ふわとろオムハヤシをどうぞ|連作小説③
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クリスマスデコレーションには手こずった。
くまさん一家がツリーを物色し、家に引きずって帰る。雪合戦で雪だるまになったあとは、ドールハウスに夢中のこぐまたち。ジンジャークッキーを焼き、ツリーを飾り付け。休憩中のくまサンタも加わって、森のみんなとパーティーがはじまる。
ウィンドウ全体が、それぞれ森、雪原、ドールハウス、クッキー型、くまミミ型に。話がつながっているデザインだ。
テディベアがちっちゃなテディベアでおままごとに興じる、入れ子式みたいな愛らしさ。12月の目玉イベント「テディベア博覧会」とコラボしているため、くま率高め。
星のかけらと一緒に、雪がしんしんと降り積もる。ときおりブリザードになり、くまさんたちが飛ばされる。
真っ白で中が見えない時間帯「ショーしないウィンドウ」に、通行人は二度見。ガラスに張り付くお客さん続出で、清掃担当からクレームが入りそうだ。
「きみの頭はファンタジーか?」
「はっ、もうしわけございません」
古賀七生の眉間のシワを見ると、条件反射で謝ってしまう。
社員食堂のテーブル席。向かいに座られ、花歩は縮み上がった。助けを求めてきょろきょろしても、同期にそろって知らんぷりされる。
「どうやったら、あんなことを思いつく?」
叱責されているわけではない……? わかりにくっ。
「チーム力ですかね?」
プロジェクションマッピングにくわしいメンバーがいて、大助かり。
「あっつ!」
ポタージュスープを優雅に口に運んだ七生が、顔をしわくちゃにしている。
も、もしや猫舌? 7回殺しても死なない猫……いや、9回だっけ?
「なにか?」
「い、いえ。おいしいですよね。社食」
あなたの弟さんのお店には負けますけどね。秘密を握り、変な笑いを抑えるのに苦労する。
「はらへった~、なんかつくって~」と、甘えたりするんだろうか。
「ヒナタボコ」にそっくりの置物をクリスマスマーケットで見つけ、古賀一青に贈った。はじめて訪れたとき、やわやわパスタに救われたお礼として。
「とんがり屋根だ!」
「ドイツ製らしいです」
お客さんが持ってくるというインテリア小物は、不思議とおしゃれな統一感。
体長の8割を占める白ひげがキュートな妖精は、北欧から。飾り用の特大シュトーレンは、近所のパン屋さん渾身の作。
値札をつけて販売したら、ギャラリーとしてもやっていけるのでは?
「今日もおつかれさま」
心のこもったひとことは客の心をすくい上げる。今夜は、老夫婦が食べているのと同じのを注文してみた。
この照りはバター? コクはワイン? おめかしドレスたまごの包容力と、奥深いハヤシソースのクールさ。具材もとろっとろで、ウットリ。
「おいしいです、めっちゃ!」
へへっ、と照れたように店主は笑った。
(つづく)

*作者の気まぐれ更新となっております
▽第4話(今作の続き)
▽「やわパス」シリーズ第1話
▽第2話
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