【数字特化】純文学・初出店で11冊売れた自己分析|文学フリマ東京42を振り返る①
壱真審(いちしんしん)です🙋♀️
初出店。
なんなら文学フリマ自体も初参加。
同人即売会も買い手で友人に連れられての3~4回しか行ったことがない。
コミティアもコミケもその他の即売会もほぼほぼ縁がない。
なのに、初めてのイベントに出店者側で参加した。
申し込む数日前まで創作活動もしたことがなかった人間。
そんな私が、参加を決め、とりあえずやりきった。
どのジャンルにおいても初出店、しかも無名であるのならば
5~10冊売れたら御の字と言われている。
そんな中、【純文学】のジャンルで合計11冊売った。
決して多いとは言えないけど、少ないとも言えない。
数の問題じゃない。
それは勿論そう。
自己満足でいい世界。
でも、実際問題。
我が子とも言える《作品》を届けて、輝かせてあげられるのは自分自身しかいない。
私は自分のためじゃなく、自分の作品のために多くの人に届けたかった。
良いものができたと思えるからこそ、誰かに同じ感覚になって欲しくて届けたかった。
だから、短い準備期間の中で考えられるだけのことは意識し実践した。
その成果を、
感情ベースではなく、数字ベースで自己分析していこう。
次回の文学フリマへの反省として振り返られるように残しておこう。
数字を追えば、良いも悪いも再現性を高めることができる。
改善点を見ることができる。
この記事は、
・初出店でどのくらい売れるのか
・価格設定はどう考えるべきか
を知りたい人の参考になると思う。
📍結論から
・初出店/文学フリマ初参加
・ジャンル:純文学
・販売冊数:11冊
・持込作品:2種
・価格:700円/600円/セット1000円
・初期投資:約109,638円
・結論:価格よりも販売導線に課題があった
結論から言うと、
今回の私は、
「価格設定は概ね外れていないが、
販売導線に課題があった」
と判断している。
販売導線に関しても多少触れるが、正確な数値化まではできないので、その点はご了承ください。
🤜🏻🤛🏻前提として
まず前提として、
①初参加の1回で売り切れると思って準備をしていない。
②複数回の参加を視野にいれている。
③初参加となる今回は情報を収集するため。
ここは念頭に置きたい。
一喜一憂あれど長期戦の初陣としてブラッシュアップ前提で準備・参戦をした。
なので、
1回で売り切りたい。
印刷費をペイしたい。
そういう利益を生むような、商売っけ全開かと言うと全くもってそうではない。
だからと言って、
「これで満足」
と言ったらそうでもない。
数字が全てではないけど、数字もあるに超したことない。
その点を踏まえておきたい。
💰初期投資をする
初回の文学フリマでかかった合計金額は、
109,638円
内訳は以下の通り。
印刷代
・①『柔く毀れる道標』……18510円
・付属特典印刷代……7200円
・②『いつか、蹴飛ばしたかった』……28100円
・無配用コピー代(失敗)……1418円
・無配用コピー代、ポスター印刷代……1532円
参加費
・文学フリマ東京42、1ブース代……6600円
移動費
・新幹線など長距離移動費……21000円(障がい者手帳割引あり)
宿泊費
・快活CLUB……9250円
設営など
・ポスカ……3405円
・金庫……4220円
・卓上ポスタースタンド……749円
・名刺スタンド……1399円
・スマート本棚……1210円
・敷き布……3670円
・百均グッズ……1375円(空腹時のおやつ代こみ)
文学フリマに出店するまでの準備はこちらの記事を参考にしてみてください。
初出店の中では、比較的設営や備品に投資している方だと思う。
実際、ここは1番経費を削減することができる部分だ。
ここで1番重要なポイントは
【印刷費用】
だと考える。
先程の前提通り、
私は【1度で売り切ること】を想定していない。
そのため、
長期参加(5~6回以上)を視野に入れて印刷した。
部数は多くすればするほど、1部あたりの印刷費用が安くなる。
1部あたりの印刷費用が安くなれば、自然と販売価格も安く設定できる。
(心理的にも利益的にも)
だからこそ、
今時点で刷れるだけの部数を印刷することにした。
