【判例読み解き】砂川事件(日米安全保障条約は違憲ではないのか/憲法9条のいう戦力と統治行為論)
憲法第9条2項と日米安全保障条約に伴う米軍の駐留について争われた砂川事件についてわかりやすく解説します。
基礎情報
最高裁昭和34年12月16日大法廷判決
(昭和34年(あ)第710号:日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基づく行政協定に伴う刑事特別法違反被告事件)
(刑集13巻13号3225頁)
事実の概要
1955年から米軍立川飛行場の拡張計画に対し、砂川町の住民や学生らが抗議活動を転換する「砂川闘争」が発生していました。1957年7月某日、測量阻止を掲げたデモ隊のうち、1000人余りが境界柵の外側に集結。一部のものが境界柵から基地内部の立入禁止区域に侵入したため、侵入した学生及び労働者ら7名が、日米安全保障条約に基づく「刑事特別法違反」の罪で起訴されました。第一審(1959年3月・東京地裁伊達判決)が「アメリカ軍の駐留は憲法9条(戦力の保持の禁止)に違反する」として全員に無罪判決を言い渡したため、これに対して、検察が最高裁に直接上告しました。
判旨
最高裁の判決文全文はこちらから検索できます。(事件番号に「昭和34年(あ)第710号」を入力してください。)
破棄差戻し。
解説
本件は主にアメリカ軍駐留が日本国憲法第9条が掲げる「戦力の不所持」に抵触するかが争点となりました。これについて最高裁は、「我が国主体となつて指揮権、管理権を行使し得ない外国軍隊は(中略)戦力に該当しない。」と示しました。つまり、この判例は「憲法9条の掲げる戦力」とは、「日本国の指揮下、管理下にあるもの」との解釈を示したものです。
また、本判決は、日米安全保障条約のような、政治性の強いものについては、「安保条約の如き、主権国としてのわが国の存立の基礎に重大な関係を持つ高度の政治性を有するものが、違憲であるか否の法的判断は、純司法的機能を使命とする司法裁判所の審査に原則としてなじまない性質のものであり、それが一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外にあると解するを相当とする。」と判示しました。日米安全保障条約の是非などは、国会での審議を通して判断するべき事案であり、審議をする人物は選挙で有権者から選ばれた政治家によって行われるべきだという考え方が示されたわけです。よって、高度な政治性を有するものの違憲審査は、司法裁判所の審査に原則として「なじまない」と判示されたのです。このような考え方を「統治行為論」と言います。
※括弧内は判決文から引用
参考文献
最高裁判決文(昭和34年(あ)第710号)
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