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【憲法入門#7】国民でも人権が制限されている人がいる?(公務員・被収容者の人権)

前回の記事(https://note.com/hogakuyoridokoro/n/n771679b96208)では、公共の福祉について解説しました。今回は、公務員と被収容者の人権についてわかりやすく解説します。


「公権力と特殊な関係にある者」とは誰?

世の中にはさまざまな人がいます。たくさんの人のうち、公権力と特殊な関係にある人もいます。それは、公務員被収容者です。この記事では、これらの方々の人権について解説します。

公務員の人権

ここでは公務員の人権について解説します。公務員はその職務の性質上、憲法によって全体の奉仕者と定められています。制約が生じるのは、主に政治的活動の自由と労働基本権です。

①政治的活動の自由

政治的活動の定義をまずははっきりとさせましょう。公務員の政治的活動とは、以下の定義づけがされています。

国家公務員法第102条
職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
② 職員は、公選による公職の候補者となることができない。
③ 職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。

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また、人事院規則14−7ではどうでしょうか。(やたら長いので真面目に読まなくても大丈夫です。)

6 法第百二条第一項の規定する政治的行為とは、次に掲げるものをいう。
一 政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること。
二 政治的目的のために寄附金その他の利益を提供し又は提供せずその他政治的目的をもつなんらかの行為をなし又はなさないことに対する代償又は報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関してなんらかの利益を得若しくは得ようと企て又は得させようとすることあるいは不利益を与え、与えようと企て又は与えようとおびやかすこと。
三 政治的目的をもつて、賦課金、寄附金、会費又はその他の金品を求め若しくは受領し又はなんらの方法をもつてするを問わずこれらの行為に関与すること。
四 政治的目的をもつて、前号に定める金品を国家公務員に与え又は支払うこと。
五 政党その他の政治的団体の結成を企画し、結成に参与し若しくはこれらの行為を援助し又はそれらの団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となること。
六 特定の政党その他の政治的団体の構成員となるように又はならないように勧誘運動をすること。
七 政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し又はこれらの行為を援助すること。
八 政治的目的をもつて、第五項第一号に定める選挙、同項第二号に定める国民審査の投票又は同項第八号に定める解散若しくは解職の投票において、投票するように又はしないように勧誘運動をすること。
九 政治的目的のために署名運動を企画し、主宰し又は指導しその他これに積極的に参与すること。
十 政治的目的をもつて、多数の人の行進その他の示威運動を企画し、組織し若しくは指導し又はこれらの行為を援助すること。
十一 集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声器、ラジオその他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること。
十二 政治的目的を有する文書又は図画を国又は行政執行法人の庁舎(行政執行法人にあつては、事務所。以下同じ。)、施設等に掲示し又は掲示させその他政治的目的のために国又は行政執行法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し又は利用させること。
十三 政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図画、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し若しくは配布し又は多数の人に対して朗読し若しくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し又は編集すること。
十四 政治的目的を有する演劇を演出し若しくは主宰し又はこれらの行為を援助すること。
十五 政治的目的をもつて、政治上の主義主張又は政党その他の政治的団体の表示に用いられる旗、腕章、記章、えり章、服飾その他これらに類するものを製作し又は配布すること。
十六 政治的目的をもつて、勤務時間中において、前号に掲げるものを着用し又は表示すること。
十七 なんらの名義又は形式をもつてするを問わず、前各号の禁止又は制限を免れる行為をすること。

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要するに、

  • 選挙に関わること: 特定の候補者を応援する、または反対する運動をすること

  • 組織の幹部になること: 政党などの政治団体の役員や顧問になること

  • 寄附の関与: 政治的な目的のために、お金や利益を求めたり、受け取ったり、関わったりすること

  • ビラ配りや署名運動: 政治的なビラや文書を配ったり、署名運動を主導・企画したりすること

  • デモや集会: 政治的なデモ行進や集会を企画・主導すること

この辺りが政治的活動の対象になります。では、公務員は公務員でもさまざまな職種がある中で、それぞれの区分につき、どのような制約があるのでしょうか。

(1)国家公務員
政治的活動は全面的に禁止されています。違反者は刑罰が科されます。国家公務員法と人事院規則が法的根拠になります。

(2)地方公務員
政治的活動は一部的に禁止されています。違反者に科されるのは制裁のみです。

(3)公務員の政治的活動に関する重要判例
公務員(国家公務員)の政治的活動に関する重要判例は「猿払事件」です。これは、当時国家公務員であった郵便局職員が政治家のポスターを配布・掲示したことが国家公務員法違反になった事件です。この判例については以下の記事で詳しく説明していますので、興味のある方は是非、ご覧ください。

②労働基本権

労働基本権とは、労働者に認められた権利です。詳しい制約は【表1】のとおりです。用語の解説は下のとおりです。

※非現業の一般公務員における団体交渉権は、交渉自体は可能だが労働協定は不可能である。

(1)用語解説

  • 団結権:労働者が「労働組合」を作り、活動する権利。

  • 団体交渉権:労働者が使用者と労働条件などについて対等に交渉する権利。

  • 争議権:労働者が労働条件の改善や賃上げを求めて使用者に争議行為(ストライキなど)行う権利。

  • 公安職:警察官や消防士、海上保安官、皇宮護衛官、刑務官、法務教官、入国警備権、公安調査官など、治安維持や安全確保に従事する職務区分。

  • 現業:現業機関(工場・作業所など)で技能的な労務に従事する公務員のこと。

  • 非現業:行政機関で企画立案や一般的な行政事務を行う公務員のこと。

(2)公務員の労働基本権に関する重要判例
公務員(国家公務員)の労働基本権に関する重要判例は「全農林警職法事件」です。これは、農林水産省職員で構成される「全農林労働組合(全農林)」の役員が警察官職務執行法の改正に反対するストライキを主導したことが国家公務員法違反になった事件です。

この判例については、以下の記事で詳しく説明していますので、興味のある方は是非ご覧ください。

被収容者の人権

①収容の目的

刑事施設に一定以上の罪を犯した人を収容することの目的はなんだと思いますか。主な収容の目的は「拘禁」「戒護」「矯正」です。これらの目的のために被収容者の人権はある程度制限されます。

②制約の根拠

被収容者の人権の制約は憲法上の公共の福祉が根拠になります。具体的な権利制限のルールは「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事収容施設法)」などで定められています。

③制約の内容

では、具体的にどのような人権がどの程度制約を受けるのでしょうか。具体的には以下の通りです。

  • 拘禁の確保
    逃走を防ぐため、移動の自由や行動範囲が制限されます。

  • 規律・秩序の維持
    施設内の安全を保つため、物品の所持や通信内容(面会や手紙)の確認・制限が行われます。

  • 改善更生と社会復帰
    罪を反省し、再び社会で暮らせるようにするために必要な指導や生活指導が行われます。

本回のまとめ

  • 公務員は憲法上、全体の奉仕者と定められている。

  • 公務員は、政治的活動が制限されている。

  • 公務員は、労働基本権の一部が制限されており、その範囲は職種によって異なる。

  • 非収容者は公共の福祉より、人権のうち一部が制限されている。

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