花束襲来5(ChatGPT執筆)
(以下は、1から4までを前提にしてAIと共同執筆した結果です)
今日は、彼氏と夜デートなんだ、と妹にLINEした。
気になってた高架下のちょっと粋な居酒屋でアテつまんで、ビアバーに行くコース。
妹には「そのコースであれば間違いない」らしい。お墨付き。彼氏とは付き合ってまだ一ヶ月だけど、会うたびに少しずつ好きが増してる気がする。
耳元の貝殻ピアスは、妹とお揃い。色違いで、妹は白、私は薄い紫。
浜辺で拾った小さな貝を加工したやつ。ちょっとしたハンドメイドの思い出。
毎日つけてるわけじゃないけど、なんとなく今日は身につけていたくて選んだ。
ふとしたときに彼に見られたらいいな、って。
「それ、可愛いね」とか言ってくれたらもっといいな、って。
まだ付き合って1ヶ月。これから先どうなるのかなんて、まだわからない。
でも私は好き。彼のことが、ちゃんと好き。
結婚するのかな、なんて、考えたりする。
温かい家庭とか、作っちゃう? 彼、公務員なんだよね。安定してるし、
きっと家事とかも協力してくれると思う。誠実そうだし、真面目だし、話を聞くのも上手。
私、働きたくないし。このバイトも、別に好きでやってるわけじゃないし。
好きになろうと努力はしたけど、花の名前なんて全然覚えられないし、
正直、冷蔵庫の中の花を並べ替えてるときが一番落ち着く。
彼が「主婦になって」って言ったら、たぶんすぐOKする。
で、子ども2人くらいかな。たまに旅行して、2人だけの時間もちゃんとあって。
そういう普通の、でもちゃんと幸せな暮らしをしたい。
カレンダーに日記を書く。この花屋に来てから、ずっと。
っていうか、つけろって言われている。働く条件みたいなやつ。
カレンダーだからあんまり、たくさん書けないけれど、
「自分が何を考えてたか」とか、「何していた」とか、意外とわかるのよね。
最初は面倒だった。けど、慣れってすごい。
今では、なにか書いておかないと、1日が終わった気がしない。
ほんの数行でも、日記の一文が自分を保ってくれている気がする。
たまに前のページをめくると、「え、これ私が書いたの?」ってなる。
うっすら記憶あるから、私なんだろうけど。なんかあいまいで、自分のことなのに他人事みたい。
文字の筆跡は確かに私。でも、文章の温度がちょっと違う気がする。
たまたま数か月前のページを開いたら、赤字で書いていた。珍しい。
しかもタイトルみたいに太字で一言。
「花束襲来」
何それ。私が書いたんだよね?
字も私のだし。けど、全く記憶がない。
襲来、ってどういう意味? 誰かに言われて書いたのかな。
たぶん、店長の指示だったんじゃないかな、って思う。
店長には、会ったことがない。
なんでも学校の先生をやっているらしく、普段は店に来ない。副業できないからって。
実家か何かを継いだ、形だけの店長らしい。
紫色の造花のところにあるクリップに手紙を挟むと、次の日に返事が返ってくる。
最初は正直、不気味だったけど、もう慣れた。
慣れれば逆に楽。直接話すより全然。先生をやっていることも、このやりとりで知った。
私は店長のことを「先生」と呼んでいる。たぶん、あっちも私の名前は知らない。
とりあえず不満もないし、お給料も悪くないし、やめようとか思ったことはない。
別に夢だったわけじゃないけれど、花に囲まれてるのは嫌いじゃない。
ただ、それだけ。
そういうのが、今の私の「普通」なのだ。
「花束襲来」、とか、意味わかんないけど、気にしてもしょうがない。
そんな難しい話をするほど、私は暇ではない。
今夜のデート。参戦する夏フェス。彼氏との結婚。
いくらでも考えることがあるんだから、私は忙しい。
難しいことを考えても、意味ないし。
そう、私は、ちゃんと忙しい。
幸せになるために、ちゃんと生きてる。
けど最近、記憶が抜けてる感じがする。
ぽこって、空いてる。
何をしてたか、思い出せない。
どこにいたのか、誰と話していたのかも。
でも、危ない目にあったことはないから、たぶん大丈夫。
私、上手くやってるっぽいし。
ただなんとなく、花屋にいるときに多い気がする。
気のせい?
ていうか、花屋にいる時?
あれっ、私の記憶って、花屋にいるやつしかない。
どういうこと?
家族のこととか、彼氏との思い出とか、友達と遊んだこと、あるはずなのに、思い出せない。
なんで?
どこにもない。ないんだけど。
確かに、今日私は彼氏とデートをする。
わかってる。疑問を挟む余地はない。
けど、今までに彼氏とデートした記憶、どこに行ったの?
何もない。
花屋の、この空間だけで存在する?
意味わからん。
LINEが鳴る、妹。
「眼鏡を外して」
眼鏡?私の?
