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加藤正行先生の作って楽しむヴァイオリン Part 4 仕上げ編

 加藤正行先生の一日セミナーで製作した”軽バイオリン”、セミナー当日には完遂できなかった作業やカスタマイズした点などについて、追加報告します。高次脳とは離れた話題だけど、まあ、許して。


ネックの整形

 これはイベントリポートにも書いたように、当日には削りきれていません。
 ネックの先端あたりでの、指板を含めた厚みは20mmを切るくらいが普通のようで、実際、自分のヴァイオリンを持った感じと比べてみても、まだ厚く太く感じました。
 少しずつ削って、スクロール側で20mm、ボディ側で24mmくらいまで削りました。ボディ側はもう少し細いほうが弾きやすいのでしょうが、ちょうど節のような硬いところがあり削りにくいので、角材そのままっぽい形状ですが、まあ、良しとしましょう(筆者はまだファーストポジションしか習っていないので、今のところ、これで困らないのです)。

 指板からの弦高を計測してみると、わずかに高いようなので、配布されたA3マニュアルに記載された数値に合わせました。
 次に駒上端に弦溝を配置します。マーキングされた位置に弦溝を作り、潤滑剤として鉛筆の芯を擦り込みました。

駒の”見た目”チューン

 ここからは工作を楽しむために実施した、駒の整形作業です。見た目だけ、カッコだけの工作で、ヴァイオリンの音色を良くするための作業ではないことにご留意ください。
 まずは、駒上半分のスクロール側をヤスリとサンドペーパーでくさび形に削り、少しだけ、薄くしました。横から見ると、いかにも駒って感じになりましたよ。

駒のスクロール側の上半分をくさび形に整形

 通常、駒にはハート型とキドニー型の肉抜きがあります。これを素人工作で再現するのは、少なくとも筆者には無理なので、ドリルで穴あけして、なんちゃってハート&キドニーを作りました。ハートは中心線を挟んで穴2つ開けて、下端を糸鋸で切ってつなぎ、キドニーは穴開け後、下端を糸鋸で切っています。
 うーむ、見た目いまいちだけど。さらに調子に乗って、駒の下方、両側を削って、駒足っぽくしました。これはちょっと本物に似ても似つかないな。チェロなど大型弦楽器の駒みたいになってしまったぞ(見出し画像参照)。
 これらの作業は、音色に影響があるかもしれないし、そもそも、駒の耐久性が落ちる恐れがあります。
 というわけで、このあたりは調整と言うより、遊びレベルの話で、駒の耐久性の観点からは、やらないほうがいいかもね。
 ちなみに駒の整形による音色の変化ですが、筆者にはよくわかりません。すみません。

ナットの調整、弦溝位置

 糸巻きネジーナットー駒がなるべくスムーズにつながるようにしました。各溝に、潤滑剤として鉛筆の芯の黒鉛を擦り込みました。

f字孔

 fの字の横棒を刻みました。装飾としてだけではなく、駒位置の目安としての、実用的な意味もあります。

テールピース

 テールピースの弦を通す穴を、3.5mmのドリルですこしだけ拡大してアジャスターを取り付けられるようにしました。これもカッコだけです。
 軽バイオリンでは糸巻き自体がネジなので、構造的にはアジャスターと似たようなもの、アジャスターは必ずしも必要ないのではないかと思います。実際、E線にはアジャスターを装着したものの、あまり出番がありません。

画像ではブラックですが、シルバーのアジャスターに変えるとテールピースのアクセントになります。

塗装

 完成したヴァイオリン、白木のままで美しいのですが、弾いているうちに汚れてくるのは目に見えていますので、塗装することにしました。
 この軽バイオリンで最初に弾いた曲が「きらきら星」なので、これをモチーフにしたいと思います。テーマはミッドナイトスカイ。ミッドナイトブルーのベースカラーに、パール(ラメ)のキラキラと星型シールで「きらきら星」、なんてどうでしょうか。

下地

 まずは砥の粉で目止め。裏板は導管が目立つので目止めは必須。一方、表板はそのまま塗装できそうなすべすべの突板仕上げ。テスト塗装してみたところ、表板も目止めしたほうがよりきれいに仕上がることがわかりましたので、両方とも目止めすることにしました。
 手元にあった白い砥の粉を目止めに使ったところ、ヴァイオリン全体が真っ白に。濃色の塗装をするのに下地が真っ白では、ちょっとなあ・・・。
 目止め処理後、ウッドプライマーで下地を調えました。使用したプライマーも白色。さらに全体が真っ白に。これでアクリル透明色で濃色に着色できるのでしょうか、不安になってきたぞ。

