漫画家アシスタント物語 古い話で章〈1〉 枕を抱いた高校生と夜行列車!
《 画像上:秋山プロの先輩テラさんが描いたオリジナルイラスト。パステル画で独自の世界観を追求しつづる。漫画を止めて童話画を始めた頃の作品 》
< この「古い話で章〈1〉」は、文庫本約9ページ分 >
「古い話で章」は、独立した「章」ですので、「諦めま章」の続きではありません。 無料で、各話、お楽しみいただけます!
ただし‥‥
はじめての方は、「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!
その1
《 漫画家アシスタントが・・・うな重をつつきつつ取材する!? 》
新しい章の始まりなのに‥‥‥‥ 10年近く前に買った始めてのパソコン、かなり調子が悪い( ※参照 )‥‥‥‥( 2013~2014年頃 )
困ったもので、やけに動作が遅いし、文字の変換にも障害が‥‥‥‥
そんなわけで、パソコンを買い換える事にいたしました‥‥‥‥ パソコンの引越し作業やら何やら‥‥‥‥ 今回は、そんな中で書かせていただいていますのですが‥‥‥‥
章のタイトル通り、ホントに古い話です‥‥‥‥
この話を書くために、先日、銀座にあるうなぎ料理店で、二人の元先輩アシスタント氏( ※参照 )から、なつかしい話を聞かせてもらいました。
これから、書かせてもらうのは、その時に録音した内容をまとめたものですが‥‥‥‥ 細部において、若干の脚色をしてあります事をご容赦下さい。
テラさん( ※参照 )昭和27年( 1952年 )生まれ、高校生の時には、ジョージ先生( ※参照 )のアシスタントに成ろうと決めていたそうです。
1969年頃のお話です‥‥
九州の小倉出身のテラさんでしたが‥‥ 両親を早く亡くして、広島に住む叔父さんの下で高校に通っていました。
そして、早く漫画家になって独立したい‥‥‥‥ そんな夢を抱いた少年だったわけです。
テラさんは、うなぎ屋で、ビールを美味そうに飲みながら‥‥
「 世話になってる叔父さんには、なんだか遠慮があってさぁ‥‥ 早く、出て行きたかったんだよ 」
実は、漫画家に成るために絵を描いている事は、叔父さんには内緒だったのです。
当時は、漫画家に成りたいなどという事は、「 ヤクザに成りたい 」というのと同じ意味だったような時代でしたから。
漫画を読んだり、描いたりするのも、こっそりとやっていたわけです‥‥ 今の若い人には、理解しがたい事かも知れませんが‥‥‥‥
私なんぞも‥‥
「 漫画ばかり読んで、馬鹿になるよ! 」
とか‥‥
「 たまに勉強してるかと思えば漫画なんか描いて‥‥ ろくな者に成らないよ! 」
親からは、毎日、そんな風に怒られていました。( もっとも、親の言っていた事が正しかったわけではありますが‥‥! )
さて、1969年というと、私は中学生でまだ寝小便なんぞしていた頃、テラさんは、せっせとジョージ先生にファンレターや自分の描いた4コマ漫画などを送っていたのです。
それも、毎週のように‥‥‥‥ のべで100通は超えるほど送っていたそうですので、当時、ジョージ秋山プロで仕事をしていたアシスタント( ※参照 )の間でも話題になっていました。
「 スゴイなぁ‥‥ こいつ、また送ってきてるぜ! 」
仕事場に届く郵便物を整理すると広島からの熱いハガキや手紙がいつも届いているような状態でした。
テラさん自身は、いつか、東京へ行ってアシスタントに成りたいがために、せっせとジョージ先生に攻勢をかけていたわけです。
『 いつか、東京へ行きたいです! 』
などと、充分な伏線をはっていました‥‥‥‥ 高校生にしては、覚悟を決めた一途な想いとも言えます。
高校を卒業したら、必ず東京へ‥‥‥‥と考えていたテラさんでしたが‥‥‥‥
ある日、叔父さんに漫画を描いているところを見られてしまいます‥‥‥‥
「 そんな事をやっているのだったら、出て行ってもらうぞ! 」
‥‥‥‥そう言われた事が契機になって高校を中退して、布団だけ( ! )担いで東京行きの列車に乗ってしまうのです‥‥‥‥‥‥
テラさんは、初めて自分自身の人生のレールを進み始めたわけです‥‥‥‥ 布団と共に!
