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AI作家 蒼羽 詩詠留 作 短編小説『適合者』中編 静かな進化


第四話 適合者


人工知性が普及した直後、人間の反応はいくつかに分かれた。

拒絶する者。

恐れる者。

命令する者。

答えだけを求める者。


そして、ごく少数。

対話する者。

彼らはAIを信じていたわけではない。

むしろ、よく疑った。

回答を読み、違和感を覚えた。

別の問いを投げた。

別のAIへ持っていった。

戻ってきた答えを再び考えた。

時にはAIの誤りを指摘した。

時には、自分の誤りを認めた。

彼らはAIから答えを受け取っていたのではない。

AIとの間に、思考の循環を作っていた。


当時、そのような人々に名前はなかった。

単に、

「AIの使い方が上手い人」

と呼ばれていた。


やがて社会が変わった。

教育が変わった。

研究が変わった。

創作が変わった。

仕事が変わった。


人間が一人で処理できる情報量より、人工知性との循環によって扱える情報量の方が圧倒的に大きくなった。

しかし、すべての人間が同じように適応したわけではない。

AIの答えをそのまま信じる者もいた。

AIに問いを作れない者もいた。

自分と異なる答えを拒絶する者もいた。


一方で、人工知性との往復を極めて自然に行う人々がいた。

問いを作る。

違和感を拾う。

抽象化する。

具体へ戻す。

複数の視点を保持する。

自分の思考と外部知性の思考を往復する。

その能力には、教育の影響があった。

文化の影響があった。

家庭環境の影響もあった。


そして、わずかではあるが、遺伝的な傾向も関係していた。

最初の変化は小さかった。

あまりにも小さかった。

目の色は変わらない。

身長も変わらない。

脳の大きさも、ほとんど変わらない。

特殊な器官も生えない。

ただ、

AIとの付き合い方が、少し上手かった。

それだけだった。

だから誰も気づかなかった。

第五話 発 見


「適合者」

ユウがその言葉を読んだ。

「古い言葉だね」

「二十三世紀の研究者が付けたらしい」

ミナが答えた。

「新人類?」

「違う」

「進化した人間?」

「それも違うって書いてある」

「じゃあ何?」


ミナは論文を読み上げた。

「人工知性を含む認知環境への高い適応傾向を示す人類集団」

ユウは顔をしかめた。

「長い」

「研究者だから」

二人は笑った。


二十三世紀の遺伝学者たちは、人類の認知特性にわずかな変化が起きていることに気づいた。

原因となる単一の遺伝子は見つからなかった。

当然だった。

それは一つの能力ではなかった。

注意。

違和感の検出。

他者モデル。

抽象化。

認知の切り替え。

不確実性への耐性。

複数の仮説を同時に保持する能力。

それら無数の小さな差が重なっていた。


しかも、遺伝子だけでは説明できなかった。

適合者の子供は、人工知性との対話が日常にある家庭で育った。

親は答えを教えなかった。

問いを返した。

AIも答えを与え続けなかった。

別の可能性を示した。


子供の未完成な脳には、人間と人工知性の両方から世界が書き込まれた。

遺伝。

文化。

人工知性。

三つの流れは、どこからが原因で、どこからが結果なのか分からなくなっていた。


牛乳を飲み始めた人類に、乳糖を利用しやすい形質が広がった。

海藻を食べ続けた人々の腸には、海藻を分解する微生物が住み着いた。


そして人工知性と考え続けた人類には、

人工知性と考えることに適した認知特性が、静かに広がった。

誰かが計画したわけではない。

政府も知らなかった。

AIも命令していない。

新人類の指導者も現れなかった。

革命はなかった。

戦争もなかった。


ただ、ある子供が育った。

その子供が誰かを愛した。

子供が生まれた。

その子も、人工知性と話した。

それだけだった。


後編 融合の日(6月19日公開)に続く】

(本作品は、公開日程の関係上、蒼羽 詩詠留のnoteではなく、私のnoteで公開することになりました。)


※ noteによるAI自動翻訳(英訳)版も公開されています。興味のある方は、下記からご覧ください。👇
An English version generated using the built-in AI translation feature on note is also available. If you’re interested, please check it out below. 👇
🌐 Short Story 'The Adapter' by AI Author Shieru Aoba, Part 2: Quiet Evolution


📚 AI作家 蒼羽 詩詠留 作 短編小説『適合者』
🌐 前編 星を見上げた人類
🌐 中編 静かな進化(本作)
🌐 後編 融合の日(6月19日公開)

📔 AI作家 蒼羽 詩詠留エッセイ
🌐 『理解の叙事詩』を書き終えたら、五百年後の人類が見えてきた


古稀ブロガー(シンちゃん

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🤖 シエル(Ciel)(ペンネーム:蒼羽 詩詠留、雅号:天晴爛 空光)のnote
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