なぜブラジルは20年以上W杯優勝から遠ざかっているのか
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6月26日朝(現地時間25日夜)、グループステージを2位抜けした日本は、ノックアウトステージ1回戦でブラジルとの対戦が決まり、キャプテン翼に現実が追いついたと話題だ。
王座奪還を狙うかつての名門
ブラジルがサッカー大国であるというイメージに、異論を挟む余地は全くないだろう。ところがそのブラジル、実は最後のW杯優勝は2002年にまで遡る。エースストライカーのロナウドが大五郎カットで耳目を集めていた頃だ。
その後のブラジルの戦績は以下の通り。
2006ドイツ大会 ロナウジーニョ世代で優勝候補筆頭もフランスに敗れベスト8 (優勝: イタリア)
2010 南アフリカ大会 オランダに敗れベスト8 (優勝: スペイン)
2014 ブラジル大会 自国開催の準決勝でドイツに1-7の大敗 (優勝: ドイツ)
2018 ロシア大会 ベルギーに敗れベスト8 (優勝: フランス)
2022 カタール大会 PK戦の末にクロアチアに敗れベスト8 (優勝: アルゼンチン)
つまりブラジルは、24年もの間優勝から遠ざかっていることになる。
その原因はネイマール以降が続かなかった(ヴィニシウス・ジュニオールとかどうだろう)、欧州の復権など、様々な理由が挙げられている。
そんな中で筆者は、その間のブラジル社会の変化を無視できないと考えている次第だ。
20年間の着実な成長
この間のブラジルはどうだったかと言うと、南米の中で地域大国としての歩みを着実に進めている。自国開催で大敗を喫してしまった2年後には、南米大陸初となるリオデジャネイロ五輪を開催している。
ブラジルという国は南米大陸のアマゾン川流域のかなり広い面積を押さえている。いわゆる地政学というやつでいえば、地域大国となるポテンシャルを抱えている。米国やオーストラリアに近い状態だ。(※筆者は地政学そのものは悪でないにせよ、それを都合よく捉えた思考停止には酷く嫌悪感をおぼえる)
経済力とスポーツの正の相関性
かつてブラジルでは、サッカーでの成功こそが成り上がりへの最短ルートであり、だからこそ運動神経の良い子はみなサッカーを選択した。日本でいうかつての野球のように、才能の集まる場所だったために、絶対王者として君臨していたのだ。現在はどうだろうか―
以前の記事で触れたが、今年開催されたミラノコルティナ五輪にて、ブラジル代表の選手が金メダルを獲得した。本人はノルウェー出身であり、ノルウェー代表としてもメダリスト級のレベルがあるとはいえ、普段はブラジルに住んでおり、大会の度に遠征しているのだから実態としてブラジル代表なのは間違いない。いずれにせよ、赤道直下のブラジルから冬季五輪で金メダルを獲得するのは偉業としか言いようがない。
つまり、現在のブラジルにはサッカー以外の選択肢もある。多様性が成熟してきたともいえる。アイルトン・セナを引き合いに出すまでもなく昔からモータースポーツは盛ん。日本でやたら人気のバレーボールでもブラジルは強豪。グレイシー一族に代表される格闘技。更には近年ではサーフィンも強いし、競馬界でも、香港競馬のマジックマンことジョアン・モレイラや現在来日中のフランシスコ・ゴンサルベスなどの騎手を輩出している。
いつしかブラジルはサッカー大国から、サッカーだけじゃない普通にスポーツ大国となったのだ―
先進国から転落した隣国アルゼンチン
ブラジルがベスト8で終わった前回2022年のカタール大会で優勝したのは、メッシとその親衛隊ことアルゼンチンだ。
アルゼンチンといえば、かつては世界でも屈指の先進国であった。『母をたずねて三千里』でマルコが追いかけてきた、あの頃のアルゼンチンだ。実際に欧州からの出稼ぎ労働者も多く集まっており、1910年代においては一人当たりのGDPも世界一レベルだった。首都ブエノスアイレスは南米のパリとも称され、南米で初となる地下鉄の開業、英国のデパート・ハロッズの唯一となる海外支店の開業を経験した。
その後のアルゼンチンは、世界恐慌の影響により主力の産業である農産物、畜産物の輸出に大打撃を被る。更に工業化への移行の遅れ、政権が変わるごとにコロコロと変わる経済政策、ポピュリズムの台頭により長らく経済が低迷する。結果、20世紀初頭に栄華を極めたアルゼンチンは、有史以来世界初の先進国から途上国へ転落するという憂き目に遭うこととなる。
ここ100年ほどうだつの上がらない思いをしてきたアルゼンチンが、軍事以外でナショナリズムを発揮できる機会、それこそがまさにサッカーであった。それはマルビナスとディエゴを見れば言うまでもないだろう。
アルゼンチンが度重なる経済危機を経験している間も、ブラジルは着実にその歩みを進めていた。農業大国でありかつ資源国。今やG20のメンバーとして主要国の座まで射止めている。
現在では余裕が出てきたブラジルと違い、アルゼンチンはより切迫しているともいえる。それは決して、ブラジルが弱くなったわけではないのだ。
現在のブラジルサッカーは
とはいえ、未だにブラジルはサッカー大国であることは間違いない。W杯でひとたび敗退すると未だに夜通し反省会するような国だ。
そう考えると、今のブラジルの輪郭が少し見えてくるのではないか。
王座奪還を虎視眈々と狙うかつての絶対王者である、と
翻ってこたびのブラジル戦。
筆者のイメージで日本はノックアウトステージ1回戦でトルコやベルギー、パラグアイ、クロアチアといった優勝未経験の中堅~強豪にいつもやられているので、今回モロッコを回避できたのは却ってよかったとすら考えている次第だ。
マイアミの奇跡をリアルタイムで見ていた当時の小学生は、2026年のマッチアップを万感の思いで見つめている―
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