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【憲法入門#3】戦争をしない国とは?(平和主義)

前回の記事(https://note.com/hogakuyoridokoro/n/nbbfd2e6d7888)では、「国民主権とは何か。」という話をしました。今回は平和主義について分かりやすく解説します。


憲法第9条1項について

日本国憲法第9条1項
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

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憲法第9条1項は、「戦争」と「武力の行使の放棄」を定めた条文です。ポイントは、「ここでいう『戦争』が何を指しているのか」というところです。政府の見解では、ここでいう戦争とは「侵略戦争」を指し、「自衛戦争」は含まれていません。つまり、この政府見解は国の利益のための「他国に侵攻する戦争」は禁止するが、「攻め込まれてしまった際に国を守るための戦争」はその限りではないという考え方です。

しかし、政府の見解が上記のとおりである一方で、学説の中では、自衛戦争も含めて禁止する解釈(完全平和主義)や国際社会が一致して平和を守るための活動(国際警察活動)は合憲であるとする解釈(国際警察力肯定説)など複数の学説があり、解釈の意見が分かれる条文の一つです。

憲法第9条2項について

日本国憲法第9条2項
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

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戦力(陸海空軍など)や交戦権(戦争を行うことや交戦国が国際法上持つ種々の権利(相手国兵力の殺傷・破壊、敵地占領、海上での臨検など))を持つことを否定した条文です。

こちらも解釈によって学説が複数ある条文です。戦力の不所持から自衛隊を違憲とする学説や、政府見解と同様に自衛隊は防衛のための必要最低限の実力であり、これは国際法上認められた自衛権であるとする説、さらには、自衛隊を軍隊として肯定し、憲法を改正するべきだと主張する説があります。

自衛権とは

では、先ほどの9条2項の説明で使用した「自衛権」という言葉について少し解説します。まず、自衛権とは、「自国が他国から急迫不正の武力攻撃を受けた際に、これを排除して自国を防衛するために必要最小限度の実力を行使する国際法上の権利」を指します。これには主に2つの種類があります。

(1)個別的自衛権

自国が攻撃を受けた際に防衛するために必要最低限の武力を行使するための権利です。政府見解では、日本国はこれを放棄しておらず、自衛隊はそのための「必要最低限の実力」であるとされています。

(2)集団的自衛権

自国と密接な関わりがある他国が攻撃を受けた際にも実力を行使し、これを阻止することを指します。2014年の閣議決定および2015年の安全保障法制の整備により、日本の存立が脅かされるなど一定の厳しい要件(存立危機事態)を満たす場合に限り、限定的に集団的自衛権の行使が可能であると決定されました。

戦力とは何を指すのか

では、日本国憲法の言う「戦力」とは何を指しているのでしょうか。憲法上では「陸海空軍その他戦力」、つまり「軍隊」が戦力に当たると明記されており、日本は軍隊を持つことはできません。では、自衛隊についてどうなのか。日本国政府の見解は、「自衛隊は上記の自衛権を行使するための必要最低限の実力であり、軍隊ではないため合憲だ」というものです。一方で学説の中には、憲法上の「その他戦力」という記述から自衛隊も含めて一切の戦力を不所持と解釈する説(戦力一切不所持説)や憲法9条1項が定めているのは侵略戦争であり、自衛隊は自衛のための組織である以上、2項の戦力にも該当しないという説(自衛戦争・自衛戦力肯定説)、本来の憲法上の解釈では自衛隊は違憲としつつ、現実の運用のために妥協点を探し徐々に解消していこうとする説(自衛隊違憲・法的安定性重視説)などがあります。

憲法9条に関する重要判例

憲法9条2項と関わりが深い重要判例が砂川事件(昭和34年(あ)第710号)です。ここでは、日米安全保障条約が憲法9条2項に違反しているではないかという点について争われた事件です。
「砂川事件」については下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は是非ご覧ください。

本回のまとめ

憲法9条では戦争の放棄と戦力の不所持、交戦権の否定が定められている。日本国政府の見解は「ここでいう“戦争”とは侵略戦争を指し、また自衛権は放棄していない。よって自衛隊は必要最低限の自衛のための実力であり、合憲」というものである。なお、憲法9条を巡ってはさまざまな学説が存在している。重要判例は「砂川事件」である。

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