15秒診察、爆誕
看護師として26年。いろいろな診察室を見てきた。
病院、外来、施設、そして今は、地域NPO,有料老人ホームの医務(夜勤)にも関わっている。
だから診察というものには、なんとなく自分なりの見方がある。
長く話を聞いてくれる先生。
短いけれど、要点を外さない先生。
逆に、短いだけでこちらの気持ちが置いていかれる診察。
そんな現場を見てきた私が、夜勤明けに大腸カメラの予約を取りに行った先で、思わず心の中で叫んだ。
15秒診察、爆誕。
その日は2026年7月8日、水曜日。
夜勤明けの身体を引きずりながら、私は初めての個人医院に向かっていた。
目的はひとつ。
人生初の大腸カメラの予約を取ること。
地元が狭すぎるので、あまりにも顔見知りのところには行きたくなかった。
風邪ならまだいい。
採血もまあいい。
けれど、大腸カメラとなると話は別である。
そんなわけで、噂で聞いていた個人医院に行くことにした。
「風邪でもなんでも丁寧に診てくれるらしい」
そう聞いて、少し気になっていた医院だった。
中に入って、まず思った。
混んでいる。
これは待つぞ、と思った。
初診だし、夜勤明けだし、もう今日はここでゆっくりスマホでも打ちながら待つか。
そんな気持ちで椅子に座った。
すると、ひとつ気になることがあった。
診察室の扉が、なぜか開いたままなのである。

閉め忘れなのか。
あえてなのか。
個人医院あるあるなのか。
夜勤明けの脳みそでぼんやり見ていたら、3分ほどでその謎が解けた。
患者さんが、出る。
入る。
出る。

入る。
また出る。
また入る。
何この回転率。
救急っぽく車椅子で入ってきた患者さんも、止まることなく自然に流れていく。
ここで、私の中に一瞬だけ不安がよぎった。
もしかして、ここはあまり診ずにサラッと流すタイプの医院なのではないか。
初めて来た場所で、悪いくじを引いたのかもしれない。
診察が始まる前に帰ろうかとさえ思った。
そして20分ほどして、私の名前を呼ばれた。
問診票と健診結果は先に出してある。
だから、そんなに聞かれないだろうとは思っていた。
しかし、ここからがすごかった。
先生は、私の顔に「大腸カメラ希望」と書いてあるかのように、ほぼ一瞬で本題に入った。
私は先生に、自分が看護師だとは一言も伝えていない。
医療現場を知っていることも、もちろん言っていない。
ただの初診の患者として、そこに座っていただけだった。
それなのに先生は、こちらが何をしに来たのか、何を確認すればいいのか、どこまで説明すれば前に進めるのかを、一瞬でつかんでいた。
私が、
「健診結果というより、大腸カメラをお願いしたくて」
と言うと、
「やろう。いつやる?先生もこの間したよ。 検査の日は半日かかるよ。仕事休める? じゃあこの日ね。待ってるからね」
何か気になる?と言われ、
「実は、祖父が大腸がんで亡くなっていまして」と、一言伝えると
「心配だよね。なるほどね。なんかわかってたよ」、と。
、、、以上。
だいたい、15秒。
15秒診察、爆誕である。
普通なら、ここで「説明が足りない」と感じるのかもしれない。
でも、違った。
まったく逆だった。
これは雑なのではない。
準備が速いのだ。
スタッフさんの動きも、先生の判断も、すでに診察の前から整っていた。
必要な情報が先生の手元にあり、先生はその中から、今この患者に必要な確認だけを取り出している。
だから短い。
でも、置いていかれない。
その後、採血とエコー検査。
エコーの時に先生が再び現れて、さっ、と検査を終了し,
「また後で会おうね」
と言った。
こちらも、ほぼ15秒。
最後の確認も、
「この日ね。問題ないね。仕事休めるね。じゃあ待ってるからね」

また15秒。
無駄口はない。
でも、嫌な感じもない。
無駄のない笑顔。
無駄のない動き。
無駄のない確認。
私はその日、
短い診察の中にも、ちゃんと安心は入るのだと知った。
丁寧さは、言葉の量だけでは決まらない。
その15秒に、どれだけ準備が入っているか。
その15秒に、どれだけ相手を見る姿勢が入っているか。
その15秒に、どれだけ「大丈夫、わかってるよ」が込められているか。