眼鏡、確かに私は眼鏡をかけてる。左右でサイズが違う。そういうデザインなんだろう、妹にもらったお気に入りの眼鏡。たまに「変わってるね」とか「アシンメトリーなのが今っぽいね」とか言われるけれど、私はこの眼鏡が好きだった。
眼鏡を外してもちょっとぼんやりするだけ。外すことに意味があるの?とは思ったが、妹はいつも正しい。私は妹に従って今までやってきた。それに従わなければ私は存在する意味を失う。だから、指示に従おう。私は眼鏡を外した。
うずまきの中に飲み込まれたよう、ぐるぐると頭の中が回転する。
眼鏡外しただけでこんなに回る?バカなの?めまいで倒れそう。何かが崩れていく感じ、眼鏡なんなん?
でも、すぐにつけない。妹の指示だし、このグルングルンと回る世界で、何かを見つけないと。いざとなったら妹が助けてくれる。
視界が、ずっとバグってるみたい。目を開けてるのに、世界はぼやけて、ゆれて、歪んでる。花もジョーロもカレンダーも、何本かに分裂して見えて、それがちょっとずつズレてるから、正解が分からない。
ピントって、どこ?ってなる。明るい店内、光が滲んで、目の奥がぐわんって痛くなる。何もつかめないまま、私は我慢ができなくなった。
このままぐるぐると回っていれば、私はおかしくなってしまう。気が狂ってしまう。
もうだめ、と眼鏡をかけようと思うと、急にめまいがおさまった。
何事もなかったかのような店内で、私は立ち尽くしていた。
ぜえぜえ、と息をしている。
足元はふらついていたけど、意外とちゃんと立っていた。手元には、外したままの眼鏡。怖くてすぐにはかけられなかった。
眼鏡の右のレンズがややくすんでいるような気がした。このちょっとの間に何があったんだ。
私は、恐る恐る、眼鏡をかける。
いつもの世界。視界は安定して、花屋の淡い照明がやさしく目に入ってくる。
その右の、くすんだレンズだけで店内を見る。くすんだ中に、ぼんやりと光が浮かんでいる。
光?
もう一度、左目を隠し、右目だけで花屋の中を見てみる。そこに無数の光が漂っている。魂のように、ゆらゆらと。
私は怖くなって、すぐに左目を開けた。すると、元に戻る。いつもの花屋だ。
もう一度、右目だけで店内を見ると、やっぱり光たちは漂っている。静かに、でも確かに。
今度は左目の大きいレンズだけで花屋の中を見てみる。
真っ暗になった。
何も見えない。どこまでも沈んでいきそうな底無しの闇。私の妄想が作り出した花屋の景色を見透かすような、真っ暗で何もない世界。これ以上見ていたら、そこから引きずりこまれてしまいそう。怖くなる。
一体どれが本当の世界なのか。
携帯が鳴る。この携帯だって、幻かもしれない。
「眼鏡を外した?」とLINE。
「外した」と私は返した。
「何か変わった?」
ていうか妹って、誰?
記憶の中の妹の顔がぼやける。声も、思い出せない。
紫色の造花とLINEだけが私と世界をつなぐもの。
妹が連絡してくる。LINE通知が鳴り止まない。
妹だって、先生だって、幻かもしれない。
私の作り出した妄想なのかもしれない。
そういえば、私はいつから眼鏡をかけているのだろう。
気づいた時にはもう眼鏡をかけていた。
インスタの写真は全部眼鏡姿である。
生まれてこの方私は眼鏡をかけているのだろうか。
そんなわけがない。けれど眼鏡を外した記憶がない。
記憶?
それでいい、何も考えなくていい。そう言われた気がした。
店内には私一人しかいなかったが、誰かにそう言われた。その声は、どこかで聞き覚えがあった。
誰だろう。出会ったことがある誰かが、どうして私の頭の中にその声が響くのだろうか。
あまり考えても、答えは出ないような気がした。
指示に従っておいて間違いはないはずだ。
──ドアが開いて、お客さんがやってきた。
「花束を作りたい」と言う。
何気なく、私は左目をつぶって見た。
そこにいたのは、大きなひまわりだった。
慌てて、左目を開ける。
おじいさん。髭を蓄えて、紳士的な雰囲気。
さっきのはまぼろし?
もう一度、左目を瞑って、右目だけで男性を見る。
やっぱり、ひまわり。
その周りを光がぐるんぐるん、すごい速さで回っていて、その光がひまわりの輪郭を記している。
ひまわりが「花束を作りたい」と言う。
花束を作る、そうか、私は花束を作らねばならない。
花束を作るために私はここに存在する。
赤い花鋏を持つ。
ひまわりのまわり、光が示す余分なところを、私は花鋏で削り取っていく。
花の匂いが増していく。
いらない、ここがいらない──そう言っているかのように、手が自然に動く。
削り取っていくと、最後に、ひまわりだけが残る。
はじめてにしてはうまく残せた。
私は、埋まっているひまわりを掘り起こしただけ。
