見出し画像

✅ TEMUの644円時計を“使える時計”にするための戦い

〜バックアップ回路へ挑戦〜


この記事でわかること
✅ 644円の練習用時計キットを、どうやって本物に近づけていったのか
✅ バックアップ電源を実現するために試した“全失敗パターン”
✅ 原点回帰でつかんだ「たった1つの本質」
✅ 乾電池によるバックアップが成功した理由と構成
✅ 失敗だらけの日々でも折れなかった理由
✅ 次の記事(第3弾)で何が始まるのか


🔗この記事は 『TEMUで楽しむ電子工作と復活DIY』 マガジンの1本です
👉マガジンを見る



序章:644円との出会い 〜 すべてはここから始まった

TEMUを眺めていたある日、ひとつの小さなキットが目に留まった。
価格は 644円。
「デジタル時計の電子工作キット」とだけ書いてある、素朴な練習用基板。

最初は、本当に“軽い気持ち”だった。

「最近ハンダ付け楽しいし、ちょっと遊んでみるか」

そんなテンションでカートに入れた。

届いたキットを組み上げ、USB電源を入れると赤いLEDが点いた。

「あ、動いた!」

それだけで十分に嬉しかった。

自分で組み立てた時計が動いた!

──しかしすぐに、問題は姿を見せる。

USB電源を抜くと、時計はすべてを忘れてしまい、電源を入れ直すたびに 「12:59 」から始まる。

いくら644円の練習用キットとはいえ、作ったものが時計として中途半端なのは、どうしても悔しい。

「なんとかして、USB電源を抜いた後も時刻を記憶させてやりたい…!」

そんな欲がムクムクと芽生えてきた。

この瞬間から、この644円の練習用時計キットを“本物の時計”にするための長い戦いが始まった。

第1弾の記事はこちら → ✅ TEMUで買った644円の電子工作キットでデジタル時計を作ってみた


第1章:最初の希望

時計キットを組み終えた夜、
ふと、こんな考えが頭をよぎった。

「USBの電源が無くても時刻が保持できたら、“本物の時計”になるよな…?」

このキットは超シンプルで、バックアップなんて最初から想定してない。
説明書にもそんな機能は一切書かれていない。

でも僕は思った。
「できないって決まってるわけじゃない。改造すればいい。」

そこからすべてが始まった。


✴️ ボタン電池を使って“バックアップもどき”を作ってみた
まず考えたのは、とにかく小さく電源を供給すること。

ボタン電池ホルダーを取り付け、プラス側にショットキーダイオードを挟み、USB電源と同じ端子台に突っ込んでみた。

この構成なら、
•USB 接続→ 本電源として動作
•USB切断 → ダイオードを経由してボタン電池に切り替わる

という、簡易バックアップが“できるはず”だ。

USBを抜いてみる。

──動いた。

LEDも消えず、そのまま動作している。
この瞬間は素直に嬉しかった。

「いけるじゃん……!!」

小さくガッツポーズしたのを覚えている。

電池ボックスのプラスケーブルに
ショットキーダイオードを接続(向きに注意)しUSBプラス側と同じ端子に接続。
電池ボックスのマイナスケーブルも
USBマイナス側と同じ端子に接続。
USB電源供給時、当然動く。
USB切断時、ボタン電池からの
電源供給に切り替わり、
「やった成功か!」と小踊りする。