たぶん、そこなのだと思う。
さて、2週間後。
私の人生初の大腸カメラが待っている。
普通なら憂うつになるところだ。
でも今は少し違う。
あの先生が、検査の日にどんな15秒を見せてくれるのか。
正直、ちょっと楽しみである。
病気の心配よりも先に、そんな楽しみを置いてくれた。
こういう医療もあるんだな。
夜勤明けのぼんやりした頭で、そんなことをしみじみ考えた日だった。

普段から私は、こういう「大きな言葉にはならないけれど、ちゃんと人を安心させる行為」に弱い。
今回の先生の15秒もそうだった。
長く説明されたわけではない。
でも、その短い時間の中に、準備や観察や「ちゃんと見ていますよ」という空気があった。
そしてこれは、医療の場だけの話ではないのかもしれない。
noteでも、ときどき同じようなことがある。
大きなコメントではない。
派手な応援でもない。
でも、誰かがそっと記事を読める場所に置いてくれる。
マガジンに追加してくれる。
それだけで、書き手はあとからじわじわ励まされる。
今回の診察で感じた「短いのに、残るものがある」という感覚は、普段noteで受け取っている静かな優しさにも似ている気がした。
だから最後に、こちらの記事も置いておきたい。
私の記事をマガジンに入れてくださった、あなたへ〈続編〉
前編と後編を書いたのは、春でした。
あれで、いったんお礼は書き終えたと思っていました。
でも、終わっていませんでした。
通知の向こうで、また誰かが私の記事を棚に置いてくださっていた。
しかも一度だけではなく、何度も。
別のマガジンに分けて、そっと残してくださっていた方もいました。
「マガジンに追加する」という行為は、静かです。
大きなコメントが届くわけではない。
拍手の音が鳴るわけでもない。
でも、書き手にとっては、あとからじわじわ効いてきます。
「この記事を、あとでまた読める場所に置いておこう」
そう思ってもらえたのかもしれない。
今日は、前編・後編のあともマガジンに加えてくださっていた方々と、今回あらためて見つけた方々へ、お礼を書かせてください。
何度も棚に置いてくださった方々へ
ゆらりさん | note
今回、いちばん驚いたのはゆらりさんでした。
「ちょっと、気になるのです🌹🫧🫶💕ご縁ありがとう🍀」と「FFさんのpick up記事(イイね💖)」。
この2つのマガジンに、たくさんの記事を置いてくださっていました。
「ちょっと、気になる」
この言葉が、私はとても好きです。
強い断定ではなく、心がふっと止まった瞬間を、そのまま拾ってくれる感じがあるからです。
ゆらりさんの棚に何度も並べてもらえていたこと。
それは、私の文章が何度か「気になる」の手前で足を止めてもらえたということなのかな、と受け取っています。
ゆらりさん、本当にありがとうございます🎶
山中サトシさん | note
山中サトシさんには、前編でも大きく触れました。
でも、今回あらためて見たら、まだ続いていました。
「新・Special Thanks 💝(∞)」
「山中Selection│今日のおすすめ記事」
「【新・Special Thanks 💝∞】フォロワー一覧」
3つの棚に、何度も置いてくださっていました。
「Special Thanks」という言葉の中に、自分の記事がある。
それだけで、こちらこそお礼を言いたくなります。
山中さん、いつもありがとうございます。
あなたの「今日のおすすめ」に入れてもらえるような文章を、これからも書いていきたいです。
あいさんさん | note
あいさんさんのマガジン名には、いつも温度があります。
「ご縁に感謝するマガジン🌿」
「ふっと読み返したくなる記事たち」
この2つの名前を見るだけで、読むことを急がない人なんだろうなと感じます。
ただ情報を集めるのではなく、あとで心を戻せる場所として、記事を残している。
そんな棚に私の記事を置いてもらえたことが、嬉しいです。
あいさんさん、前編へのコメントも含めて、ずっと励まされています。
ありがとうございます😋
丁寧な暮らしさん | note
丁寧な暮らしさんは、5つのマガジンに分けて記事を置いてくださっていました。
