アジアのカフェ・ティードリンクチェーン20社まとめ(2026年版)— 中国・韓国・アジアの主力ブランドを一覧で解説
日本でカフェチェーンの話をすると、スターバックス、ドトール、コメダ、タリーズ、サンマルクのような座席型チェーンを中心に語られやすい。
価格帯もコーヒー1杯400〜600円前後の中価格帯をイメージすることが多い印象。
しかし国境を越えると、カフェやティードリンクの業態はもっと多様だ。
中国では1杯9.9元(約230円)前後の低価格コーヒーが数万店規模のチェーンで展開し、韓国では1,500ウォン(約180円)の低価格モデルが乱立、東南アジアではVC資金を受けて急成長したカフェチェーンが黒字化やIPOを視野に入れる段階に入っている。
一方で、ティー系のチェーンの存在感も大きい。
CHAGEEのように中国茶をプレミアムブランド化するチェーンもあれば、MIXUEのように圧倒的な低価格で世界最大級の店舗網を作るブランドもある。
思えば、日本でもタピオカミルクティーブームを起こしたのもアジアのブランドだった。
いつかカフェを開きたいと思っている自分にとって、アジアのカフェを研究するのは色々と新しい示唆を得られそうだ。実際にアジアの各地を訪れても魅力的なカフェに多く遭遇した。
そこで今回は、アジアの主要なカフェ/ティードリンクチェーン20社をざっくり俯瞰してみる。
日本での情報はまだ薄いので、初めて知るチェーンもあった。
厳密なランキングではなく、今後GAFUCAFEとしてアジアのカフェを見ていくための、自分用の地図のような記事だ。
1. 全体俯瞰:20社マップ
まずはアジアの主要カフェ・ティードリンクチェーンをざっくり俯瞰する。
店舗数や価格帯は公開情報・報道・公式サイトをもとにした目安であり、国や店舗、時期によって変動する。
ここでは厳密なランキングというより「どの国に、どんな価格帯で、どんな業態のプレイヤーがいるのか」を掴むことを目的にしている。
全部覚える必要はない。
中国勢のスケールが大きいこと。
韓国には低価格コーヒーの厚いレイヤーがあること。
台湾はベーカリーや空間型との組み合わせが強いこと。
東南アジアには石油メジャー系やVC型のチェーンがあること。
このあたりを眺めるだけでも、アジアのカフェ業態の広がりが見えてくる。
今回取り上げたのは、中国・韓国・台湾・タイ・ベトナム・インドネシアの20社。
中国:Luckin、Cotti、Nowwa、Manner、CHAGEE、HEYTEA、Nayuki、MIXUE、Guming
韓国:Mega MGC、Compose、Paik’s、A Twosome Place、Ediya
台湾:85°C Bakery CafeとLouisa Coffee
タイ:Café AmazonとInthanin
ベトナム:Highlands Coffee
インドネシア:Kopi Kenangan
有名ブランドを網羅するというより、アジアのカフェ業態の違いが見えるプレイヤーを優先して選んだ。

この表を見て、まず押さえておきたいのは3つ。
1つ目は中国勢のスケールが突出していること。
Luckin、Cotti、Nowwa、MIXUE、Guming、CHAGEEは店舗数だけ見ると日本のカフェチェーンとは桁が違う。特にLuckinやMIXUEはもはやカフェチェーンというより日常的な飲料インフラに近い存在の規模感だ。
2つ目は国によって“勝ち筋”が違うこと。
中国はアプリ注文、価格競争、新茶飲、巨大フランチャイズ。
韓国は低価格コーヒーと座席型カフェ文化の共存。
台湾はコンビニコーヒーと空間価値。
東南アジアは石油メジャー系、地場ブランド、VC型チェーン。
同じカフェでも国ごとにまったく違う進化をしている。
3つ目はカフェの主役がコーヒーだけではなくなっていること。
CHAGEEやGuming、HEYTEA、Nayukiを見ると、お茶、フルーツ、ミルク、香り、ベーカリーまで含めて業態が作られている。
カフェは「コーヒーを飲む場所」ではなく「飲む体験を設計する業態」になっているように見える。
この3つを頭に置いたうえで、国別に見ていく。
2. 中国:コーヒー戦争とティー戦争が並走している

