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【憲法入門#2】国の主人公は誰? (国民主権)

前回の記事(https://note.com/hogakuyoridokoro/n/ne8ef711541e3?sub_rt=share_b)では、「そもそも憲法とは何なのか」という話をしました。今回は国民主権について分かりやすく解説します。


「主権」とは何か

かなりアバウトな問いからスタートしてしまいました。しかし、法学にとって言葉の定義というものは非常に大切なものですので、少々お付き合いください。

主権というのは、辞書的な意味(法学では、「文理解釈」といいます。)では、

①他国の意思に左右されず、自らの意思で国民および領土を統治する権利。独立権と同じ。
②国家の意思や政治のあり方を最終的に決定する権利。

スーパー大辞林

とされています。基本的には法学上の意味もこれに則っていますので、分かりやすいと思います。以下の3つです。

①統治権

これは、国家が自国の国民や領土に対して合法的に行使できる支配権のことです。「主権国家」というときには「統治権を持つ国」を指すことが多いです。

②最高独立性

これは、国家の統治圏がその国の中では最高とされ、それが他国から干渉を受けないことを指します。こちらも、辞書的な意味では、「①他国の意思に左右されず、自らの意思で国民および領土を統治する権利」に該当します。

③最高決定権

これは、国のあり方や政治の方向性を決定する権利のことを指します。これが辞書上の意味の②に該当します。また、これが国民主権に繋がっていきます。

国民主権とは何か

国民主権とは、国のあり方や政治の方向性についての最高決定権が国民にあることを指します。主権の意味のうち、日本では、③最高決定権が国民に存在しています。これが国民主権です。

日本国憲法前文
ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

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主権はどう行使するのか

上記で日本においては最高決定権は国民にあり、これを国民主権ということがわかりました。では、この国民主権は日本ではどのように行使するのでしょうか。

①間接民主制(議会制民主主義)

国民が選挙を通じて代表者を選び、その代表者が議会で話し合いをする方法です。日本での国民主権の行使は一部例外を除いてほぼこの間接民主制をとっています。
 国民全員で議論を行うのではないため、政治の効率化が可能であり、人口が多い国や地域でも比較的簡単に行うことができます。また、専門知識を持った政治家が長期的に議論を行うことができるというメリットもあります。

②直接民主制

主権者が集まることで議論を行い、政治の方向性などを決定する方法です。日本では一部を除き、原則実施されていませんが、一部の国や地域では現代でも実施されています。国民全員が議論に参加することで政治参加意識が高まり、個々の意見をダイレクトに政治に反映させることができます。また、政策の正当性や国民の納得感が高まります。

日本での直接民主制と行われていない理由

①日本での直接民主制

  • 最高裁判所裁判官の国民審査

  • 憲法改正国民投票

  • 地域特別法住民投票

現代の日本で直接民主制が行われているのは主に上記の3つです。最後の地域特別法住民投票とは、特定の地方公共団体のみに適用される「地方自治特別法」の制定時に、その対象となる自治体の住民の投票で過半数の同意を得ることを義務付けた制度です。具体的には、広島平和記念都市建設法(昭和24年制定)などがあります。

②日本で直接民主制が採用されていない理由

上にも挙げたとおり、直接民主制にも固有のメリットがあります。では、なぜ実施されていないのでしょうか。現代の日本およびその地方自治体で直接民主制を実施することは事実上不可能です。

(1)人口が多い
 日本の有権者数は1億321万1224人(令和8年2月実施の衆議院議員総選挙実施時)です。この人数が一度に集結し話し合うことは不可能であることは想像に難くないと思います。(まず場所がありませんし、仮に集まることができても意見がまとまりません。)

(2)専門知識の欠如
 皆さんは行政(中央官庁)が国会に提出する際の資料(要綱・改正条文案(理由付)・新旧対応表・参考資料)を読んだことがあるでしょうか。また、「明日から予算案の審査を行え」と言われてできるでしょうか。国家予算や法案の審議には高度な専門性が必要です。また、正解がありません。全国民がこれを行うことは不可能です。

(3)大衆迎合主義(ポピュリズム)の危険性がある
 全国民が議論に参加するため、人々の感情を煽るような意見が熱狂的に支持される可能性も孕んでいます。無論、大衆迎合主義は間接民主制でも一定のリスクを孕んでいますが、選挙というクッションを挟むことで軽減されます。一部の指導者が国民の感情を煽り、自身に都合の良い法案や予算案を可決するという危険性を孕んでいます。

以上の理由から、現代の日本では、直接民主制はほとんど実施されていません。

天皇制について

最後に天皇制の解説を少しだけ挟み、本回を閉じたいと思います。

①地位について

日本国と日本国民統合の象徴です。

日本国憲法第一条
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

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②皇位の継承について

世襲制と定められています。原則として平等権の対象外です。

日本国憲法第二条
皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

日本国憲法第七条
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。

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③権限(権能)について

原則として国政行為はできませんが国事行為は可能です。国政行為とは、国の政治を決定・運営する権限や実質的な政治判断であり、国事行為とは日本国憲法に基づいて天皇が国の機関として行う形式的・儀礼的な行為です。但し、国事行為を行う際には内閣の助言と承認が必要であり、責任は内閣が取ります。

日本国憲法第三条
天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

日本国憲法第四条
天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
② 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

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④財産について

全ての財産は国に属しています。費用は予算に計上され、国会の承認が必要です。財産の授受にも国会の承認が必要です。

日本国憲法第八条
皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

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本回のまとめ

日本国民には「国政の最高決定権」があり、国のあり方や政治の方向性を決めることができる。これを国民主権という。また、国民主権を行使する方法には、「直接民主制」と「間接民主制」があり、日本では一部を除いて間接民主制(議会制民主主義)が採用されている。

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