この「刷れるだけ」は、心理的にも物理的にも部屋を圧迫しない範囲を指す。
🗓長期計画(販売価格の設定の仕方)
利益度外視!とは言い切れない。
かと言って、
商売繁盛!を目標に掲げるような野心は今のところ全く持ち合わせていない。
ここではこの「趣味である同人誌作り」をより快適に続けられるだけのほどほどの設定金額を考えることにした。
「多少お金が戻ってきたら御の字だな」
そんな意識でやった。
これからも続ける前提なので、手に取って覚えてもらえる価格設定を重視した。
基本的に販売設定価格は、
1冊あたりの印刷費用×1.5~2.0
が相応しいとされるらしい。(筆者調べ)
今回の文学フリマ東京42に持っていった2冊の作品で考えると、
①『柔く毀れる道標』
具体的な計算方法
1.5の場合
(18510(本の印刷代)+7200(特典費用))×1.5÷50(全部数)=771.3(1冊あたりの目安)
2.0の場合
(18510(本の印刷代)+7200(特典費用))×2.0÷50(全部数)=1028.4(1冊あたりの目安)
②『いつか、蹴飛ばしたかった』
具体的な計算方法
1.5の場合
28100(本の印刷代)×1.5÷80(全部数)=526.875(1冊あたりの目安)
2.0の場合
28100(本の印刷代)×2.0÷80(全部数)=702.5(1冊あたりの目安)
となる。
つまり、
①柔く → 約900円が適正
②短編集 → 約600円が適正
という計算になる。
無配の印刷代や参加費用、移動費などを計上するのであればより高く設定する必要が出てくるだろう。
複数回参加となるとさらに参加費や移動費が嵩み、値段設定を高くする必要となる。
だが、
私は利益度外視とまではいかないものの、「元を取ろう」という意識は無い。
趣味をストレスなく続けるために、
「安すぎない価格設定にする」
という意識で設定をすることにした。
具体的にいうなれば、
「4回くらいの出店で①②の印刷代になるか、ならないか」
くらいの軽い気持ちだ。
①『柔く毀れる道標』700円
②『いつか、蹴飛ばしたかった』600円
2冊セットは300円オフの1000円
この場合完売が仮にできたとして、
セット販売で全部出しきった場合
68000円
セット販売0、全て単品購入の上振れで全部出しきった場合
83000円
なので、
2冊とも完売した場合で平均【75500円】
の売上が見込まれる。
印刷代は2冊(+特典費用)合わせて、
53810円
それに文学フリマへの4回分の参加費用(1回おおよそ6000円とする)を追加しても、
77810円
上振れと下振れの丁度中間くらいの値段になる。
この結果から分かるのは、
今回の価格設定は
「安すぎるわけでも、高すぎるわけでもない」
ということだ。
初出店の同人誌の価格設定はこのように決めた。
ポイント
・4回の出店で印刷費になれたらいいなくらいの値段設定にした
・利益を出したいのであればもっと高く設定する必要はある
・自分が創作活動を続けていけるラインを今回試した
課題
・自分ベースだと概ね適正値だが、買い手側からみてどうかは検証のためのデータが足りない
・そもそも価格判断フェーズに到達していない可能性が高い
・遠目で値段を判断していたかもしれないが、それがポスターの謳い文句なのか、レイアウトで敬遠されたのか、値段でなのか、今回の出店では判別不能
📕実際の売上と売れた時間
時間帯ごとに見ていく。
12:00~(イベント開始)
①、②、セット販売ともに0。
ブースの前を通る人ももちろんいるが、基本的にチラリと見られることもほとんどなかった。緊張と不安で笑顔が少し硬くなっている自覚があった。
13:00~(開始から1時間経過)
①1冊、②1冊、セット1。
ここで動きが出始める。先程の1時間と違い、ブース前をゆったりと歩く方が増え始めた。視線がポスターや本に向かっているのがわかる。スケッチブックPOPを掲げていた効果と、お隣さんのお声がけのおこぼれをいただけたのだと思う。私も簡単な声掛けと無配の手渡しが段々とできてきた。
14:00~(開始から2時間経過)
①0冊、②2冊、セット0。
先程の1時間と比べると落ち着いているように思うかもしれないが、見本を読んでくださる方が増えた。
