CKDの患者さんに酸化マグネシウムを出す前、私が必ず確認する3つのこと
「HONOさん、〇〇さん最近便が出てないみたいで
…マグミット出してもらったほうがいいかな?」
病棟でこう声をかけられたとき、
反射的に「そうですね」と返したくなる気持ち、よくわかります。
でも、相手がCKDの患者さんだと、私は一瞬手が止まります。
『この人、Mg値どうだったっけ』
『そもそも便秘の原因、薬じゃない?』
『eGFRいくつだったかな…』
頭の中でいくつもの問いが同時に走る。
今日はその"一瞬の迷い"を、
3つの確認ポイントに言語化してみました。
回復期リハ病棟でCKD患者さんの便秘と向き合ってきた中で、
「これを確認せずに出すと、後で困る」と学んできた視点です。
なぜCKD患者の便秘を「ただの便秘」で済ませてはいけないのか
最近、「腸腎連関」という言葉を目にすることが増えてきました。
腸腎連関とは、
腸と腎臓が互いに影響し合う関係のことです。

腸内環境の乱れが腎機能をさらに悪化させ、
腎機能の低下がまた腸内環境を乱す
──そんな悪循環が、CKDの患者さんでは静かに進んでいます。
つまり、CKDの便秘は「ただの便秘」ではなく、
腎機能をさらに弱らせていくサインかもしれない。
だからこそ、私は
便秘薬を選ぶ前に必ず3つを確認するようにしています。
確認①:その便秘、薬剤性じゃない?
回復期に来る患者さんは、
平均8.5剤を持参してきます(自院データ)。
その中に便秘を引き起こす薬が隠れていないか、
まず処方歴をスキャンします。
特に要注意なのは:
抗コリン作用のある薬(過活動膀胱治療薬、三環系抗うつ薬、第一世代抗ヒスタミン薬)
オピオイド(術後・がん性疼痛の名残で残っていることが多い)
鉄剤・カルシウム製剤(CKD患者では必須な一方、便秘の原因にもなる)
降圧薬のCa拮抗薬(特にアムロジピン)
「便秘の原因薬」を放置したまま
酸化マグネシウムを足すのは、
蛇口を開けたまま床を拭くようなもの。
まず原因薬を見直せないかを多職種で相談するのが先です。
確認②:腎機能と血清Mg値、最後に測ったのいつ?
酸化マグネシウムは
CKD患者で高Mg血症のリスクが跳ね上がります。
特にeGFR 30未満では、
定期的なMg値測定なしの長期投与に私は待ったをかけます。
確認するポイント:
eGFR(できればシスタチンCも併用評価)
血清Mg値(基準値内でも経時的に上昇傾向ならアラート)
意識レベル・腱反射(高Mg血症の初期サインは見逃されやすい)
「マグミット出してOKですか?」と聞かれたら、
私はまず
「最後にMg測ったの、いつでしたっけ?」
と返すようにしています。
確認③:本当に酸化マグネシウムが最適?
CKD便秘では、酸化マグネシウム以外にも選択肢があります。

私はよく、セラピストや看護師さんと一緒に
この患者さん、朝のリハ前にトイレで詰まると訓練が進まないから、
夜間効くタイプより日中効くタイプにしませんか?
というような、生活動線を踏まえた便秘薬選びを提案しています。
これができるのが、病棟薬剤師の強みだと思っています。
薬剤師が見るのは、便秘薬だけではない
便秘の患者さんを前にしたとき、
私が普段から
意識的に確認している項目をまとめるとこうなります。

いまだに抜けてしまうことが多いですが、
チェックしてみる価値はあります!
便秘は単なる症状ではなく、
患者さんの生活や薬物療法全体を見直す入口になります。
CKDの便秘は、腎臓病薬物療法の「観察ポイント」
便秘って、地味です。
医師の処方意図にも書かれにくい。
看護師さんからも「便秘薬出して」のひと言で終わりがち。
でも、CKDの患者さんの便秘は、
腎機能・電解質・ポリファーマシー・生活動線
が全部つながった"観察ポイント"だと、
私は思っています。
「マグミット出してもらいましょう」
と返事をする前に、
3つだけ確認する。
それだけで、CKDの患者さんを守れる場面が、
現場には本当にたくさんあります。
最後に
みなさんの病棟では、CKDの便秘にまず何を提案していますか?
酸化マグネシウム以外の選択肢で
「これ良かった」というものがあれば、ぜひコメントで教えてください。
次回は、酸化マグネシウムをもう少し深掘りして、
「CKDでマグミットを使うときの私のチェックリスト」を書く予定です。
リクエストや「こんなケースで困っている」というご意見もコメントで歓迎します。一緒に学んでいけたら嬉しいです。
▶腎機能評価や腎臓病薬物療法に関する記事はこちら
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