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【憲法入門#8】基本的人権は国民同士でも適用されるのか?(人権総論・私人間効力)

前回の記事(https://note.com/hogakuyoridokoro/n/n4147bfe1e7af)では、公務員と被収容者の人権について解説しました。今回の記事では、私人間効力について解説します。


「私人間効力」という考え方が生まれる理由

憲法の基本原則とは何かご存知ですか。いくつかありますが、そのうちの一つが、国家権力の制限でした。(詳しくは憲法入門#1で解説していますので、是非ご覧ください。)

では、この憲法の理念を理解した上で、皆さんに質問します。同じ日本国民同士では、憲法の中身(主に基本的人権)が適用できると思いますか。今回はこの疑問に答えていきます。これが「私人間効力」です。

主な学説

ここでは、代表的な学説を紹介します。

直接適用説

直接適用説は、国家権力から国民を守るための人権の規定を、企業と国民や国民同士などの私人にも直接適用しようとする学説(考え方)です。

現在は、大きな力を持つ企業が複数存在し、私人同士といえ、一国民と企業では、パワーバランスがどうしても企業側に傾いてしまいがちになります。国民同士でも、立場の違いなどによってどうしても力の大きい小さいの差が生まれてしまいます。そのような社会では、国家権力だけでなく、私人相互でも人権を保護する必要性が出てきます。これを達成することができるのが直接適用説の強みです。

しかし、この直接適用説は、実務上(主に判例)であまり支持・採用されていません。その理由の一つが「私人自治の原則」というものがあることです。私人自治の原則とは、国民同士では、自由に契約内容やルールを決められるという原則です。直接適用説は、この私人自治の原則を妨げるものになりかねません。

間接適用説

直接適用説が上記の理由で採用されないとなると、私人間効力は存在しないのでしょうか。実はそんなことはありません。現在の判例でも多く採用されているのが、この間接適用説です。間接適用説は日本国憲法の人権の規定などを直接私人に適用することはありません。その代わりに民法などの司法規定の解釈を通して、間接的に適用します。

主な判例

私人間効力に関する判例にはさまざまなものがありますが、ここでは、代表的な2つの判例を紹介します。

①三菱樹脂事件

これは、学生の思想を理由にして企業が採用を見送ることができるか否かを争った最高裁判例です。三菱樹脂株式会社で試用期間中に学生の過去の学生運動参加が発覚し、当該学生の採用を企業側が見送ったことに対して、学生側が民事訴訟を起こしました。憲法の保障する思想・良心の自由が対企業(私人間)でも適用されるかが争点となりました。

②昭和女子大事件

昭和女子大学に通う学生が学生運動に参加していたことを理由に大学から退学の処分の下された事件です。学生が企業を相手に取った民事訴訟を起こしました。こちらも思想・良心の自由が対大学という私人間でも適用されるか否かが争点となりました。

これらの判例はそれぞれ以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は是非ご覧ください。

本回のまとめ

  • 憲法上の規定は原則として対国家に関して適用される。

  • 私人間では、民法などを通して間接的に適用される。

  • これを間接適用説という。

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