見出し画像

「母馬優先」でも約4割は未勝利で終わる。そこに共通する特徴は?

前回、キャロットクラブの「母馬優先」馬(母がクラブ所属馬だった産駒に、当時の母馬出資者が優先的に出資できる制度)は、勝ち上がり率や獲得賞金で非該当馬を上回るというデータを紹介しました。

ただしこれは平均の話で、「母馬優先だから安心」というわけではありません。
今回は逆に、母馬優先の対象になったのに走らなかった・勝てなかった馬がどれくらいいるかを見てみます。

本記事は下記の馬体診断ツール作成を作る際に出たデータ分析を元にしています。興味があればご一読ください。

大まかにこれくらいの精度のツールです

母馬優先332頭の内訳

2016〜2023年募集分の母馬優先対象馬332頭を、成績クラスで分けるとこうなります。


未出走のまま終わった馬が31頭(9.3%)、デビューはしたものの一度も勝てずに終わった馬が97頭(29.2%)。この2つを合わせると128頭、全体の38.6%が「勝ち鞍ゼロ」です。

母馬優先の対象になった馬でも、約4割は一度も勝てずに競走馬人生を終えているということです。

年度別に見ると、この「勝ちきれなかった率」は年によって29〜44%の間でばらついており、明確な改善・悪化トレンドはありません(2018年・2023年が3割台と低め、2019〜2021年は4割台とやや高め)。

非該当馬と比べるとどうか

同じ集計を、母馬優先の対象外だった389頭(同じ2016〜2023年募集分)でも出してみました。

非該当馬の方が「勝てなかった率」は9ポイントほど高く、母馬優先馬は相対的にはまだマシという結果です。前回記事の勝ち上がり率の差(61.4%対51.2%)とも整合しています。ただし、母馬優先だからといって約4割弱は勝てずに終わっているという事実自体は変わりません。「非該当よりはマシだが、保証ではない」というのが正確なところです。


母馬優先の中でも、価格は結果と関係している


母馬優先332頭を「勝てた馬(201頭)」と「勝てなかった馬(121頭)」に分けて募集価格を比べると、勝てなかった馬の方が平均3,183万円、勝てた馬の方が平均3,671万円と、約500万円の差がありました。

前回の記事で「母馬優先と非該当は価格帯がほぼ同じ」という話をしましたが、これはあくまでグループ全体の平均の話です。母馬優先の枠内だけを見ると、その中でも価格が高い馬の方が勝ち上がりやすいという、ごく順当な傾向は残っています。つまり「母馬優先というラベル」自体よりも、「その中でどれだけ評価(価格)が高いか」の方が、結果との結びつきとしては強いということになりそうです。

測尺や生まれ順との関係はどうか

価格以外の切り口でも見てみます。まず募集時の測尺(体高・胸囲・管囲・体重)を、勝てた馬(204頭)と勝てなかった馬(128頭)で比べました。

体高・胸囲・管囲・体重を比べると、もっともはっきり差が出たのは体重でした。勝てた馬は募集時点で平均448.8kg、勝てなかった馬は434.3kgで、その差は14.5kg。
同じ時期に生まれた馬同士でこれだけの体重差がついているのは大きなポイントです。
体高・胸囲にも同じ方向の差はありましたが数cm程度にとどまり、骨量の目安になる管囲はほぼ差がありませんでした。
太さや骨格そのものというより、募集時点までにどれだけ体重を乗せてこられたかが、結果と結びついているようです。

次に、その馬が母にとって初めての産駒(初仔)かどうかで比べてみます。


未勝利・未出走に終わった馬のうち初仔は30.5%を占めていましたが、勝ち上がった馬の中では16.2%にとどまりました。
332頭全体の初仔比率は21.7%なので、初仔は「勝ちきれなかった馬」の方に偏って多いことになります。
母馬優先という制度は母の産駒であれば初産でも対象になりますが、初産の産駒はまだ発育途上であることが多く、それが結果に表れている可能性があります。

デビュー時期との関係は

実際にデビューできた301頭(勝てた馬204頭+未勝利のまま終わった馬97頭)に絞って、デビューの早さも見てみます。競走馬は生まれ年の1月1日で一斉に歳を取る数え方をするため、2歳の夏(6〜8月)にデビューできるかどうかが、早熟か奥手かの目安としてよく使われます。

勝ち上がった馬は32.4%が2歳6〜8月にデビューできていたのに対し、未勝利のまま終わった馬でこの時期にデビューできたのは15.5%どまりでした。
2倍以上の差です。早くレースに使えるだけの完成度があった馬の方が、その後も結果を出しやすいという、感覚的にも納得しやすい結果になりました。

なお、母馬自身が現役時代にどれだけ勝っていたかとの関係も確認しましたが、こちらは勝てた馬・勝てなかった馬でほとんど差がありませんでした(どちらも平均で3勝前後)
母馬優先はあくまで「クラブに縁のある母の産駒」という括りであり、母自身の勝ち星の多さは、子の結果とはあまり結びついていない可能性があります。
ただし重賞馬などに限定するとどうなのかなどは深堀の余地ありですね!


まとめ

母馬優先は「母がクラブに縁のある馬」という括りであって、活躍を保証するものではありません。前回見た通り平均的には非該当馬より成績が良い傾向はありますが、それでも約4割は勝ち鞍を挙げられずに終わっています。

では母馬優先の中で、あえてどんな馬に注目すればよいのか。ここまでのデータを踏まえると、大きく3点にまとめられます。

①募集時の馬体重が平均より重い馬。勝ち上がった馬は平均448.8kg、勝ちきれなかった馬は434.3kgと、14.5kgの差がありました。同じ時期に生まれた馬同士でこれだけ差がつくのは、それだけ成長・成熟が進んでいたということだと考えられます。

②初仔ではなく、母の2頭目以降の産駒。初仔は「勝ちきれなかった馬」の中で30.5%を占め、勝ち上がった馬(16.2%)よりはっきり多くなっています。母馬優先は初産の産駒でも対象になりますが、実績で見ると2頭目以降の方が無難です。

③母馬優先の枠内でも、価格が高めに評価されている馬。勝てた馬の平均募集価格は3,671万円、勝てなかった馬は3,183万円と、約500万円の差がありました。

逆に、母馬自身が現役時代にどれだけ勝っていたかは、子の結果とはあまり結びついていませんでした。
母の勝ち鞍数の多さだけを理由に期待をかけすぎるのは禁物です。
デビューが2歳6〜8月と早いかどうかも結果と関係していましたが、これは購入時点ではまだわからないことなので、出資後にデビューが早ければ順調に育っている一つのサインとして受け止めるとよさそうです。


最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも面白いと思っていただければ書いた甲斐がありました!
今後もこうしたデータ分析記事を発信していくので、フォローやいいねをいただけると励みになります。

【募集馬カルテリリース情報】

Xもやっています。


キャロットクラブ関連記事


いいなと思ったら応援しよう!