【組織のAI活用#208】Google Workspace環境ではスプレッドシートをデータベース活用するのがおすすめ
こんにちは!寺田です。
現在は、デジタル関連会社のAI推進者などのAI活用者のコミュニティである「AI Digital Community (ADC)」の代表理事や、顧客事業の「×AI化」をサポートするFURIKAKE Partners(株)と組織のAI活用を支援するプロダクトを提供するAI Portalize(株)の代表取締役を務めており、様々な側面から組織のAI活用をサポートしています!
ここ最近、AIを活用して社内のワークフローを自動化したり、簡単なウェブツールを内製したりする企業が急激に増えてきているという印象です。
現場の担当者が自ら手を動かして、日々の定型業務を効率化する動きが活発になっています。
ただ、その際にデータの保存先や、複数のツールをどう連携させるかという壁にぶつかるケースをよく見かけます。
本格的なデータベースを一から構築するのは、技術的にもコスト的にもハードルが高いと考えます。
特にGoogle Workspace環境を導入している会社であれば、普段から使い慣れているツールを応用することで、この課題をスムーズに解決できます。
ということで、今回はAIでワークフローを自動化する際のスプレッドシートのデータベース活用について、具体的な例に触れながら書いていこうと思います。
例1. 商談や会議の議事録作成におけるデータ集約
Google Meetなどで商談を行うと、録画データや文字起こしのローデータがGoogle ドライブに保存されます。
以前の記事でも触れた「Google Workspace Studio」などを使って、Geminiで文字起こしや要約を行うフローが考えられます。
その際、出力結果を直接チャットツールに投げるのではなく、一度スプレッドシートに集約させることが非常に効果的です。
※Google Workspace StudioとGemを組み合わせてAIワークフローを自動化する具体的な方法については、こちらの記事も参考にしてください。
例えば、1列目に会議タイトル、2列目に日付、3列目に文字起こしの全文、4列目に要約といった形でデータを整理します。
イメージとしては、各回の会議ごとのバラバラな情報を、一つの表形式のデータベースとして一覧化する形です。
元の情報をスプレッドシートに置いておくことで、そのデータを後から再利用しやすくなります。
つまり、蓄積されたデータからネクストアクションだけを別の列に抽出したり、その結果を特定の人にメールで送信したりといった連携が容易になります。
毎回本文を引用して何か追加の処理をしたい場合、ここを簡易的なデータベースのように活用しておくと非常に有効です。
もちろん、すべてのデータを無目的に保存するのではなく、後から検索や分析に使いたい項目に絞って列を作成しておくのがポイントではないかなと思っています。
そのうえで、データを一覧化しておくことで、チーム全体での情報共有もスムーズになると考えます。
チャットツールに流すだけだと過去の情報がどんどん流れてしまい、振り返りが難しくなるからです。
結果的に、スプレッドシートという固定の場所に情報が蓄積されることで、属人化の解消にもつながるという印象です。
例2:ウェブアプリ開発におけるデータの保存とハブ機能
2つ目の例です。
Google Apps Scriptを利用して社内用のウェブアプリを作る際にも、データの保存や蓄積が必要になります。
このような場合、全情報をスプレッドシートに入れておき、そこに対して読み書きを行うという構成がおすすめです。
実質的に、スプレッドシートにデータベースとしての役割を担わせることができます。
というのも、スプレッドシートはGoogleの各サービスとの相性が抜群に良いからです。
専用のサーバーを用意しなくても、権限設定やアクセス管理をGoogle Workspaceの標準機能で安全に行えます。
加えて、Google Apps Scriptを介してSlackなどの外部ツールとも簡単に連携できるようになります。
※GASやGoogleサイトを使った社内AIツールの展開方法とセキュリティ設定については、こちらの記事もご覧ください。
例えばですが、社内からの問い合わせ対応を自動化する簡単なヘルプデスクアプリを作るとします。
ユーザーからの質問内容をスプレッドシートに記録し、AIが回答案を作成して別の列に書き込み、それをSlackに通知するといった具合です。
