漫画家アシスタント物語 古い話で章〈19〉 漫画の面白さとは、手品の種?
《写真上:2012年頃から住んでいた武蔵浦和のマンションです。近々、引っ越すのです‥‥その引っ越し先が、なんと同じマンションの4階の部屋。》
< この「古い話で章〈18〉」は、文庫本約6ページ分 >
「古い話で章」は、独立した「章」ですので、「諦めま章」の続きではありません。 無料で、各話、お楽しみいただけます!
ただし‥‥ 各話が連続していますので、「古い話で章〈1〉」からお読みいただく方が、よろしいかと思います。
はじめての方は、「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!
その37
《 漫画家アシスタントが・・・漫画の秘訣を考える!? 》
漫画家にとって『 面白い漫画を描く秘訣 』は、まさに企業秘密でしょうし、手品でいえば大マジシャンの種明かしみたいなもの。
そう簡単に話してくれる人は少ないと思います。
私は、慎重に‥‥ 慎重に‥‥ 質問しました‥‥‥‥
「 もし、『 面白い作品を描くにはど~したら良いですか? 』と質問されたら‥‥‥‥ どう答えます? 」
加川さんは、即座にキッパリと喋ってくれました‥‥
「 テーマだね! 」
「 テーマ? 」
「 そう、テーマが一番重要だと思うよ! 」
加川さんが語るテーマとは、作品制作の動機や契機に繋がる作品の土台となる『 情念や因縁 』を指しています。
加川さんは、自分の作品を例に出して「 テーマ 」について説明してくれました‥‥
〇ープランドで働く一人の若い女性がいる‥‥‥‥ このお話は、加川さんの体験を元にしています。
彼女の腕にはリストカットした傷がいっぱい付いている‥‥‥‥ それだけで、彼女が何人もの男にだまされている事を暗示します‥‥‥‥
物語を話し始める加川さんは、前置きするように‥‥‥‥
「 小池ちゃん、俺、その娘の傷をこっそり見ちゃったことがあるのよ 」
「 ‥‥‥‥‥‥ 」
「 普段は、リストバンドなんかして隠してるんだよ‥‥‥‥‥‥これがテーマだよ! 」
彼女は、仕事の後でお酒を飲みながら「 男なんて大嫌いよ 」と語っている。
お金があろうと、イケメンだろうと、彼女は信じない‥‥‥‥ もう、男なんて出来ないのではないか‥‥‥‥ 結婚しないんじゃないか‥‥‥‥
‥‥そう、誰もが思っていた。
ところが、彼女はあっさり‥‥ 男を作って結婚してしまう!
妙な事に、この男には魅力の欠片もないし、金もない。おまけに不細工で退屈なだけなのだ。
よりにもよって‥‥‥‥ なんでそんな男と結婚を‥‥‥‥ 誰もがそう思う‥‥‥‥
そして、加川さんは、嬉しそうにストーリーを締めくくる‥‥‥‥‥‥
「 ラストで、このダサい男の手首にも切り傷があるのが分かる‥‥‥‥ これがオチだね! 」
「 なるほど‥‥‥‥ 確かに面白いですね! 」
「 つまり、手品師が物を消してしまうのを、観客が不思議がる‥‥‥‥ これと、つまらない男と結婚しちゃう、読者が不思議がる‥‥‥‥っていうのと同じ事なんだよ! 」
加川さんは、情念のこもったテーマと、物語の意外性の大きな展開に面白さの要素があると説明してくれました。
加川さんがこの取材を通じて最後に言っていた事は‥‥‥‥
「 人生の最大の収穫は、ジョージ先生( ※参照 )と出会えた事だね 」
‥‥‥‥そう言って、長い話をまとめてくれました。
色々なタイプの漫画家アシスタントがいますが‥‥‥‥‥‥ どんなアシスタントでも、その先生の元を離れた時には、本音でつい愚痴が出るものです。
時には、「 あの先生は酷かった 」とか「 ケチ臭い先生だった 」とか、悪口が出たりする場合もあります。
しかし、ジョージ先生の所を離れた先輩方で、先生の悪口を言う人はいません。( 私の知る限りにおいて )
不思議と、先生の元を離れて一人になった時、その存在の大きさに気が付くものなのかも知れません。( 私のようなヘソ曲がりもいますが )
でも、私にとって加川さんも輝かしい大きな存在であることに変わりありません。
「 俺なんか、全然ダメだよ、ホント、イ~加減なだけよ! 」
‥‥‥‥いつも、そんな事を言って笑うのですが‥‥‥‥‥‥カッコ良いのです。
売れるか、売れないかは確かに重要ですが‥‥‥‥ 私にとっては、そんな事よりも「 一懸命漫画に向かった人 」って、みんな素敵に見えるのです‥‥‥‥ いや、ホントに!

引っ越し休暇
首の骨‥‥‥‥ 第5頸椎にヘルニアができて、毎日の痛み( 特に背中 )から1時間と眠れない日々を過ごしていましたが‥‥‥‥
「 リリカカプセル 」とかいう薬を飲んで3ヶ月、かなり痛みから解放されました。( しかし、痛みが完治する事はありませんでした )
ただ、この薬にはいくつか副作用があり、私の場合「 膨満感 」といってお腹がやたらと膨れる不快な副作用がありました。
でも、整形外科でもらった薬が、どんどん量がふえていくけれど、とにかく効いていてくれる‥‥‥‥ と思ったら、腰を痛めてしまい脂汗を流しながら引っ越しの準備をしています。( 軽い荷物でも泣きそうになっております )
同じマンションの4階に引っ越します。
今度は、老母( 軽度アルツハイマー )も一緒に暮らす事になりますので、偏屈な私とタイ人妻と3人で奇妙な会話が楽しめそうです。
この時から、2026年3月に亡くなる母(「 チェンマイ淡々通信29 」に記載 )との同居が始まります。冗談を言っていられるのは同居当初だけ‥‥‥‥どんどん深刻な事態になります。
私は、来年( 2015年 )で丁度60歳、膝痛、腰痛、頸椎ヘルニア、おまけに腎臓病に蓄膿症と極度の老眼!( 早漏もある )
これが老漫画家アシスタントのボロボロの日々です‥‥‥‥
今回は、「引っ越し休暇」をいただきます‥‥
では、この辺で失礼を‥‥‥‥
「 漫画家アシスタント物語 古い話で章〈20〉」へつづく・・・・
「古い話で章〈18〉」へもどる‥‥
「もくじ」 へ‥‥
~~~ 参照 古い話で章〈19〉~~~( 読んでも、読まなくても!)
【その37】
・ジョージ先生 : 昭和の有名漫画家、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年には27歳で、週刊連載6誌という逸話もある。問題作「銭ゲバ」「アシュラ」が有名。現在は1誌に連載中。2015年現在、72歳。
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