声掛けして、立ち止まってくださり実際に本を手に取る。中には簡単にお話しを続けてくださる方もいた。
ある程度目当てのブースへ行き、買いたいものを手に入れたあとの余裕からなのだろうかと推察する。
15:00~(開始から3時間経過)
①1冊、②0冊、セット1。
フォロワーさんが買いに来てくださったりした。無配もたまに手に取っていただけるものの、ここで体力問題が顔をのぞかせた、立ち続けるのに少し疲れてきたのだ。
16:00~(最後の1時間)
①0冊、②2冊、セット0。
購入させていただいたブースさんが来て、1冊購入してくださった。また、隣のブース目当てに来たというお知り合いさんもついでで1冊購入してくださった。交流としての色合いが1番濃く顔を出した時間だった。
①4冊(うちセット2冊)
②7冊(うちセット2冊)
合計して11冊を持ち帰っていただけた。
この時間推移から分かるのは、
「序盤は認知不足で止まらず、
中盤でようやく接触が増え、
終盤は交流による購入が中心になった」
という構造だ。
無配の時間ごとの配布数も数えていた方が良かったのだろうが、残念ながらそこまで意識を回すことは出来なかった。無配の合計は後日、荷物が届き次第更新する。思っていたよりはお渡しすることができた感覚がある。
用意した111枚は残り枚数70枚になっていた。
これは41人の方に配ることができたということだ。
持ってきたうちの約37%。
販売冊数の倍を配布できればいいかなとの思っていたが、4倍配ることができた。
ただ、今回無配を貰ってからその後再び来たと言ってくださった方はいらっしゃらなかった。
ただし、
文学フリマというイベント特性上、
「その場で戻ってくる」ことだけが成果ではない。
無配は
・後日読む
・SNSで思い出す
・次回の来訪に繋がる
といった遅延効果もあるため、
短期的な再訪のみで評価するのは不十分だと考えられる。
訴求率は低いかもしれないし、今後の無配への課題として認識してもいいが、
そもそもの役割が違う。
未来の読者になりうる可能性を41枚配ることができたのだ。
今回の時間推移の結果から、
・序盤は「止める施策」が必要
・中盤は「見本→購入の導線強化」
・終盤は「交流を購入に繋げる導線」
この3段階で対策を分ける必要があると考えられる。
今回、1番見られていると感じた
ポスターなどの設営周りについて
は次回以降また詳しく分析する機会を設けたいと思う。
✅まとめ

今回の結果を数字ベースで整理すると、
・価格設定は大きく外してはいない
・売上は初出店としては基準ライン(11冊)
・ただし、販売導線に明確な課題があった
特に、
序盤は認知不足で立ち止まりが少なく、
中盤で接触が増え、
終盤は交流ベースの購入が中心になる可能性が考えられる
という構造が見えた。
つまり、
・「止める工夫」
・「見本→購入の導線」
・「交流を購入に繋げる設計」
この3つを段階ごとに設計する必要があると考えられる。
また、無配については即時の再訪には繋がらなかったが、
イベント特性上、後日接触や次回来訪に繋がる可能性もあるため、
短期的な結果のみで評価するのは不十分だろう。
今回の出店は、
「売れた・売れなかった」という結果以上に、
次回に向けた検証データを得ることができたという意味で当初の目的を達成でき、有意義だった。
次回出店時は、
この分析をもとに販売導線の改善を行い、
どこまで結果が変わるかを検証していきたい。
初出店の方にとっては、
「価格だけでなく、導線設計が結果を大きく左右する」
という一つの参考になるはずだ。
私の作品のために、
私の作品を必要とする"誰か"のために。
今回の11冊は、
結果ではない。
届けるための起点に過ぎない。
次回は、
失敗特化|やらなくてよかったこと/やるべきだったこと(仮)
初出店者の視点でまとめたいと思う。
𓂃 𓈒𓏸 𓋜 . *
■ この文章を書いた人の作品
今回の文フリで実際に販売した短編のひとつです。散文詩のような作品です。
▶︎「オール明けの朝」
短編集『いつか、蹴飛ばしたかった』に収録しています。
この本では、“日常が少し傾く瞬間”を角度を変えて6編書いています。
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