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求人票を100回読んでも、職場の「暗黙のルール」は見えない

求人票には「残業月20時間」と書ける。

でも、定時で帰ると白い目で見られることまでは書かれない。

「風通しのよい職場」とも書ける。

ただ、社員同士がほとんど挨拶をしないこと。 陰では悪口ばかり飛び交っていること。 新人が入っても、誰も気にかけないこと。

そんな空気は、どこにも載らない。

求人票に書けるのは、会社のルール。 人を辞めさせるのは、職場の空気。

エン・ジャパンの調査では、転職後にギャップを感じた経験がある人は87%。

約9割だ。

正直、かなり多い。

ただし、9割が転職に失敗したわけではない。想像より人間関係がよかった。思った以上に仕事がおもしろかった。前職より休みを取りやすかった。そんな「うれしいズレ」もある。

問題は、ギャップがあることではない。

自分が耐えられないズレを、知らないまま入社すること。

ここが危ない。


求職者が見るのは「条件」。入社後に触れるのは「運用」

調査では、想定より悪かったギャップの上位に「仕事内容」「職場の雰囲気」「給与」が並んだ。

どれも求人票や面接で確認できそうな項目だ。それでもズレる。なぜか。

求職者が見ているのは「条件」。

入社後に体験するのは

「条件が現場でどう使われているか」

だからだ。

たとえば「残業月20時間」。

毎日1時間ずつ残るのか。
繁忙期に一気に増えるのか。
部署によって差があるのか。

数字だけでは分からない。

「成果を正当に評価する会社」も同じ。

何を成果とするのか。
数字を見てくれるのか。
上司の好き嫌いが入るのか。
目標を達成すれば、本当に昇給するのか。

制度名だけ見ても、実態は見えない。

求人票には制度が書かれる。 入社後に苦しむのは、その使われ方。


会社には「書かれたルール」と「逆らえないルール」がある

僕自身、転職後にかなり大きなギャップを感じた。

面接で「残業は絶対です」と言われたわけではない。求人票にも、そんな言葉はなかった。

でも、現場では残業するのが当たり前。周りが帰らない。定時で帰る人もいない。仕事が終わっていても、先に帰りづらい。

誰かに命令されたわけではない。
ただ、空気としては「残れ」。ほぼ100%。

うーん、これは厄介だった。

命令なら確認できる。規則なら書面に残る。でも、空気には証拠がない。

「仕事が終われば帰れます」

面接官にそう言われても、現場では帰れないことがある。言葉としてはウソではない。でも、現実とはズレている。

会社には「書かれたルール」と「逆らえないルール」がある。

後者が、暗黙のルールだ。


職場を見ても、「働く現場」が見えるとは限らない

僕の場合、実際に働く場所は自社ではなかった。

取引先の現場へ行き、そこで作業する仕事。

入社前に職場を見たいと伝えた。しかし、見学はできないと言われた。

・・・結局、現場を見ないまま入社。

実際に行ってみると、職場はかなり汚かった。 一緒に働く人の価値観も、自分とは大きくズレていた。

・・・正直、これは求人票を100回読んでも分からない。

採用企業のオフィスを見ても意味がない。僕が毎日働く場所は、そこではなかったからだ。

会社を見ても、自分が働く現場を見ていなければ何も見ていない。

完全に防ぐのは難しかったと思う。

ただ、今なら質問を変える。

「実際に働く場所はどこですか」
「現場によって環境はどれくらい違いますか」
「見学できないなら、写真や動画を見られますか」
「同じ現場で働く社員と話せますか」

見えない部分は残る。

それでも、地雷を踏む確率は下げられる。


「聞いていなかった」で終わらせるのは危ない

一方で、確認すれば防げたギャップもある。

僕の場合、それが給与体系だった。

月給の総額は見ていた。ただ、基本給と固定残業代の内訳まで、細かく確認していなかった。

固定残業代は何時間分なのか。
超えた分はどうなるのか。
賞与は、どの金額をもとに計算されるのか。

ここは書面を見れば確認できた。分からなければ、聞けばよかった。

あとから「そんな話は聞いていない」と言っても、時間は戻らない。

見えなかったギャップと、見ようとしなかったギャップは別物だ。

