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漫画家アシスタント物語 古い話で章〈25〉 汚いテーマで、徹底討論!

 
《写真上:前回と同じ西武池袋線の沿線某駅の繁華街です。 近くにウイタさんが暮らす大きなマンションがあります。2015年頃撮影。 》
         < この「古い話で章〈25〉」は、文庫本約9ページ分 >

 
 

「古い話で章」は、独立した「章」ですので、「諦めま章」の続きではありません。 無料で、各話、お楽しみいただけます!
 
ただし‥‥ 各話が連続していますので、
「古い話で章〈1〉」からお読みいただく方が、よろしいかと思います。
 
はじめての方は、
「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!


 
 
              その46
 
   《 漫画家アシスタントが・・・汚い話に熱くなる!? 》
 
 
アシスタントのウイタさんがジョージ先生から自分の背景をほめられた話を、ウイタさん本人は知らなかったのですが‥‥‥‥ ( 40年以上、知らなかった! )                    

私が昔のそんなエピソード( 前回の『 その45 』 )があった事を告げます‥‥

私は、ウイタさんが喜ぶだろうと思ったのです。 先生から「一番良く描けてる」と言われたのですから‥‥ 

ところが‥‥

「 私の絵が『 汚い 』って、ど~ゆ~事なの? 」

「 あ‥‥ それは‥‥ そのぉ‥‥ 」( 他のスタッフから取材しました、とは言えずに口ごもっている )

「 私は原稿を汚した事なんてありませんよ!」

「 ああ‥‥ そうだったんですか‥‥ 」

「 私の原稿が一番綺麗でしたよ!」

‥‥‥‥と、何やら不満そうでしたが‥‥‥‥‥‥ 本人は、「 綺麗 」でなおかつ、「 上手 」な背景画を描いていたつもりだったみたいです。
 
  
ま‥‥ それはともかく‥‥‥‥
 
今回は、「 汚い 」つながりで‥‥‥‥
 
1970年前後のウイタさんの生活についてお話をしたいと思います。
 
ウイタさんのお風呂嫌いは、仲間内でも有名で‥‥‥‥ 事あるごとに‥‥‥‥
 
「 ウイちゃんは風呂へ入らないからなぁ~! 」
‥‥と、誰もが苦笑いをするのです。
 
噂では、一年間風呂へ入らなかった事もあるそうです。
 
いったい、一年間風呂へ入らない人間がどんな臭いになるのか‥‥‥‥ 想像するだけで、酸っぱいものが喉の奥からわいてきそうです!