中国はアジアの中でもっともカフェ・ティードリンク業態の実験が進んでいる市場だと思う。低価格コーヒー、プレミアム中国茶、新茶飲*、低価格ティー、アプリ注文、巨大フランチャイズが同時に走っている。
*新茶飲:アジア圏を中心にブームとなっている「新スタイルのティードリンク」を指す。伝統的なお茶に対し、お茶をベースにフルーツやミルク、チーズフォームなどを掛け合わせた斬新なメニューが特徴。
中国市場を見て最初に驚くのはコーヒーとティーがそれぞれ別の競争軸で激化していることだ。
コーヒー側:
LuckinとCotti Coffeeの「9.9元戦争」は2023年以降の中国コーヒー市場を象徴する動きになった。
Luckinは2026年Q1末で33,000店超、Cottiも公式情報ベースで14,000店超まで拡大している。
Cottiは、Luckinの不正会計問題後に同社を離れた元経営陣が立ち上げたブランドという経緯があり、業態設計の思想が驚くほど似ている。
日本の低価格カフェチェーンよりさらに安い価格で、モバイルオーダー+テイクアウト前提に設計されている。
さらにNowwa Coffeeは、コンビニ、ネットカフェ、ガソリンスタンドなどの中に入る「店中店」モデルで急拡大している。LuckinやCottiのような独立店舗型とは違い、既存店舗の一角を使って低コストに展開する点が特徴だ。
一方、Manner Coffeeのような小型・都市型のスペシャルティ寄りチェーンも拡大している。Mannerは5〜10平米の小型店舗を都市部に高密度で展開する戦略で、上海では街中でかなり高頻度に見かける存在になっている。価格帯は15〜25元と、9.9元戦争の戦場よりワンランク上を狙う。
かつて中国スペシャルティカフェの代表格だったSeesaw Coffeeは、近年店舗縮小や経営不安が報じられている。
中国のカフェ市場では、ただ高感度なブランドを作るだけでは生き残れず、価格競争・出店効率・商品開発・オペレーションのすべてが問われる段階に入っている。
ティー側:
CHAGEE(霸王茶姬)は中国茶ベースのプレミアムティーで、2024〜2025年に急拡大した。2025年末時点で7,453店を展開し、東南アジア・米国・韓国にも進出している。日本にはまだ上陸していない。
HEYTEAとNayukiは「フルーツ+チーズフォーム+ティー」の新茶飲ブームを象徴する2社だ。ただし現在はHEYTEAが加盟・海外展開を進める一方、Nayukiは上場後の業績調整と店舗最適化に直面しており、両社の状況は分かれている。
MIXUE(蜜雪冰城)は別格で、2025年6月時点で世界53,000店超、2025年末には約60,000店規模まで拡大したと報じられている。店舗数ではマクドナルドやスターバックスを上回る世界最大級のF&Bチェーンになっている。
日本で展開するTOP5カフェチェーンが300〜2,000店規模と考えると途方もない規模感だ。
観察:
中国市場は「9.9元前後の低価格コーヒー」「15〜25元前後のプレミアムティー」「2〜10元前後の低価格ティー」「20〜50元前後のスペシャルティ/高感度カフェ」のように、価格帯ごとに業態が層化している。
主要チェーンの多くがモバイルオーダー+会員制度を前提に運営している
海外展開の動きが2025年前後から加速し、東南アジアを中心に北米・韓国などにも広がり始めている。
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3. 韓国:低価格チェーンの三国志