もちろん、企業は条件を細かく説明するべき。都合の悪い情報を隠す会社は論外だ。

ただ、自分から確認すれば分かったことまで、すべて会社のせいにはできない。少し厳しいが、転職では必要な視点。


採用が下手な会社は、悪気なく人を不幸にする

本来、企業は仕事の実態を細かく伝えるべきだ。

給与。 残業。 配属先。 評価制度。 仕事内容。 入社後に求める役割。

ここまで『正確に』出して、ようやく求職者は判断できる。

・・・でもぶっちゃけ、そこまでできている会社は少ない。

特に、採用を片手間でやっている会社。社長が面接する。現場責任者が求人票を書く。総務が別の仕事と一緒に応募者へ連絡する。採用の知識がない。

何を説明すべきかも整理されていない。

その結果、悪気がなくても情報が抜ける。

隠している会社だけが危ない。 説明できない会社も危ない。

企業側には、採用レベルを上げてほしい。

入社後の現実まで伝える。
現場社員と話す機会をつくる。
悪い部分も先に出す。

それが本来の姿だ。

ただ、企業が変わるのを待っていても、自分の転職は守られない。

説明不足の会社に入り、損をするのは求職者。

また仕事を探すのも自分。失った時間も戻らない。

説明する責任は企業にある。 でも、自分の人生を守る責任まで企業には渡せない。



社員面談は「地雷を減らす場」

同じ調査では、「入社前にもっと確認すべきだったもの」の1位が社員面談だった。

39%。

(求人サイトと口コミサイトは34%)
(職場見学は33%)

社員面談が最上位だ。

でも、実際にはやらない人が多い。

・・・面倒だから。

選考に響きそうだから。内定後に細かく聞くのが申し訳ないから。

その遠慮は危ない。企業側は数時間の面接。求職者側は、その会社で何年も働く可能性がある。

数十分の確認を遠慮して、何年も後悔するほうが痛い。

もちろん、社員面談をすれば会社のすべてが分かるわけではない。面談する社員にとって普通でも、自分には異常かもしれない。部署が違えば、残業時間も人間関係も変わる。本音を話してくれる保証もない。

だから、社員面談を万能だと思わないほうがいい。

社員面談は答え合わせではない。 地雷を1つ減らす作業だ。


「残業は多いですか」では、何も分からない

社員面談をしても、質問が雑なら意味がない。

「残業は多いですか」
「職場の雰囲気はいいですか」
「働きやすい会社ですか」

こんな質問には、きれいな答えしか返ってこない。

「時期によります」
「部署によります」
「風通しはいいです」

まあ、そう答える。

聞くべきなのは、感想ではない。

事実だ。

残業を知りたいなら、

「先月、このチームでは何時ごろに帰る人が多かったですか」

仕事内容を知りたいなら、

「求人票にある仕事の中で、一番時間を使うのは何ですか」

職場の現実を知りたいなら、

「最近入社した人は、最初に何につまずきましたか」

質問を具体的にすれば、回答も具体的になる。抽象的な質問には、採用向けの回答しか返ってこない。


ギャップをゼロにする必要はない

入社後のギャップを、完全になくすのは難しい。

社員面談をしても、見えない部分は残る。 職場見学をしても、人の本音までは分からない。 上司が変わることもある。 配属先が変わる可能性もある。

だから、完璧な会社を当てようとしなくていい。

大切なのは、

自分が絶対に耐えられないズレを、入社前に1つでも減らすこと。

給与は書面で見る。
仕事内容は現場社員に聞く。
職場の空気は、自分の目で確かめる。

企業が細かく説明するのは、本来なら当たり前だ。でも、説明が足りない会社で損をするのは転職した本人。だから遠慮せず、自分から情報を取りにいく。

「聞いていなかった」で失った1年は戻らない。


僕は、採用支援と自分自身の転職経験をもとに、求人票では見えない会社選びのポイントを発信している。転職で後悔したくない人は、ぜひフォローしてほしい。

ほかの記事でも「面接で聞くべき質問」や「危ない求人票の見分け方」をまとめているので、あわせて読んでみてほしい。

求人票の文章を入れると、注意した方がいい表現や、面接で確認すべきポイントを整理できます。
▼詳しくは、こちらの記事

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