手話が好き。
それだけでは、到底立ち向かえない場面がある。
むしろ、「好き」だからこそ、
その未熟さが痛いほど見えてしまう。
それでも、不思議なことに。
今は、その緊張感が嫌ではありません。
むしろ、
少しだけ心地よいと感じる瞬間があります。
背筋が伸びるような感覚。
一つひとつの現場に、真剣に向き合う時間。
「好き」だったものが、
「責任ある仕事」に変わっていく過程。
それは決して楽ではありませんが、
確かに、自分の人生の軸になっていく感覚があります。
「好き」と「仕事」は、同じようでいて、まったく違う。
でも、その間で揺れた時間があったからこそ、
今の自分があるのだと思います。
そしてきっと、これからも揺れ続けるでしょう。
ただ、その揺れの中にこそ、
本当に大切なものがあるのかもしれません。
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