「好きだ♡」
「共感♡共鳴」
「なるほど!🤓」
「忘れたくない心」
「My precious💎」
この並びを見たとき、少し胸がつまります。
好き。
共鳴。
なるほど。
忘れたくない。
大切。
マガジン名だけで、読む人の心の動きが見える気がしました。
丁寧な暮らしさん、いつもありがとうございます。
あなたの棚の名前に負けないように、丁寧に書きます🌈好きだ、と😊
週間ゆめのさん | note
週間ゆめのさんの「ゆめKnow’t」に、たくさんの記事を置いていただいていました。
「ゆめ」と「know」が重なったような、少し不思議な名前。
知ることと、夢を見ることが、同じ棚にある感じがします。
キャリア、言葉、医療、アプリ作り。
ジャンルは違っても、どこか「これからどう生きるか」に関わる記事を拾ってくださっているように見えました。
週間ゆめのさん、ありがとうございます。
あなたのマガジン名を見るたびに、noteにはこういう言葉遊びの優しさがあるんだなと思います。
ロアー・ボイ(みつひろ)さん | note
ロアー・ボイさんの「さまざまな症状と向き合う人へ|共同運営マガジン」。
この棚に置いていただけることは、看護師として、やっぱり特別です。
症状と向き合う人。
その家族。
そのそばにいる人。
私が書いていることの多くは、病院の中だけでは終わりません。
生活の中に戻ってから、じわじわ効いてくることばかりです。
ロアー・ボイさん、医療や生活の文脈で受け取ってくださってありがとうございます。
なにより、真っ直ぐな好青年さが好きです🤟
ふあふあころねさん | note
ふあふあころねさんの「MAGAZINE🤍⚜️ふあふあしろな⚜️🤍」にも、またいくつも置いていただいていました。
名前の通り、ふんわりしているのに、ちゃんと残す力がある。
「まあ、いいか」と言える人の話。
キャリアの話。
説明できなかったことの話。
少し硬くなりがちな私の文章を、やわらかい棚に置いてくださっている感じがして、ありがたかったです。
ころねさん、ありがとうございます😋
私は硬い人間なので、ふあっと、肩の力が抜けるように努力します😂
ゆうさん | note
ゆうさんは、「📖やさしさを繋ぐ図書館」と「☕️ウェルカムカフェ」に加えてくださいました。
この2つのマガジン名が、もう、ゆうさんそのもののようです。
図書館の静けさ。
カフェのあたたかさ。
「ほどく会話のことば」という名前の通り、ゆうさんは、固く結ばれたものをほどくような言葉を大切にしている方なのだと思います。
そんな方に、介護の限界や、言葉にならないものについて書いた記事を置いてもらえたこと。
とても心強いです☘️これからも頑張ります!!
天音 翔さん | note
天音翔さんの「紙の楽理〜フォロワー名作集〜」。
ここに入れていただいていた記事を見て、少し背筋が伸びました。
管理職のこと。
ユニフォームと一緒に脱げなかったもの。
頭の中の会議室。
どれも、働く人の内側で起きる静かな痛みに触れた文章でした。
天音さん、福祉や支援の現場を見てきた方に選んでいただけたこと、ありがたく受け取っています。
きしゃこく先生さん | note
「#社会人先生 #しゃかせん🌈」という大きなマガジンに、何度も置いていただいていました。
教育、報道、社会人。
そういう広い文脈の中に、看護師として書いた記事が入っている。
それは、医療の話が医療者だけのものではないと教えてくれる出来事でした。
きしゃこく先生さん、ありがとうございます。
病院の話を、社会の話として受け取ってくださったことが嬉しいです。
みかりんさん | note
みかりんさんの「印象深い記事との出会い💐ワクワクコレクション」。
前にも書きましたが、このマガジン名は本当に素敵です。
「印象深い」と「ワクワク」が同じ場所にある。
深く残るものと、明るく弾むものが一緒にある。
私の記事は、ときどき重たいです。
それでも、みかりんさんの棚では、少し花束のように置いてもらえている気がします。
みかりんさん、いつもありがとうございます🌺
今回、あらためて追加して頂いた方々へ