彩色

 下地ができたらアクリル絵の具で着色。ですが、これがうまく塗れず、ムラムラになって、なんだか汚くなってしまった。塗装は苦手だからやめたほうが良いかなと思ってはいたのでが、そのとおりになってしまって、なんともはや。気落ちして、一週間放置、完全乾燥。
 気を取り直して2回めの彩色。まだムラムラではあるけれど、多少はましになったかな。とはいえ、やはりかなり気になるムラムラ。もう一週間乾燥させて三度目の正直。ようやく、全体がミッドナイトブルーっぽくなりました。とはいえ、ムラムラは残っているけど、まあ、こんなもんかな。
 トールペイント経験者の家内に見せると、ムラも味だからこれでOKと。というわけで表板3層彩色で完了としました(裏板は見えないからまあいいや、2層で完了としました)。
 さらに完全乾燥後にクロマパールのグレージングを試みました。テストではミッドナイトブルーのベースにパールが載って、偏光効果でキラキラ輝く仕上がり。本番に取り掛かったのですが、どうやっても、輝かない。濃度を変えても、塗り方を変えてもだめ。これは諦めるしかない。ただの濃いブルーになってしまった。

描画

 さて、完全乾燥させてここに絵柄を描きます。何を描くって?ミッドナイトスカイのきらきら星ですから、星座です。
 どの星座を描こうか。もちろん、星座絵を描く技量なんてあるわけないので、あくまで星の配置だけ。であれば、わかりやすいのがいい。それに天の川もあったほうがいいな。というわけで、夏の大三角形に決定。中央にコバルトブルーパールで天の川、それを挟んでこと座とわし座。天の川を白鳥が泳ぐ。これだ!
 アイディアは良かったのだけれど、絵心がないね、あまりにも。やっぱりパールが乗らなくて天の川にならないし、星座はどれもこれも、ただのシミ、汚れにしか見えないよ。がっかり。

トップコート

 またしばらく期間を置いて、完全乾燥。気を取り直して仕上げ塗装に取り掛かります。
 表板は光沢重視で水性アクリルニスのコーティング。側板と裏板は耐久性重視で水性ポリウレタンニス。なおネックはポリウレタンニス一層で仕上げることにしました。
 で、実際に取り掛かってみるとこれがなかなか難しい。水性アクリルニスをスポンジ筆と刷毛で塗ったのですが、どうしても筆目が残る。2層塗った時点で、たしかに光沢面となり、また、ある程度、映り込みも出るのですが、いかんせん、筆目で凸凹した感じ。#500と#1000で研磨して3層目を塗ったのですが、結局、筆目は残る。うーん、筆塗りは無理!と、拭き取ってしまいました。ワイプの跡は残るのですが、ニス層がごく薄くなるようで、筆目よりは多少マシな仕上がり。まだ映り込みが足りないのですが(それでも駒がしっかり映り込む程度には光沢面になりました)、もう3層塗ったことだし、やればやるほど汚くなるかもしれないので、これで上がりとしました。素人工作なので、こんなもんで許してください。それより、早く弾きたいし。
 一方、裏板と側板に使ったのは、耐久性重視で屋外用のミルクペイントトップコート。水性ポリウレタンニスのグロスタイプとは言え、屋外用の、もともとマットな仕上がり。光沢を追い求めず、2層塗った時点でそれなりに保護目的のコーティングは達成されたと考えて、完了としました。

星型シール

 星座の配置図はパール絵の具で点状に描いたのですが、やはり汚い。当初の予定通り、星型シールで表現することにしました。ヴェガ、アルタイル、デネブの大三角形を形成する一等星に一番大きな星型。アルビレオにもう一回り小さい星型シール。その他の星に一番小さいシールと三段階で表現してみたものの、うーん、かっこ悪いわ。星座はないほうが良かったかも。

とりあえず、完成

 3ヶ月かかってようやく塗装が完了。作業ができるのは、塗装に適した天気と気温が揃った休日のみ。そんな日はそうそうあるわけがない。そんなわけで3ヶ月もかかってしまったのでした。弦を張って、ようやく完成です。長かった。

