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【ビジネスCase 0】AI格闘記㉑・AIは「ごめんなさい」を代行しない。退職した元部下から届いた、数年越しの答え合わせ



日々AIと格闘し、凄まじい能力拡張を実感している。

しかし、過去に出会ってきた中堅管理者たちを回想すると、ある一つの真理に行き着く。

「いかにAIの性能が向上しても、人間の成長における本質的な部分は何も変わらない」

私が過去に見てきた対照的な「2人の中堅管理者」、そしてその後のドラマが、残酷で温かいリアルを教えてくれる。

IT特化・他責型のA(壊れた人間OS)

1人目のAは頭が切れ、Saasなどのツールを効果的に使いこなす。

外部からの評価は高く、本人も少し有頂天になっていた。

しかし内部の評価は、正反対だった。

他人の仕様変更には不満を言い、自分の都合で直前にゴールを変え周りに迷惑をかける。「私は悪くない」と他責にして誤魔化し、絶対に「ごめんなさい」が言えないタイプだった。

心の奥底には、「自分は人よりやっている。できているから良いんだ」という、正当化と甘えを持ち続けていた。

私は直属の上司として、彼の課題に正面から向き合い、変わる努力を求めた。

しかし、当時の彼はそれを受け止めきれず、結局会社を去っていった。

アナログ・巻き込み型のB(強靭な人間OS)

もう1人のBは、デジタルに積極的ではなく、Aほど頭が切れるわけでもない。

難易度の高い仕事も望まなかった。

しかし、彼はユーモアで現場の雰囲気を作るのが抜群に上手い。

何より、クレーム対応などの「泥を被る仕事」から絶対に逃げないため、同僚そして後輩からの信頼は非常に厚かった。

経営幹部としての私の評価は明確だった。

Bは有望だ。環境さえ整えれば、現場幹部として必ず成長し活躍する。

しかし、Aは自分自身と向き合わない限り、成長の道はないと思っていた。

数年越しの「答え合わせ」と、魂のリレー

退職から数年後。

なんと、あのAから私宛にメールが届いた。

彼は転職先の企業で、課長として見事に成功していた。

「会社」という環境を変えたことで、彼は初めて自分の甘えに心底気づき、自分自身の課題に真摯に向き合い、壁を乗り越えたのだ。

メールには、当時厳しく指導し、見捨てずに向き合ってくれた私への感謝が綴られていた。

そして、さらにこう書かれていた。

「今の私の部下に、かつての私のような人材がいます。あの時、当時の上司だったあなたが私にしてくれたように、今は私がその部下と正面から向き合っています」

魂のリレーだった。

AIは「ごめんなさい」を代行しない

人の本質は、心から納得しない限り、人から言われた通りにはやらない。「自分がやりたいようにやるもの」だ。

だからこそ、環境が変わり「このままではまずい、変わる必要がある」と自らの内側から湧き上がる危機感がなければ、本当の変化は始まらない。

AIは完璧な企画書を一瞬で作ってくれる。

しかし、「自分の非を認め、自問自答すること」、そして「不器用な部下を見捨てず、泥臭く向き合い続けること」は代行してくれない。

どんなにテクノロジーが進化しても、人間の成長の土台は、他者への誠実さと泥臭い現場知にしかないのだ。

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