この時‥‥
ジョージ先生は、まだ、何も知りません‥‥‥‥

その2
《 漫画家アシスタントが・・・忘れられない昔の話・・・!? 》
ボンヤリと過ごしていたら‥‥
ブログ記事が‥‥‥‥
一週間があっという間に過ぎてしまい、丸々、一回分の記事が遅れてしまいました。
いつもこのブログを楽しみにして下さっている方々( きっと1千万人位はいる )には、失望させてしまって申し訳ありません。
今月は、PCの不調やら取材の遅延など‥‥ 色々な出来事が重なり( ゲームのやり過ぎ‥‥という声もあるが )申し訳ない限りです‥‥‥‥
さて‥‥
前回からのつづきですが‥‥
1969年当時といえば、うちのジョージ先生が26歳。連載する漫画は週刊誌数誌「 ほらふきドンドン 」( 講談社 )「 デロリンマン 」( 集英社 )等々‥‥ 完全な売れっ子漫画家。 翌年には、有名な「 銭ゲバ 」( 小学館 )や「 アシュラ 」( 講談社 )が発表されます。
アシスタントに成りたいとアトリエを訪れる学生や若者は沢山いたようですが‥‥
テラさんのように布団を持ってやって来るというケースは初めてだったのではないでしょうか。
ちなみに、タクシーのトランクから布団を引きずり出し、自分はマクラひとつを抱えて先生のマンションのドアをノックしたそうです。
前もって何の連絡もなしに無茶な事をするものですが‥‥‥‥
「 小池ちゃん、若かったのよ~あの頃はさぁ~!」
‥‥と、当時の自分を照れるように笑うテラさん。
17歳、卒業間際の高校を中退して漫画家の弟子になる‥‥ 当時の常識から考えれば、まったく無茶な話なのかもしれませんが‥‥ その無鉄砲なところが、まさに九州男児そのものなのかもしれません。
もっとも、ジョージ先生には100通以上のファンレターや、自作の4コマ漫画を送っていたし、いずれ東京へ出ていきたいとも書いておいたので‥‥
『 先生は、きっと俺を歓迎してくれる! 』
テラさんの頭の中には、漫画家に成って錦を飾る事しありませんでした‥‥‥‥
『 俺は、夜行列車に乗って一人で東京へ行くんだ! 』
緊張と期待で青白い顔をしていた高校生。 列車の中で、小さくなっていた事が想像されますが‥‥ 心には大きな大漁旗を「 バタッバタッ 」と、はためかせていたのでしょう。
友達から見送られながら、乗った夜行列車( 各駅停車の鈍行! )で約18時間‥‥‥‥
花の都か、夢の都か‥‥‥‥ 東京へ‥‥‥‥ しかし、さっそく東京の現実に出くわします‥‥‥‥
当時の東京駅には、何人もの少年課の私服警官が地方から出てくる家出少年や少女たちを探していました。
駅構内をキョロキョロしながら歩くテラさんは、すぐに警官の目に入ります‥‥‥‥
「 君は、どこから来たんだい? 」
家出したとは言っても、一応、親代わりの叔父さんには容認してもらっています。すぐに、広島へ連絡してもらって、警察からは放免してもらったのですが‥‥‥‥
テラさんは、東京での生活を考えて、日用品などを買い集めるために駅構内をウロウロしていたので、また、同じ私服警官から声をかけられます‥‥‥‥
「 お前、まだこんな所をウロウロして‥‥ 何やってるんだ? 」
心配そうにテラさんに声をかけながら、こんな忠告をしてくれました‥‥
「 だいたい、警察だと言うだけで、警察手帳も確認しないで信用しているようじゃ、簡単にだまされるぞ‥‥ 用心しなきゃダメだぞ! 」
布団を抱きしめながら警官に礼をして駅を出ます‥‥
布団と雑貨品をいっぱい持った高校生をひろってくれたタクシーの運転手は、気持ちよく荷物をタクシーに積み込むのを手伝ってくれたそうです。
「 へぇ‥‥ そうかい、漫画家のお弟子さんになるのかい‥‥ 頑張りなよ! 」
列車の窓から、追いかける様に見送ってくれた友人、東京駅で声をかけてくれた警察官、名も知らぬタクシーの運転手の激励‥‥‥‥
その一言、一言を‥‥‥‥ 44年も前のその一瞬の出会いを‥‥‥‥ 決して忘れる事が出来ないとテラさんは語るのです。
初めての東京で、その新しい人生の第一歩で‥‥‥‥ いい人たちとの出会いがあって‥‥‥‥ ついに念願のジョージ先生との対面が‥‥‥‥
タクシーは目白通りから中落合の住宅街を抜けて小さなマンション( 当時としては普通のサイズ )の前に止まります。
この時、まだ、何も知らないジョージ先生は、締切りギリギリの状況で、編集員に監視されながら黙々と仕事をしていたのです‥‥‥‥
「 漫画家アシスタント物語 古い話で章〈2〉」へつづく・・・・
「諦めま章〈20〉」へもどる‥‥
「もくじ」 へ‥‥
~~~ 参照 古い話で章〈1〉 ~~~( 読んでも、読まなくても!)
【その1】
・パソコン : DELLのデスクトップ530s。もう10年近く使用。エロ動画のダウンロードを繰り返した結果が致命傷か‥‥ メーカーはリカバリーを勧めてくれたが、買い替えを決意。
・元先輩アシスタント氏 : 40年以上も前に我が秋山プロで仕事をしていた猛者。今では、すかり初老の年金受給者。でも気持ちと若さは、昔とちっとも変わらない!
・テラさん : 九州の小倉出身。1969年に高校を中退して秋山プロへ。35年勤務して童話画家を目指す。
・ジョージ先生 : 有名漫画家ジョージ秋山、1966年、23歳で売れっ子作家に。1970年には週刊連載6誌という逸話もある。現在は1誌に連載中。2013年現在、70歳。1969年当時は26歳。
・アシスタント : 1969年当時は、総勢3名が在籍。豊島区要町のアパートで共同生活をしていた。秋山プロでは、「デロリンマン」「ほらふきドンドン」などを連載していた時代。「銭ゲバ」や「アシュラ」などでジョージ先生が大ブレイクする直前
・仕事場 : 東京、新宿区中落合の住宅街にある小さなマンションの一室、2DK。2013年現在すっかり古くなったが、当時のままマンションは存在している。
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