織姫星と彦星の間の天の川がこの画像で見えるかな、どうかな。

*塗装に際しては、一旦、指板を取り外しています
 もちろん、指板をつけたまま塗装できますが、指板を取り外したほうが作業性が良いと判断してです。
 指板をつけたまま塗装される場合は、指板をマスキングしておくと良いと思います。
 すでに述べたように、指板はネックに瞬間接着剤の4点接着で固定していますので、ここを外します。
 瞬間接着剤固定を外すには、ネットで検索して調べてみると
1)物理的衝撃を与える
2)温める
3)溶剤を使うの3つの方法があるそうです(ネットで調べた情報は必ずしも”正しい”とは限らないので注意が必要、と書くと、筆者のブログ自体も信用ならないってことになりますね)。
 1)は例えば、ハンマーで叩く。2)はドライヤーで加熱する。3)は除光液(アセトン)など。
 アセトンを使うのは流石に怖いので(毒性、木材の損傷)、ドライヤーで温めて、クラフトナイフで切ってみることにしました。あるいはそこまで前処置をしてからハンマーか。
 とりあえず、弦〜テールピースを外しました。
 ところが、軽バイオリンをたてていたスタンドを不注意で倒してしまい、その衝撃で、いきなり指板が外れました(泣)。
 何のことはない、物理的衝撃により、きれいに外れて結果オーライでした。あとは指板にわずかに残った接着剤をドライヤーで加熱してからクラフトナイフで除去して完了です。
*塗装後の指板再取り付け
 表板の中心線から左右に20mmの位置にマーキングし、指板末端をこのガイドラインに合わせて、中心線を確保しました。

フィッティング

 肩当ては手持ちのものがそのまま使えました。基本的な形状・サイズは通常のヴァイオリンと同じですから、フィッティングパーツ類もそのまま使えるわけです。
 とりあえず、早く弾いてみたかったのでありものを使いましたが、せっかくの自作楽器、肩当ても既成品を使わず、創意工夫で自作するのも楽しいかと思います。加藤先生のサイトにスポンジたわしを使う方法が紹介されています。
https://gakkinomori.jimdofree.com/%E8%BB%BD%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3/

試奏

 塗装工程の間、ずうっと弾けなかったので、早速、試奏です。第一印象は、元気いっぱい、よく鳴るなあって感じです。楽器全体が振動板と化して盛大に振動しているというのでしょうか。
 ヴァイオリンの音色は奏者の音色と言われるように、楽器よりも奏者に依存するもの。筆者が弾けば、どんな楽器を弾こうと、いわゆる”のこぎりの目立て”、ドラえもんの”しずかちゃん”状態ではありますが、今回製作した軽バイオリンは、自分のヴァイオリンよりも高音寄りの音色に感じました(スペクトルを見ると、自作軽バイオリンのほうがやや倍音が強めのような気が)。
 一週間ほどで弦のピッチも安定してきました。また、製作当初にあったややカンカンした響きも落ち着いてきたように感じます(このあたり、スピーカーキャビネットの製作と同じかもしれませんね)。

消音化

 楽器は当然ながら音が出ますので、演奏には時間帯と場所の制約が生じます。解決策の一つとして消音化が挙げられます。
 今回、消音には駒にかぶせるタイプのゴム引き金属製サイレンサーと棒磁石2本を使いました。棒磁石は駒を両面から挟み込みます。
 消音の程度は、
ゴム製サイレンサー<ゴム引き金属サイレンサー<さらに磁石追加
の順に効果が大きくなりました。
 このままでは蚊の泣くような音になってしまうので、ピエゾピックアップで弦の振動を拾い、ヘッドフォンで聞けるようにします。
 一般のヴァイオリンは駒以外に平面の部分がほぼないので、ピックアップを貼り付ける場所に苦慮しますが、軽バイオリンはどこにでもつけられます。今回はペグボックス裏に貼り付けました。ピックアップの出力をアンプからヘッドフォンに繋げば完了です(アンプにはAmplug2を使いました)。
 消音機能付きピアノのように無音とまではいきませんが、なんとか制約のある環境でも弾けるようにはなりました。

おわりに

 以上で軽バイオリン製作リポート完結です。最後までおつきあいいただきありがとうございました。
 長々と書き綴ってきましたが、加藤先生はおっしゃいます。「ヴァイオリンに薀蓄はいらない!」。ただ、作って弾いて楽しむ。ここがキモでしょう。この一連の記事が、皆さんの生活にクリエイティブな活動を取り入れるきっかけのひとつとなれば、そして毎日を楽しむヒントになれば幸いです。

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