漫画家アシスタント物語 第9章 〈4〉 正気に戻ったら終わっていた!
《写真上:秋山プロ玄関。2009年、ボロボロで風雨が入り込むドアがリニューアル。すき間風がビュービュー入ることもなくなりました。2010年撮影》
< この9章〈4〉は、文庫本約10ページ分 >
「第9章」は、独立した「章」ですので、「第8章」の続きではありません。ほとんど短いショートストーリーですので、「第9章〈1〉」(無料)より、お楽しみいただけます!
ただし‥‥ この「第9章」は、それぞれの話が少しだけ連続していますので‥‥ 「第9章〈1〉」よりお読みください!
それから‥‥
はじめての方は、「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!
その7
《 漫画家アシスタントが・・・シドロモドロになる!? 》
私がスタジオの中で緊張のあまり台本が目に入らず、混乱の中で狼狽する話を書いているわけですが‥‥
探していた問題の「 台本 」( 当時の台本 )が見つかり、改めてそれを確認すると‥‥
随分と私の記憶に誤りがある事が分かりました‥‥
私の記憶では、台本にはアナウンサーのA住氏による簡単な質問項目が並ぶだけで、私の答えは何も書いていなかったと思ったのですが‥‥( 極度な緊張による記憶障害 )
実は、しっかりと回答すべき項目が書かれていました。
ラジオ台本の出だしは、こんな感じです‥‥( 台本のまま )
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CD C1~BGM (注:たぶんタイトル音楽の意)
アナウンサー Q、お待たせしました。 本日のゲスト、漫画家アシスタント生活34年‥‥小池さんです。 よろしくお願いします。
(私) A、( あいさつ ) ~
アナウンサー Q、現在は、どちらの先生のもとでアシスタントを?
(私) A、ジョージ秋山先生のアシスタントを‥‥
( 中略 )
アナウンサー Q、漫画家のアシスタントというのはどういった仕事を?
(私) A、人物以外のすべてを書く。背景や、服の柄、色づけ、などなど‥‥
アナウンサー Q、下世話なことをお聞きしますが‥‥漫画家のアシスタントってお給料のほうはどうなんですか?
(私) A、非常に貧しい‥‥
アナウンサー Q、今、漫画業界の景気というのはどうなんですか?
(私) A、少年ジャンプが毎週400万部を売っていたバブル期の1/3以下‥‥
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‥‥しかし、本番に入る前に、ディレクター氏から「 台本はあくまで台本で、毎回、台本通りには進まないんですよね 」と、言っていたので実際に上記の言葉と放送とは、かなり違います。( 特に私の回答は! )
最初の挨拶から「 現在は? 」( 誰のアシスタントをしているのか? )という最初の質問に‥‥‥‥
「 ‥‥‥‥現在( ? )‥‥‥‥も‥‥‥‥続けているんです‥‥‥‥ 」
私は、この瞬間、台本の中の文末に「現在は?」という疑問符を必死に探したのです‥‥‥‥しかし、文末には「現在は?」はありません!
‥‥と、シドロモドロに答えた私は、もうすっかり台本を読めなくなっていました。
台本の上を必死に目を走らせるのですが、文字を追っていても、その意味が頭に入らない感じで‥‥ 言葉を失ってしまったのです。
私は、もう訳が分からなくなり‥‥‥‥( 本当に逃げ出したかった! )
「 ‥‥‥‥え‥‥‥‥‥‥と‥‥‥‥‥‥すいません! 」
もうど~しょ~もない‥‥‥‥ 白旗を上げるつもりで‥‥
「 初めてなんで‥‥‥‥ 」( 聞き取れないほど小さな声 )
ここで、A住氏やアシスタントの女性、さらにディレクター氏までが笑いだす!
落ち着かせるようにA住氏が‥‥
「 今は‥‥? 」
‥‥‥‥もう分からないものは分からないと開き直るしかない‥‥‥‥
最初の質問なのに、今、台本のどの部分を進行しているのかさえ分からない‥‥ 私は泣きそうになりながら‥‥‥‥
「 恥ずかしながら‥‥‥‥ 忘れてしまいました‥‥‥‥ 」( 必死に台本をめくり続ける )
アナウンサーもディレクターも笑いだす‥‥ しかし、笑ってもらった方がまだ救いになる‥‥ そんな場合もあるのです‥‥!
すかさず、A住氏は私に助け船を出します‥‥
「 ラジオとかインタビューは、初めてなんですか? 」
ほんの一瞬、私は落ち着きを取り戻し‥‥ 軽い冗談を返す‥‥
「 まったく初めてで‥‥ ( 口から )心臓が出てしまいそうで‥‥ 」( ダウン寸前! )
この私の苦しい吐露で、笑いが起こったのが救いでした‥‥‥‥
というか、笑う事で救ってくれているのです。
しかし、そのすぐ後で、第二のミスをやらかします‥‥‥‥
「 浮浪雲の単行本は、今何巻くらい出ていますか? 」といったA住氏の質問に私は、完全に聞き間違て、トンチンカンな返答をします‥‥
「 一般的に2万部くらい刷るんですが‥‥ 」と発行部数の話をしてしまいます。 これは、業界ではタブーなわけです。 原稿料とか発行部数は企業秘密みたいなものだからです。
A住氏はすぐに訂正するように「 今は、何巻まで? 」と訊き直してくれて、私はやっと冷静さを取り戻します。
「 今ですか‥‥? 86巻まで‥‥‥‥ 」
ここまで、放送開始から2分‥‥‥‥
次回、このラジオの放送データへのリンクを公開したいと思っています。
( 2008年7月放送、27分間! ) gooブログでも未公開だった、17年ぶりの公開になります!