情報を集約する「ハブ」としてスプレッドシートを活用し、そこからアプリ化したり、ワークフローに組み込んだりする形が理想的です。
※社内FAQをAIで自動育成して一次対応まで自動化する仕組みの詳細は、こちらの記事を参考にしてください。
逆に言うと、本格的なシステム開発の前に、まずはスプレッドシートをベースにして小さく運用を始めるのが安全だと考えます。
現場の担当者でも中身のデータを確認しやすく、運用しながら項目を追加したり修正したりするのも容易です。
一度スプレッドシートに集約させることで、開発のスピード感もその後の活用の幅もぐっと広がります。
自動化タスクの運用保守と業務プロセスへの組み込み
AIから出力された情報を単純に右から左へ流すのではなく、スプレッドシートという中間地点を設けるメリットをお伝えしてきました。
一言でいうと、データを構造化して蓄積することで、連続したタスクの自動化が格段にやりやすくなります。
また、運用保守の観点でも、途中にスプレッドシートを挟むことは大きな意味を持ちます。
AIの処理が途中で止まったり、期待した出力が得られなかったりするケースが発生します。
仮にエラーが起きたとしても、スプレッドシートに元データが残っていれば、どこで処理が失敗したのか一目で確認できます。
そのまま再実行するのもスムーズに行えますし、AIのプロンプトを改善するためのテストデータとしても活用できます。
まずは身近な会議の議事録集約や、簡単な通知ワークフローの構築から試していただくのが良いのではないかなと思っています。
一時的なデータの通過点としてではなく、人が見て理解できる形でデータを残しておくことが、AI活用の精度を高める鍵になります。
これらを起点に、自社に合ったデータの蓄積方法や自動化の仕組みを見つけてみてください。
読んでいただきありがとうございました!
過去のAI関連記事はこちらです!
ちなみに、組織におけるAIの推進についてまとめた本も出版させていただいております。もしよければご覧ください。
<自己紹介>
直近までは、電通グループに属する約1400人・20社以上の事業会社群で構成されるCARTA HOLDINGSにて、全社横断のAI推進室で組織全体のAI活用推進を担いつつ、法人向けの「生成AI&デジマ人材」研修サービスであるD-Marketing Academyの代表取締役も兼務し、大手企業からスタートアップまで、数百社にわたるAI人材育成を支援してきました。
現在は、デジタル関連会社のAI推進や担当コミュニティである「AI Digital Community (ADC)」の代表理事や、顧客事業の「×AI化」をサポートするFURIKAKE Partners(株)と組織のAI活用を支援するプロダクトを提供するAI Portalize(株)の代表取締役を務めており、様々な側面から組織のAI活用をサポートしています!
<略歴>
2005年 5月 大学在学時にEC事業を開始
2007年 5月 (株)サイバーエージェントに入社し新規事業の立ち上げに携わる
2011年 10月 (株)VOYAGE GROUPにてKDDIとの協業事業を行う(株)Flesselを設立し代表取締役に就任
2015年 11月 ECコンサルティング事業を行う(株)JSコンサルティングの代表取締役へ就任
2018年 4月 東証一部プライム企業Hamee(株)にJSコンサルティングをM&Aし、代表取締役を継続
2019年 5月 Hamee(株)の執行役員に就任し、Hameeグループの新規事業領域を管轄
2021年 2月 D2C支援を行うTHE CHOSEN ONE(株)の顧問に就任
2021年 3月 アパレルD2C事業を行う(株)NAAFYの取締役に就任
2021年 4月 D-Marketing Academy(株)を設立し代表取締役に就任
2023年 1月 (株)CARTA HOLDINGSにD-Marketing AcademyをM&Aし、代表取締役を継続
2025年 3月 CARTA HOLDINGSグループ全体のAI活用促進を行うAI推進室を兼務開始
2026年 1月 生成AIに関しての顧問を行うFURIKAKE Partners(株)を設立し、代表取締役に就任
2026年 1月 組織の生成AIプラットフォームサービスAI Portalize(株)を設立し、代表取締役に就任
2026年 1月 デジタル関連のAI活用企業コミュニティ「AI Digital Community(ADC)」を設立し代表理事に就任
