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漫画家アシスタント物語  第9章 〈6〉 大学での講演? 嘘でしょ?

 
《写真上:  私が仕事をしているデスクの床。 散乱するゴミはスクリーントーンの切れ端です。ホコリも粉雪の様に積もっていますが、柔らかい状態から石化しつつある様です。 左側はゴミ溜まりの押し入れ、2011年12月 》
                < この9章〈6〉は、文庫本約9ページ分 >


「第9章」は、独立した「章」ですので、「第8章」の続きではありません。ほとんど短いショートストーリーですので、「第9章〈1〉」(無料)より、お楽しみいただけます!

ただし‥‥ この「第9章」は、それぞれの話が少しだけ連続していますので‥‥ 「第9章〈1〉」よりお読みいただくのがお薦めです!
 
 
さて‥‥ 本文の前に‥‥ ここで‥‥‥‥
 

「漫画家アシスタント物語」のマガジンを、購読してくれた方を紹介させてください。 vasenoir 村田旭先生 ‥‥‥‥‥ ありがとうございました!



               その11  
  
  《 漫画家アシスタントが・・・テレビを信じない理由2!? 》
 
 
予定では数日の取材で済ませるはずだったのに‥‥

製作スタッフが面白い画像を撮れないために、取材期間をさらに延長してまで撮ろうとしたものが何なのか‥‥

それを番組のディレクターは何も喋りはしないわけです。 ただ、私の友人の部屋に24時間カメラを設置するという奇妙な( 露骨な )取材を黙々と続けたのです‥‥

前回も書きましたが、「 ADHD 」( 注意欠陥多動症 )と言っても、その症状は健常者から見て「病的」であると判断するのは非常に難しく、家族や本人さえ、医師から「病気です」指摘されるまで分かっていない場合が多いのです。( 「ADHD」は2010年代に作られた病名! それ以前は、普通の「寝坊助」「遅刻魔」「落ち着かない奴」 )

そのため、取材班が期待する「 面白い 」映像を撮る事が困難な状態になっていたわけです。

さて、24時間監視すれば、きっと何かが撮れる‥‥ そう期待しても、結局「 面白い 」映像は何も撮れないまま時間だけが過ぎていきます‥‥

徐々にイライラを募らせる取材班に対して私の友人は、相当にプレッシャーを感じていたそうです‥‥

つまり‥‥

「 協力しないと( 奇行を見せないと )、いつまでたっても取材が終わらない‥‥ 」

‥‥と、諦めにも似た心境になり‥‥

そこで‥‥‥‥

友人は、わざと「 異常 」な行動をとって撮影を終えてもらおうとしたわけです‥‥‥‥

そのシーンは、ちょっと「 オタクっぽい 」とか「 キモい 」とかのふりをしているだけのたわいない素人「 演出 」ですが‥‥‥‥( 飼っているペットを抱いたままでトイレに入るとか、溺愛するとか )

そんなシーンを二つ三つ撮れた( 演技した )ことでやっと取材班は、撮影を終えてくれたそうです。

これは、事実を報道しているのではなく、あらかじめ取材サイドの企画に合わせてフィルムを作っているだけにすぎません。( 都合のよいフィルムの断片だけを繋いでいる )

そして‥‥

もう一人‥‥ 作家志望の友人がいるのですが、彼も某公共放送の報道番組に出演した事があるのです‥‥

その当時、彼は会社( 某新聞社 )を自主退社して失業していたのですが‥‥ その時、に「 失業者 」の一人として番組の取材を受けたわけです。

つまり‥‥ 『 失業しても、作家への夢を追う青年 』というシチュエーションで‥‥‥‥

ところが、実際にオンエアされた番組は‥‥‥‥

「 失業 」ではなく「 リストラ 」という言葉に変更されていました。

彼は取材班に対して失業中であると言っていただけなのですが・・・・「 リストラされた青年 」として放送したのです。( 番組タイトルが『 リストラ 』だったためにそれにこじつけた )

そのため放送後、彼の元勤務先( T新聞社 )から「 ウチの会社はクビになんかしてない! 」と注意を受け、弁明に追われるハメになったそうです。

テレビには元々、傲慢ごうまんなところがあって‥‥

『 テレビに出させてやってるんだから‥‥! 』

という雰囲気( 権威主義的 )がある様な気がします。

本当は自分たちこそがテレビに出演したいとか、スターになりたいとか、潜在意識の中で思っているためなのか‥‥ 実際の出演者に対して歪んだ心理が働いているのかも知れません。

さて、テレビ報道の話はこの辺にして、次回は‥‥ 私のような者が大学講師になる経緯について書いてみたいと思います‥‥‥‥

 
 
 
 


この絵は、ブログ本用に描いた挿絵です。仕事中のジョージ先生に背後から話しかけるシーン‥‥この「表情」が、本人にはかなり不快だったため、出版後に関係が悪化しました! 2010年頃


               その12  
  
    《 漫画家アシスタントが・・・大学で講演する!? 》
 
 
ラジオ出演があり、それを契機にして私が20年前に描いた「 蟹工船 」を原作とした漫画の単行本化( ※参照 )、さらに、大学からの講演依頼など、2008年はホントに色々な事がありました。