その8
《 漫画家アシスタントが・・・テレビにも出演か!? 》
インタビュー( ※参照 )中の緊張も、出だしの失敗から少し時間が経ってくると、私の様な小心者でも少しは落ち着いてくるものです。
「 アシスタントは何人いるんですか? 」
「 小池さんが一番年上ですか? 」
「アシスタントの仕事と先生の仕事とは、どう分けるんですか?」
「 他の漫画の背景を見ていてスゴイなぁ‥‥とか思う事はありますか? 」
‥‥‥‥等々。
簡単な質問が続きます‥‥ 全ては、数日前の打合せで応答した質問項目ですから難なくこなしていったわけです。
後半は、すっかりラジオで喋る事にも慣れ、緊張感も薄れてサラサラと会話が弾んだのではないかと思います。
こうして、出だしの地獄からあっという間の27分が過ぎていきました‥‥‥‥
当時放送されたラジオです‥‥‥(今回、初めて公開します!)
【2008年7月の放送データ、プライベート録音資料です】
ちなみに、この出演料は‥‥‥‥‥‥3万円!
『 27分で3万円ももらえるなんて‥‥ こりゃ、キャバクラ嬢やソープ嬢に勝ったんじゃないか?! 』
‥‥‥‥などと浮かれたものです。
メディア関係の仕事がこれほど美味しい仕事だとは知りませんでした‥‥‥‥ もっとも、一生に一度あるかないかの仕事でしょうが‥‥‥‥。( のど元過ぎれば暑さ忘れてる )
さて、スタジオ内でA住氏やアシスタントN澤さんと写真を撮らせていただいたのですが‥‥‥‥ 残念ながら芸能関係のお約束で、ブログでの写真公開はできません。( 一部分、出しちゃいましたが‥‥陳謝! )
実は、このラジオ出演の影響は結構大きかったのです‥‥‥‥
番組の最後の質問で、「 これからの抱負は‥‥? 」との質問で‥‥
最初は、これから描く漫画の話とか‥‥‥‥ そんな話をする予定だったのですが‥‥‥‥
「 先日、蟹工船の漫画単行本化( ※参照 )の話が2つボツになってしまい、落ち込んでいるのです‥‥ 」
といった話をして‥‥‥‥
「 今は、その落ち込みから回復することだけを考えています‥‥ 」
といった感じで締めくくりをしたのですが‥‥‥‥ その後、この話が広がって‥‥‥‥
「 なら、うちの出版社で蟹工船の漫画を単行本化しましょう! 」
‥‥などと、ありがたいオファーをいただいたり、大学からの講演や非常勤講師の依頼など、想像もしなかった事が身の回りに起き始めました。
そして、ついにテレビ出演の依頼も‥‥‥‥ といっても、ネットテレビ( ネット専門チャンネル )ですが‥‥‥‥ 入ってまいりました‥‥‥‥
「 次週の金曜日の午後、1時間ほどのインタビュー番組の2回分( 実質3時間の収録 )をお願いしたいのですが‥‥ 一応、出演料は1万円と少ないのですが‥‥ 」
しかし‥‥ 私は秋山プロでの仕事があり、平日の午後はまったく空きがありません。
「 金曜日はアシスタントの仕事があるので‥‥ 土曜か日曜‥‥ もしくは平日の朝ではダメですか‥‥? 」
‥‥と、訊いたのですが‥‥‥‥
「 金曜日が収録日になっていますから‥‥‥‥ 無理な様でしたら、結構です 」
‥‥と、あっさり切られてしましました。
それにしても、「ネット」とはいえ、一応「テレビ」なのに‥‥ 3時間以上の収録時間で1万円の出演料というのは、ちょっと淋しい‥‥‥‥
このネットテレビは、中高年向けの健康番組を主体としたバラエティーで、過去のゲスト出演者を調べると‥‥‥‥ 有名な華道家、小説家、芸人など‥‥‥‥ どうも、自分の出版書籍の宣伝もかねての出演らしく‥‥‥‥ 局と出演者が持ちつ持たれつの関係なわけです。
実は‥‥ つい最近( 2011年の11月頃 )もテレビの出演( オーディション )オファーがありました‥‥
民放某局のバラエティー番組で「 有名に成りたい人 」を紹介する様な番組でした。
最初にテレビの制作会社( 女性のADさん )から電話が‥‥
「 オーディションに出演していただきたいのですが‥‥‥‥ 」
「 漫画家アシスタント物語 第9章〈5〉」へつづく・・・・
「第9章〈3〉」へもどる‥‥
「もくじ」 へ‥‥
~~~ 参照 ・第9章〈4〉 ~~~ ( 読んでも、読まなくても!)
【その8】
・インタビュー : 2008年7月、漫画家アシスタント歴34年の人物という紹介でTBSラジオにゲスト出演。(日曜お昼のレギュラー番組で27分間のインタビュー)
・漫画単行本化 : 1991年にヤングジャンプ別冊に掲載された小林多喜二「蟹工船」を原作にした100ページの文芸漫画作品「覇王の船」。これを、単行本として改めて出版する話。
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