私は、今年( 2015年当時 )で63歳になるウイタさんにそんな話題を向けてみると‥‥‥‥
 
「 一年入らなかったなんて、そんな事はないよっ! 」

「え‥‥?」

「失礼なこと言うねぇ‥‥」
 
‥‥と、さすがにムッとした表情で‥‥ 私も、確かに失礼な事を言ってしまったと(バカな噂話を信じてしまったと)、ちょっと後悔するのですが‥‥‥‥

「 盆と暮れ、年二回は入ってたよっ! 」

「 ‥‥‥‥ 」

「 毎年じゃないけどさ‥‥ 最低でも二回は入ってたよ! 」
 
私は、持っていたドリンクバーのグラスを落としそうになります‥‥

ウイタさんは、何事もなかったように静かに‥‥‥‥
 
「 盆と暮れ、実家に帰った時には風呂に入ったからね! 」
 
私は、ちょっと自分の頭に熱が起こるのを感じながら‥‥‥‥
「 たった‥‥ 二回‥‥ ですか!? それは、ちょっとヒドイというか何というか‥‥‥‥ 」

私の言葉が少しかんにでも障ったのか‥‥‥‥ ウイタさんはコーヒーが苦いなといった表情で‥‥‥‥

「 風呂に入らないからって、どこか痛くなったりするかい? 」

「 そ‥‥ そりゃ、まぁ‥‥ 痛くはならない‥‥ ですが‥‥ 」
 
私は、この会話に不快感と、奇妙な愉快を同時に感じながら‥‥‥‥

「 でも‥‥‥‥ でも、頭や体がかゆくなって嫌じゃなかったですか? 」

「 かゆかったら、かけばイイじゃないか! 」

「 そ‥‥ そりゃ‥‥‥‥ まぁ‥‥‥‥ 」

「 お風呂に入っても、次の日にはかゆくなるって事だってあるでしょ? 」

「 ‥‥そ‥‥ そりゃ‥‥ まぁ‥‥‥‥ 」( 絶句 )
 
私は、この話題がこんな議論に進んでいく事をまったく予想していませんでした‥‥‥‥

ただ、ウイタさんが恥ずかしそうに恐縮するだけの話題だと思っていたのです‥‥‥‥

それなのに、論理的にはウイタさんが完全に正しいので‥‥ 私はリングサイドに追い詰めれられる気分になりますが‥‥‥‥
 
ウイタさんは、私に連打をあびせます‥‥‥‥

「 お風呂に入らなくても、死にはしないでしょ! 」

「 は‥‥ はぁ‥‥‥‥ 」

「 お風呂に入らないからって、死んだ人がいますか!? 」

「 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 」
 
私は、ここでロープを背にしてその反動を利用しながら、クロスカウンターを‥‥‥‥

「 でも‥‥‥‥ でも、それじゃ女にはモテないですよね!? 」

「 ‥‥‥‥‥‥‥‥! 」

「 匂うし、臭いだろうし! 」( フックだボディだ! )

「 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥! 」

「 お風呂に入らないからって、何かイイ事があるわけじゃないですよね!」 ( ボディだ! チンだ! )

「 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 」
 
私は、ここ( ウイタさんが現在暮らす、西武池袋線某駅近くのファミレス )へ議論をしに来たのではなく、あくまで取材に来たのだという事を思い出します‥‥‥‥
 
しばらくの沈黙の後で、話題を変えたわけですが‥‥‥‥
 
やっぱり、次回も‥‥‥‥
 
ちょっと汚れたお話がつづきます‥‥‥‥

 
 
 
 
 


西武池袋線の椎名町駅近くのアーケード。奥にはスーパーもあって賑やかです。 40年、50年前は、加川さんやウイタさん、秋山プロスタッフが毎日歩いていたはずです。2012年6月撮影

 
 
               その47
 
 
  《 漫画家アシスタントが・・・パンツの汚れで熱くなる!? 》

 
私も若い頃には銭湯へ行くのが面倒で、最長で10日くらいお風呂へ入らない事がありましたが‥‥‥‥
 
ウイタさん( ※参照 )は、毎年、盆暮れの2回だけしかお風呂へ入りませんでした。
 
当時(1970年頃)、一緒に仕事をしていた加川さん( ※参照 )は‥‥
 
「 ウイちゃんのパンツは真っ黒だし、シャツのえりも真っ黒‥‥ それに、髪の毛は脂でベタベタ‥‥‥‥ だから髪の毛が固まってたよ! 」

「 そんな姿で、さぞかし臭かったと思いますが‥‥‥‥ 大丈夫だったんですか、一緒にいて? 」

「 それが‥‥‥‥ 不思議な事に‥‥‥‥ あんまり匂わなかったんだよね‥‥‥‥ 」

「 どうしてでしょう‥‥‥‥‥‥ ホントに不思議ですね 」

「 香水を使ってたのかも知れないな‥‥ 」

「 ‥‥香水を? 」
 
 
 