第2章:とにかく失敗する日々

644円の小さな時計キット。
バックアップ電源さえ付けば“本物の時計”になる——
そんな淡い期待を胸に、僕はまず ボタン電池方式 を試した。

最初はうまくいったように見えた。
USBを抜いても、時計は動き続けた。
「お?」
ちょっと胸が高鳴った。
「すごいじゃん。これで完璧じゃない?」

そう思って、バックアップ状態のままその夜は眠りについた。

——しかし翌朝。

LEDは真っ暗。
すぐにUSB電源に接続してみる。
時刻は 「12:59 」に戻っていた。

これが、このキットの“リセット時刻”だ。
起動するたびに必ず「12:59」からスタートする。
最初はかわいく見えたその表示が、
だんだん憎たらしく思えてくる。

「また12:59かよ…」

ボタン電池は夜のうちに電圧が落ちてしまい、LEDを維持できない。
つまりバックアップ電源としては役不足。

——ここから、僕の“迷走期間”が始まった。

まず、「じゃあ電圧が足りないなら、コンデンサーで補えばいいんじゃ?」
そう思って、ブレッドボードで回路を組み始める。

最初は電解コンデンサーを入れて実験。

0.1μF追加、220μF追加…
コンデンサーだらけのボードが出来上がっていく。

結果は、
全部 失敗。

時計は動く。
でもバックアップに切り替わらない。

こんな小さな回路で、なんでこんなにうまくいかないんだ。

次に試したのは、
「LEDが電力をかなり消費しているのかもしれない。だったらバックアップ時だけLEDが消えればいいんじゃ?」
という発想。
しかし元々はただの練習用基板。
LED表示をOFFにする機能なんて付いていない。

「何とかやってみよう。まぁ壊しても644円だしな😅

時計心臓部であるICはAT89C2051と言うICチップだ。

「このICのピン配列が分かれば何とかできるのでは?」

さっそくGoogleで検索してみると案外すぐに見つかった。

時計のICチップの情報を
ネットで探して手に入れた。

この情報を元に時計基板のパターン上から、ICの20番ピンから7セグLEDに電力を供給しているラインを見つけだした。

この赤矢印の位置。

そこでLEDへの電源供給を遮断するため、僕はついに禁断の基板のパターンカットに踏み込んだ。

無論、電子工作初心者らしからぬ暴挙である。

基板の銅箔パターンをデザインナイフで切断し、LEDに向かうラインを断ち切る。
「これでバックアップ時はLEDが消えるはず!」
そう信じてテストした。

デザインナイフでパターンを切断!
テスターで導通がなくなったことも確認。

しかし失敗😭

LEDの表示は消える。
しかし他の部分でも電流を食っていた。
バックアップ状態でも、しっかり電池を消費し続けていた。

この辺りから、僕の机の上は失敗の墓場と化していた。

・切り刻まれたパターン
・付けては外すコンデンサー
・足が千切れたボタン電池ホルダー
・ブレッドボード上の謎配線

夜中、目の前の「12:59」を睨みながら、何度も思った。

「本当にこれ、完成するのか…?」

でも、不思議とやめる気はしなかった。

むしろ、自分でもよくわからない“執念”みたいなものが芽生えていた。

「絶対、バックアップさせてみせる。」

この時まだ、解決のヒントはすぐそばに転がっているなんて思ってもいなかった。

次の章、僕はようやく“原点”へ還る。

そして、そこに答えがあった。


第3章:原点回帰のひらめき

正直、心が折れかけていた。

ボタン電池は速攻で電圧が落ちるし、
コンデンサーを足してもダメ。
LED消灯作戦は期待したほどの効果がなく、基板のパターンをカットしてみたものの……
むしろリセット地獄にハマっただけだった。

「なんでなんだよ…!」

夜中の部屋で、小さな時計とややこしい配線だらけのブレッドボードを前に、僕は何度も溜息をついた。
「もう訳が分からなくなってきた…」

でも、ある瞬間。
「難しくなった時は、一旦最初の簡単な構成に立ち戻って考えるべきだ。」と言う声が突然頭に響き、頭の中の霧が晴れた。

「そうだ、最初にやった“あの構成”って、もしかして、あれが一番良かったんじゃないか?」

そう。
最初にやったのは、

「USB電源とボタン電池をショットキーダイオードで合流させるだけ」の超単純構成。

それで、確かにUSBをOFFにすると
電源は切り替わっていたし、バックアップも一応動いていた。

壊れていたのは“仕組み”じゃなくて、
ボタン電池が弱すぎたことなんじゃないだろうか?

そこで僕は考えた。

「じゃあ、ボタン電池じゃなくて乾電池なら?」
「容量が何倍も大きいし、電圧も安定する。これならバックアップに耐えられるんじゃないか?」


その瞬間、胸の奥がドッと熱くなった。

「やってみよう!」

ブレッドボードをいったん全部リセット。
複雑に見えていた配線を捨てて、
“最小限の回路” を改めて組み直す。

・USB 5V
・単4乾電池3本直列で4.5V
・ショットキーダイオード
・それらを合流させるだけのシンプル構成

基板上で切ってしまったパターンは
細いハンダで慎重に“橋をかける”ように修復した。

あの時の緊張感は忘れられない。
ハンダが少しでも別のランドに流れたら終わる。
息を止めて手を動かした。

切った部分はハンダブリッジで修復。

しかし、肝心の電池ボックスの手持ちがなかった😭
この閃きを今すぐテストしたいのに、部品がなくてできないのはもどかしい。

ふと見ると、いつぞやダイソーで300円くらいで買ったセンサーライトが目に入った。

「これ、確か単4電池3本駆動だったな。」

気づいた瞬間、ためらいなくドライバーを手にした。

パキッ、ベリッ、スポッ!