さて‥‥‥‥ これから私が講師を務める大学の話になるのですが‥‥

現在( 2009年~2016年まで )も務めているわけですし‥‥ また、大勢の学生たちの事もありますし‥‥

これまでのように取材などをしたネタに尾ひれをつけて‥‥ などという書き方ができませんのですが・・・・( ほんのサワリ程度に‥‥ )

その辺のところはご勘弁をいただきつつ‥‥‥‥ お読みいただければありがたいのですが‥‥‥‥

2008年の夏、ラジオ出演の後でほとんど同時に二つの大学からお誘いをいただきました。

一つは東京郊外にある美術系のTK大学で2回の講演依頼。 もう一つが、現在も務めさせてもらっているTM大学‥‥ こちらは、東京都心の繁華街にあり、大学というよりも商事会社のビルみたいな‥‥‥‥ ちょっと意外な場所にあります。

どちらもメールで連絡があったのですが‥‥‥‥ 私はどちらも何かの間違いだと思って気にもしていませんでした。( ‥‥ホントは気にしてたけど、半信半疑! )

『 まさか、漫画家アシスタントなんかに、大学が興味を持つわけがないよなぁ‥‥! 』

『 そもそも、美術系大学と漫画の背景画なんて、何の関係もないしなぁ!』

この当時は、日本全国の美術系大学では、漫画を教えている所が少なくない事を私はまだ知りませんでした。

物好きな専門学校から、私の漫画背景の技術がどんなものかとテストしたい‥‥ みたいな話なら‥‥ 納得出来たと思うのですが‥‥‥‥。

大学には申し訳ないのですが‥‥ アシスタントにすぎない私は、メールをいただいた時点では、本当に‥‥

『 こんなバカげた話は、聞いた事がない! 』

‥‥と、ど~にも信じる事が出来なかったのでした。

すぐに「 あのメールは間違いでした 」とか「 審査の結果、やはり、講演依頼はキャンセルさせていただきます 」とか、どうせそんな感じの結末が待っているに違いないと‥‥。

ところが‥‥‥‥

メールをもらってから1ヶ月ほど経った頃でしたか‥‥ 9月‥‥ まだ暑さが厳しい中、2回の講演依頼をしてくれたTK大学の某教授と新宿の喫茶店で面談した時には、本気で私なんぞに講演を依頼するつもりなのだと‥‥‥‥

顔には出しませんでしたが‥‥‥‥ ホントはとても驚いていたのです‥‥‥‥

きっと面談で「 退屈な男だな 」とか、「 こいつ、バカだなやっぱり 」とか、「 こんなアシスタントじゃダメだ 」とか、失望されるのを覚悟していたのですが‥‥‥‥

実は、私に講演を依頼した、この教授先生( ※参照 )は、有名漫画原作者のマネージャー( 実際は使い走りや雑用など面倒な事全てをやらされる大変な仕事 )をやっていた経験がある苦労人、私の様な漫画家アシスタントに大変理解がある先生だったのです。

「 学生( ※参照 )たちに業界がそんなに甘いものじゃない事を話してほしい‥‥ 」

戸惑う私に‥‥

「 『 漫画家アシスタント物語 』に書かれている『 教訓 』を軸にして、本の内容を話してもらえれば‥‥ 」

‥‥つまり、私が書いているこのブログの調子で苦労話をすればよいのだと‥‥

『 お、それなら簡単そうだなぁ‥‥ 』( オレでも出来そう、挫折の連続だったし! )

こうして私はTK大学での講演をする事になったのですが‥‥‥‥

そこは、さすがに大学です‥‥‥‥ 数日後に次の様なメールが届きます‥‥‥‥

「 レジュメを送って下さい 」

この「 レジュメ 」が分からない‥‥ 日本語じゃないのは分かるけど‥‥ フランス語っぽいな‥‥‥‥

要するに講演内容をまとめたもの( 箇条書きにしたもの )をメールに添付してくれ‥‥‥‥ という事なのです。

さて、大学用語には、他にも‥‥‥‥

「 シラバス( ※参照 )はエクセルで提出して下さい 」

‥‥とか

「 講義ノート( ※参照 )はしっかり準備しておいた方がいい 」

‥‥とか、訳の分からない単語が飛んで来ます‥‥‥‥

同じ様な漫画背景を30年間描き続ける事以外、何もしていない私が体験する‥‥‥‥ トワイライトゾーンが始まるわけです。

  

 
 

       「 漫画家アシスタント物語 第9章〈7〉」へつづく・・・・

                   「第9章〈5〉」へもどる‥‥

                   「もくじ」 へ‥‥

 

 

 

 ~~~ 参照 ・第9章〈6〉 ~~~ ( 読んでも、読まなくても!)

 【その12】
・単行本化 : 2007年前後に「蟹工船ブーム」。1991年にヤングジャンプの別冊に掲載された「覇王の船」(小林多喜二「蟹工船」が原作)100ページを17年ぶりに単行本「蟹工船・覇王の船」として宝島社より再生出版。
・教授先生 : 白髪交じりの私よりも少し年上の清潔な紳士。苦労人らしい落ち着いた風貌とやさしい語り口が印象的。
・シラバス : 大学での授業のおおまかな内容と計画
・講義ノート : 授業内容をまとめたもの。あいさつから課題配布や講義内容など、箇条書きにしたもの。これを確認しながら授業をすすめる。

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