私は、後日( 2015年2月 )この話をウイタさんにしたのですが‥‥‥‥
 
「 当時は、香水を使っておられたとか‥‥‥‥? 」

「 使ってないよ‥‥ なんで私が香水なんか使うの? 」

「 つ、つまり‥‥ そのぉ‥‥‥‥ 臭いが‥‥‥‥ 」

「 香水なんて使った事ないよ。だって、半年に一度しか風呂へ入らない人間が、香水なんか使うと思う? 」

「 確かに‥‥ 使うとは思えませんね‥‥‥‥‥‥ 」
 
加川さんとウイタさんの話の食い違いはともかく‥‥‥‥
 
秋山プロ( ※参照 )では、このウイタさんの「 黒いパンツ 」は伝説化していて、特にスタッフの間では代々語り伝えられて来ました。
 
お風呂へ半年入らないのと同時に、パンツも半年に一度しか取り替えなかったのです。( 想像を絶するものがあります )
 
白いブリーフパンツは、ネズミ色に変色し、前部が黒く汚れていたそうです‥‥‥‥
 
お風呂へ入らないなら、なぜ、せめて下着くらいは毎日取り替えなかったのか‥‥‥‥?

どうして、汚れたパンツを半年もはき続けている事が出来るのか‥‥?

私は、当時のご自身の姿をウイタさんに思い出してもらいながら質問しようと思ったのですが‥‥‥‥
 
ウイタさんは、きっと‥‥
 
「 別に洗濯しなくても死にはしないでしょ! 」

‥‥とか何とか、切り返されるだけなので、今回は質問の仕方をちょっと変えてみました‥‥‥‥‥‥
 

2015年、二人の白髪頭が、ファミレスのソファでコーヒーを飲みつつ‥‥

背の高さが180㎝以上あるウイタさん、猫背でコーヒーを飲み‥‥ 私はウイタさんを見上げ‥‥
 
「 ウイタさん‥‥‥‥ ウイタさんの下着の話ですが‥‥‥‥ 」
 
「 え~~っ!? 」( また、くだらない質問をしてきたなという薄笑い )
 
「 半年も全然下着を取り替えなかったそうですが‥‥ 」
 
「 うん‥‥‥‥ そうだね 」( 否定しないであっさりと認める! )
 
「 黒く汚れたパンツをはいたまま‥‥? 」
 
「 ‥‥‥‥‥‥‥‥ 」
 
「 キレイに、真っ白に洗濯されたパンツと、黒く汚れたパンツと、どっちが気持ちよく着られますかっ? 」
 
「 ‥‥‥‥そりゃ‥‥‥‥‥‥キレイな方がイイよね 」
 
「 だったらなぜ、取り替えないんですかっ!? 」
 
「 わざわざ洗濯する労力と、洗濯しないで済むのと、計りにかけたら‥‥ 『別に洗濯なんていいかなぁ』‥‥‥‥って、ならないかい? 」
 
「 ‥‥‥‥‥‥‥‥でも、病気になりませんか? 」
 
「 なんで? 」
 
「 汚れたままの下着で、かゆくなったり皮膚病になったりとか‥‥‥‥ 」
 
「 全然 」
 
‥‥‥‥‥‥‥‥だめだこりゃ。

   
  
 
  
     「 漫画家アシスタント物語 古い話で章〈26〉」へつづく・・・・
                 「古い話で章〈24〉」へもどる‥‥
                        「もくじ」 へ‥‥
 
 
 
 
~~~ 参照  古い話で章〈25〉~~~( 読んでも、読まなくても!)

 【その47】
・ウイタさん : (仮名)1969年当時、17歳、横浜出身、高校を中退、家出して秋山プロへ入る。 現在は、フリーのアニメクリエーターとして「ポケモン」などの原画を制作している。
・加川さん : (仮名)中学卒業後、職業を転々としながら漫画家アシスタントに成る。1969年19歳で、ジョージ先生に師事。1978年に少年キングで連載を得て独立。1984年別冊漫画ゴラク連載。
・秋山プロ : 漫画家ジョージ先生の仕事場。東京目白にあり、バブル期には6~7人のスタッフが在籍。しかし今年2015年にはスタッフ2名。連載は1誌。ちょっと淋しい今日この頃です。

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