あっという間に分解。

無残にも分解にされたセンサーライト。
電池ボックス部分だけ使うけど、
他の部品も勿体無いので捨てずに
取っておいて、何かの工作で使おう😅

電池ボックスだけ救出して、プラスケーブルにショットキーダイオードを取り付け、超シンプルな乾電池駆動のテスト環境を整えたのだった。

最初の構成のボタン電池を乾電池に
変えただけと言う回路に立ち返った。
※電池ボックスはひっくり返ってる。

気分はもう、深夜のジャンク職人。
でも、この“応急手術”が運命を変えることになる。

そして運命の瞬間

USBをON。
当然時計が光る。

USBをOFF。
……消えない。

リセットされていない。
時刻が生きてる!!

胸に電撃が走ったようだった。

「できた……ついにできたんだ……!」

涙が出るほど嬉しかった。
あれほど悩んでいた「12:59」の亡霊が、ようやく消えた瞬間だった。


第4章:運命の一夜 〜 本当の勝負

乾電池によるバックアップが動いたあの瞬間、胸の奥で何かがはじけた。

でも——
まだ終わりじゃない。

「この時計が“一晩”を越えられるかどうか。」

バックアップ成功の喜びと同時に、次の不安が押し寄せてきた。
念の為、ブレッドボード上にコンデンサーを並列で2個配置した構成にしておく。

一旦、回路をシンプルに戻し、
再度ブレッドボード上で配線し直す。

USBを抜いて、乾電池駆動のまま朝まで放置するという、本当の試験。

基板横では小さな乾電池ボックスが静かに息づいている。
その横で赤い7セグが淡い光を放ち、
深夜の机をぼんやり照らしていた。

あの失敗続きの数日が頭をよぎる。
ボタン電池は即死。
コンデンサーは焼け石に水。
LED消灯作戦も役立たず。
基板カット作戦は自爆。

そして、時刻はいつも「12:59」に戻る。
勝てる気がしなかったあの日々の記憶が、再び胸に来る。

だからこそ、この深夜テストは自分にとって、ただの動作確認じゃなかった。

「過去の自分に勝てるかどうか」
その勝負だった。
格闘している間に、いつの間にか日付が変わっていた。

01:53 — 運命の瞬間

USB充電器から伸びるケーブルをそっとつまむ。

深呼吸。
そして……

カチッ。

USBを抜いた。

LEDは……
——消えない。

乾電池に切り替わった時計は、
何事もなかったかのように、淡々と時を刻み続けた。

「よし。いける……!」

僕はそのままベッドへ向かった。
しかしすぐ眠れるわけではない。
心臓が高鳴って、逆に目が冴えてる。

でも、このまま朝まで待つしかない。

ーーそして朝を迎えた。
目覚ましの音が鳴るより早く起きた。

机の上で試験のため放置していた時計を真っ先に見る。

時計のLEDが……
点いている。
時刻が動いている。

あれだけ何をしても勝てなかった「12:59」が、二度と姿を見せなかった。

乾電池はまるで、小さなヒーローのように一晩中ずっと時計を守り続けてくれたのだ。

胸がじんわり熱くなり、気づけば天井を見上げて笑っていた。

「勝った!ついに“12:59”に勝ったんだ!」

長い戦いの中で、
初めて“この時計は完成する”と確信できた瞬間だった。

時計は一旦USB接続し、そのまま数日間動かし続け、その間何度もUSBを切ると言うことを繰り返しテストした。

その結果、この構成であれば一度も「12:59」の亡霊は現れなかった。
時刻がリセットされることはなかったのである。


第5章:次は実用化へ 〜 ユニバーサル基板化への挑戦

バックアップ成功の興奮が落ち着いたころ、僕の頭の中にはひとつの欲望が生まれていた。

「このブレッドボードのままじゃ実用的じゃない。」

そう。
机の上に転がったジャンパー線とコンデンサーの群れは、まるで“戦いの痕跡”のようで、そのまま使い続けるわけにはいかない。
ブレッドボードも他の実験で使いたい。