LOVEちゃん♡さん | note
「スキ!!!!!♡」と「ためになるぅ💡」。
この2つのマガジン名、まっすぐで好きです。(最近の推しです)
難しく考えすぎず、「好き」と「ためになる」をそのまま言葉にしてくれる。
その率直さに救われる書き手は、きっと多いと思います。
LOVEちゃん♡さん、ありがとうございます。
ラジオも📻聴きにきてくれてサンキューです。LOVEちゃん♡さんのもまた聞かせて下さい☘️
おじさんは、フレブルの着ぐるみきてるけど、声はダンデいなのよ🥲
半年で年収50万円上げる仕事術さん | note
「学びになり、後でまた読み返したい記事」に、キャリアや働き方の記事を置いてくださっていました。
仕事術の棚に、看護師のキャリアや管理職の話が入る。
それは、現場の話が、働く人全体の話につながっているということなのかもしれません。
半年で年収50万円上げる仕事術さん、ありがとうございます。
菊地康巳さん | note
「【オススメ】ご活躍の臨床家note👩⚕️」
「【オススメ】優れたAI使いのnote🤖」
この2つに入れていただいていました。
臨床とAI。
私が今、どうにか橋をかけたいと思っている2つです。
菊地さんの棚に並べてもらえたことで、自分がやろうとしていることの輪郭を、少し外側から見せてもらった気がしました。
ありがとうございます。
イロドリの詩さん | note
「イロドリの御縁がありますように!マガジン」。🐤
回復期リハビリテーション病棟協会認定看護師さんです👏
同じ医療の現場にいる方に、言語化の記事や自己紹介を置いていただけたことは、やっぱり特別です。
病棟でも、リハビリでも、訪問でも。
場所は違っても、人の回復や生活を見つめている人には、どこか通じるものがあるのだと思います。
イロドリの詩さん、ありがとうございます。カラフルな色使いや、細部までこだわった画像。そして文脈は、スっーとその中に引き摺り込まれます🌈
さちさん | note
「さちマガジン☺️🩷」に、記事を置いていただいていました。
「まあ、いいか」と言える人の話。
50代からのキャリア設計の話。
どちらも、肩に入った力を少し抜くために書いた文章でした。
さちさんのマガジンに入れてもらえたことで、ちゃんと届いていたのかなと感じています。
ありがとうございます😊
そのほかにも、今日までに見つけた方々
今回の確認では、ほかにもたくさんの方が記事を棚に置いてくださっていました。
noteビジネスさん の「ビジネス 記事まとめ」。
tanigawaさん の「キャリア・転職・副業・自己研鑽・人生観_感謝のマガジン」。
ウバブさん の「読むと閃くマガジン」。
ゆっちぃ先生さん の「心に残しておきたい大切な記事集」。
わんさん の「コメントがつないだ素敵な記事」。
梓/Keni Nacastli Atyalan Miguelさん のマガジン。
黒崎隼斗さん の「感謝、感激、ヒデキ」。
春乃ひかりさん の「春乃ひかり心に響くマガジン」。
川添香さん の「私のnoteの棚」。
聴話人くるみさん の「感謝が湧き出るほとり」。
ひとつひとつの棚に、名前があります。
その名前を見ているだけで、noteはただ記事が流れていく場所ではなく、人が自分の感性で本棚を作っている場所なんだと思いました。
最後に
マガジンに追加してもらうことは、たぶん、ものすごく目立つ出来事ではありません。
でも、書き手にとっては大きいです。
読まれた。
残された。
また読みたいと思ってもらえた。
そのどれかが、そこにあるからです。
私は、言葉にするのが遅いです。
お礼も、すぐには追いつきません。
それでも、こうして一人ずつ名前を見ながら書いていると、ああ、続けてきてよかったなと思います。
あなたの棚に置いてもらえた文章が、いつかまた、必要な日に開かれますように。
これからも、静かに残してもらえる文章を書いていきます。
本当にありがとうございます😊
ノートの投稿は週1回、土or日曜日です。
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