穀雨 - 育つために、潤うころ
ハイサイ。
ととのえ職人、五木田穣です。
暦は、穀雨。
春のやわらかな雨が、
田畑を潤し、
これから育っていくものを支えるころです。
芽吹いたものが、
そのまま大きくなるわけではありません。
光だけでも足りない。
勢いだけでも育たない。
育つためには、
潤いが必要です。
立春で、光が少し変わり、
雨水で、固まっていたものがゆるみ、
啓蟄で、内側が目を覚まし、
春分で、バランスが戻りはじめ、
清明で、景色も自分も少しずつ澄んできた。
そして穀雨では、
その流れの中で出てきたものを、
育てていく時間が始まります。
この時期は、
「動けるようになってきた」
「少しととのってきた」
そんな感覚が出てくることがあります。
でも、ここで多くの人は
少し急ぎたくなります。
もっと進まなきゃ。
もっとととのえなきゃ。
このまま勢いに乗らなきゃ。
そうやって、
せっかく芽吹いたものを、
また“頑張り”で引っ張ろうとしてしまう。
でも、育つものは、
引っ張ると傷みます。
無理に伸ばそうとすると、
やわらかいものほど折れてしまう。
人の心も、体も同じです。
少し元気が出てきたからといって、
すぐに全開にならなくていい。
少しととのってきたからといって、
すぐに結果を出さなくていい。
今必要なのは、
勢いよりも、潤い。
穀雨のころは、
心も体も、
「育つためのやわらかさ」を求めています。
・少し疲れやすい
・眠さが残る
・やる気のある日と、静かでいたい日がある
・前に進みたい気持ちと、休みたい気持ちが同時にある
そんな揺れがあっても、
それは未完成なのではなく、
育っている途中だから。
雨は、
何かを劇的に変えるものではありません。
でも、
確実に沁みていきます。
静かに。
少しずつ。
穀雨のととのえ方も、
それに似ています。
何かを足しすぎないこと。
無理に結果を求めないこと。
やわらかいままを、ゆるすこと。
この時期に大切なのは、
“できるようになったこと”より、
“今、潤っているか”を観ること。
ちゃんと眠れているか。
呼吸が浅くなっていないか。
心が乾いていないか。
急ぎすぎていないか。
育つときには、
外から見える変化よりも、
内側の潤いのほうが大切です。
穀雨は、
がんばって伸びる時期ではなく、
やわらかく育っていく時期。
雨が土に沁みるように、
今の自分にも、
少しやさしさが沁みていくといい。
急がなくていい。
まだ途中でいい。
育つものには、時間がかかるから。
今日は、
“前に進めているか”ではなく、
“潤っているか”を
そっと確かめてみてください。
また、
次の節気でお会いしましょう。
ととのえ職人
五木田穣

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