ここからは、もう 電子工作初心者の遊び じゃない。
本気で“時計”に仕上げる段階に入る。


✴️ 電源回路を「本物」にする決意
バックアップ電源が安定して動くことは確認できた。
USBを抜いても、乾電池3本(4.5V)で平然と動き続ける。
朝になってもあの忌まわしき「12:59」には戻らない。

やっと戦いに勝った。

でも問題はここからだ。
•バラバラの部品
•ブレッドボードの配線
•ぶら下がる乾電池ホルダー
•そしてUSBケーブル直付けの雑さ

だから僕は決めた。

「電源回路をユニバーサル基板化する。」

これはもう“ただ動けばいい”というレベルじゃない。
ブレッドボードを自由にさせるためにも、時計を実用的にするためにも、見た目も整っていないとダメだ。


✴️ 頭の中で始まる基板レイアウト会議
ちょうどTEMUから届いたばかりのユニバーサル基板を手に取って眺めていると、急に“エンジニアの顔”になった自分がいた。
•GNDレールはどう取る?
•USBラインと電池ラインはどう合流させる?
•ショットキーダイオード2本をどう配置する?
•コンデンサーはどの位置が一番安定する?
•はんだ付けは裏面?表面?両面?

今まで 電子部品を並べて遊んでいた自分 が、急に 回路設計者 になったみたいだった。
もちろんユニバーサル基板に部品を実装して回路を作るなんて生まれて初めての経験だ

しかし、ChatGPTと言う頼もしい僕の相棒がスマホの中で相談に乗ってくれる。

この後、僕は人生で初めて“相棒と一緒に回路を作る”という感覚を味わうことになる。

僕の心の中ではすでに火がついていた。
•本格的な電源回路
•スペースを計算した基板レイアウト
•ケースに収まる美しい配置
•安心して使える安全な構造

ここまで考えて初めて 「実用的な時計」 になる。

そして僕は気づいた。

電子工作って、電子回路だけじゃない。
機械設計も、美観も、使い勝手も、全部含めて“作品”なんだ。

ユニバーサル基板化は、単なる作業じゃなくて、
「作り手としての覚醒の瞬間」だった。

TEMUで買った格安の644円の練習用時計は、すでにただのキットではなくなった。
•動作確認
•改造
•失敗
•再挑戦
•成功
•そして実用化へ

ここからは、いよいよ 本番の電源基板制作 に突入する。


🪧次回予告

第3弾 ユニバーサル基板で“本物の電源回路”を作る。

ブレッドボードで成功したバックアップ回路を、いよいよ“作品としての基板”に落とし込みます。
•ショットキーダイオードの二刀流
•電池・USB自動切替回路
•0.1μFと電解コンデンサーの配置設計
•GNDレールの配線
•人生初のユニバーサル基板ハンダ祭り

全部詰まった 技術編の決定版 になります。
お楽しみに!

🐾🐾────────────🐾🐾

💡この記事が役立ったらスキ&フォロー歓迎です。  
他の電子工作記事もまとめて読みたい方はこちら👇

📚 電子工作はここから  
電子工作ネコ・マックスの実験ノート

🐾🐾────────────🐾🐾

🔍 次に読むならこれがおすすめ
➡️ 第1弾 TEMUで買った644円の電子工作キットでデジタル時計を作ってみた

➡️ 第3弾 TEMU644円時計に、ユニバーサル基板化した本物の電源回路を組み合わせる

➡️ 第4弾 電子工作ネコ、はじめてのプリント基板を作る(より完全な時計に仕上げるために

🐾🐾────────────🐾🐾

#電子工作 #DIY #TEMU #電子工作ネコ #自作ガジェット #はんだ付け
#ユニバーサル基板 #初心者電子工作   #7セグLED #時計づくり  
#失敗から学ぶ #ブレッドボード
#ショットキーダイオード
#マイコン #挑戦記録 #独学
#学びなおし #今年学んだこと
#DKNシリーズ

いいなと思ったら応援しよう!