立夏|潤ったものが、少しずつひらいていくころ
ハイサイ。
ととのえ職人、五木田穣《ごきたゆたか》です。
暦は、立夏。
春が終わり、
夏の気配が立ち上がりはじめるころです。
夏の始まり。
強い日差しの中で、
すべてが勢いよく動き出すというよりも、
春のあいだに育ってきたものが、
少しずつ外へひらいていく。
そんな季節です。
立春で、光が少し変わり、
雨水で、固まっていたものがゆるみ、
啓蟄で、内側が目を覚まし、
春分で、バランスが戻りはじめ、
清明で、景色も自分も少しずつ澄んできた。
そして穀雨では、
芽吹いたものを育てるための雨が降りました。
光だけでは育たない。
勢いだけでも育たない。
育つためには、潤いが必要です。
穀雨のころに受け取った雨は、
目に見える変化をすぐに起こすものではありません。
でも、静かに沁みていた。
土に。
根に。
心に。
体に。
気づかないところで、
必要なものが少しずつ満ちていた。
そして、立夏。
潤ったものが、
少しずつひらきはじめます。
沖縄では、
昨日、梅雨が始まりました。
空には湿り気が増え、
風にも少し重たさが混ざっています。
けれど、その重たさの奥には、
夏へ向かう力があります。
雨に濡れた葉が、
静かに光を受け取るように。
湿った土の中で、
根が深く伸びていくように。
夏は、突然やってくるのではなく、
湿り気の中から少しずつ立ち上がってくる。
そんなふうに感じます。
人の心と体も、
季節と共に動きます。
春のあいだに、
少し変わったことがあるかもしれません。
少し気づけるようになった。
少し休めるようになった。
少し力を抜けるようになった。
少し自分に戻れる時間が増えた。
でも、そこでまた、
急ぎたくなるかもしれません。
せっかく、ととのってきたのだから、
もっと前に進まなきゃ。
少し動けるようになってきたのだから、
もっと頑張らなきゃ。
夏が始まるのだから、
そろそろ本気を出さなきゃ。
そんなふうに、
また自分を前へ前へと押し出そうとしてしまう。
でも、立夏は、
まだ、全開で走り出すための季節ではありません。
春のあいだに潤ったものを、
少しずつ外へひらいていく季節です。
花がひらくとき、
無理に開こうとはしません。
葉が広がるとき、
力ずくで伸びようとはしません。
内側が満ちてきたから、
自然と外へ向かっていく。
その順番があります。
人も同じです。
まだ、重たい日があっていい。
まだ、眠い日があっていい。
まだ、気持ちが揺れる日があっていい。
動きたい心と、
休みたい体が、同時にあっていい。
前に進みたい自分と、
もう少し立ち止まりたい自分が、
同じ内側にいてもいい。
それは、遅れているのではなく、
季節の境目にいるということ。
春から夏へ。
穀雨から立夏へ。
雨の潤いと、
夏の光が重なり合うこの時期は、
自分の中にもいろいろな状態が重なりやすいころです。
だから、すっきり切り替わらなくてもいい。
春の名残を残したまま、
夏へ向かっていっていい。
湿り気を含んだまま、
少しずつひらいていけばいい。
ととのえるとは、
いつも軽やかになることではありません。
いつも前向きになることでも、
いつも整然としていることでもありません。
今の自分の状態を、
無理に変えようとせず、
季節を感じ、丁寧に生きていくこと。
潤いが必要なときには、潤いを。
光が必要なときには、光を。
休む必要があるときには、休みを。
動き出す必要があるときには、小さな一歩を。
その時々の自分に、
必要なものを丁寧に渡していくこと。
それが、
ととのえる暮らし方です。
立夏のころは、
体も少しずつ夏へ向かう準備を始めます。
暑さに慣れていく。
汗をかく準備をする。
呼吸の仕方が変わる。
眠り方や食べ方も、少しずつ変わっていく。
だからこそ、
この時期は、自分に強さを求めすぎないことも大切です。
夏が始まったからといって、
すぐに元気でいなくてもいい。
すぐに軽やかでいなくてもいい。
まずは、
今の自分がどんな状態にいるのかを感じてみる。
心は潤っているか。
体は重たくなっていないか。
呼吸は浅くなっていないか。
急ぎすぎていないか。
無理にひらこうとしていないか。
そして、
もし少し動けそうなら、
ほんの少しだけ夏の方へ体をひらいてみる。
窓を開ける。
風を入れる。
朝の光を浴びる。
深く息を吐く。
少し歩く。
汗を少しかく。
冷たいものを摂りすぎず、体の内側を冷やしすぎない。
眠れる日は、ちゃんと眠る。
それくらいでいい。
大きく変えなくても、
季節はちゃんと進んでいきます。
私たちもまた、
自分の速度で進んでいけばいい。
穀雨で潤ったものが、
立夏で少しずつひらいていく。
急がなくていい。
無理に咲かせなくていい。
まだ途中のままでいい。
内側に沁みたものは、
必要なタイミングで、
少しずつ外へあらわれていきます。
今日は、
“ちゃんと動けているか”ではなく、
“自然にひらいていっているものはないか”を
そっと確かめてみてください。
夏を頑張るのではなく、
夏の気配に、少しずつ体をひらいていく。
そんな立夏でありますように。
また、
次の節気でお会いしましょう。
ととのえ職人
五木田穣

追記(ととのえ職人の暮らし)
今日は立夏。梅雨入りをした沖縄は、少し肌寒く感じます。りっかりっか湯にでも、暖をとりに行こうかと思いました(笑)
「りっか」はうちなーぐちで、「行こうよ」的な意味ですが、よんなーよんなー(ゆっくり)、りっかりっかしようねぇ☺️
また、我が家でも夏の始まりが、ひらき始めています。


陽気がだんだんと増していく時期ですが、お花がお家にあると、気分も陽気になります♪今年の夏は、何かお花を育ててみてはいかがでしょうか😊
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