韓国は空間型カフェ文化が強い一方で、低価格コーヒーチェーンが急拡大しているのが興味深い。座って過ごす文化と安く日常的に飲むチェーンが同時に存在している。
韓国のカフェ業界はまず文化的な文脈から入らないと実態が見えない。
韓国では「カフェで勉強する」「カフェで仕事する」文化が強く、いわゆる“カゴン族”*のように長時間滞在する利用者も目立つ。
韓国はアジアでも有数のコーヒー消費国で2024年の1人あたり年間コーヒー消費量は416杯とされる(世界平均が約150杯)。またその消費量の大部分はカフェでの店内・テイクアウトで消費されるという。
ランチ後はランチを食べたお店ではなく、カフェに場所を移してコーヒーを飲む文化だ(これだけ見てもカフェオーナーにとっては理想的な国にも思える)。
国内のコーヒーショップ数も2022年末時点で100,729店に達しておりカフェ密度の高さは明らかだ。
*カゴン族:カフェに長時間滞在し勉強や仕事をする人々を指す俗語。韓国語の「カフェ(카페)」+「勉強(공부)」+「人々(족)」を組み合わせた造語
この市場に対して、ここ数年で低価格コーヒーチェーンが急拡大した。
Mega MGC Coffee、Compose Coffee、Paik's Coffeeの3社が、1杯1,500〜2,500ウォン(約180〜300円)の超低価格帯で店舗数を急増させている。Megaは4,000店、Composeは3,000店、Paik'sは1,600店規模。
3社の特徴は微妙に異なる。
Mega MGC Coffeeは2015年創業の低価格コーヒーチェーンで、フランチャイズ展開の速度が特に速い。参入コストが低く設計されており、個人オーナーが開業しやすい構造が拡大の原動力になっている。
Compose Coffeeは2024年にフィリピンのJollibee Groupによる買収対象となり、その後も出店を加速させ2025年に3,000店を突破した。
Paik's Coffeeは創業者ペク・ジョンウォンのキャラクター性が際立つ。
料理研究家・実業家として韓国全土に知名度がある人物が立ち上げたブランドで、「創業者の顔が見える」ことが他2社との差別化になっている。
業態の共通構造:
5〜15坪の小型店、テイクアウト中心
スターバックスの3分の1程度の価格で日常的に飲めるコーヒーを提供
若年層と価格意識の高い層を取り込む
Ediyaのような中価格帯チェーンに圧力をかけ、Twosome Placeのようなプレミアム/デザートカフェとは別レイヤーを形成している
観察:
韓国全体としては座席型・滞在型カフェ文化が根強い一方、低価格チェーンは小型・テイクアウト型で伸びている
個人カフェの密度が高いため、チェーンは価格・スピード・ブランドで、個人店は空間・個性・地域性で棲み分けているように見える
日本の中価格帯対決の構造とは違う「低価格チェーン群」のレイヤーが存在しているのが韓国の特徴
4. 台湾:成熟市場の独自進化

台湾は派手な急拡大市場というより、カフェとベーカリー、コンビニコーヒー、空間価値が複雑に絡む成熟市場として見たい。
台湾は人口2,400万人にもかかわらず、カフェ密度が高く、市場としての成熟度が際立つ。
85°C Bakery Cafeはベーカリー+カフェのハイブリッドで、台湾発ながら中国・米国などにも展開し、世界1,000店超を持つ。台湾ブランドのグローバル展開の先例として語れる存在だ。
Louisa Coffee(路易莎咖啡)は台湾最大級のローカルコーヒーチェーンで、2025年時点で台湾に560店規模まで広がっている。
スターバックスに対抗する国産ブランドとして、フランチャイズ展開を着実に拡大してきた。
台湾のカフェ市場が興味深いのは、競合環境の構造だ。
台湾ではセブン-イレブンやファミリーマートの店舗網が強く、コンビニコーヒーも日常的な選択肢として定着している。
「コンビニで十分においしいコーヒーが飲める」という前提があるため、カフェチェーンは価格競争ではなく「滞在価値・空間」で勝負せざるを得ない。
結果として、中国・韓国で台頭している「テイクアウト中心の低価格チェーン」モデルは台湾ではそのまま育ちにくいのか、座席型・空間型が生き残る構造になっている。
観察:
台湾市場は中国・日本・東南アジアの文化が交差する独特のポジションにある。新茶飲(HEYTEA的な業態)も日本式カフェも、輸入されながら台湾流に変化する
コンビニコーヒーの質の高さが、チェーンカフェの差別化を「空間・体験」に向かわせている構図は、日本にも通じる示唆がある
地場チェーンが外資やコンビニコーヒーに対抗しているという構図は、韓国の低価格チェーンや台湾のLouisa Coffeeを見るうえで共通するテーマだ。
5. 東南アジア:石油メジャーから新興ユニコーンまで

東南アジアは国ごとにカフェチェーンの出自がかなり違う。石油メジャー、地場巨大チェーン、VC型ユニコーンなど、日本のカフェチェーンとは違う成り立ちが多い。
そのため、本来は国別に深く見るべきだろうが今回は一旦東南アジアとして一括りにさせてもらった。
Café Amazon(タイ)はPTT(タイの石油メジャー)系列。ガソリンスタンド併設で店舗網を広げた東南アジア最大級のチェーンで、5,000店超を擁する。
郊外ロードサイドのインフラを活用するという発想は、日本のドライブイン文化と重なる部分もある。
Highlands Coffee(ベトナム)はJollibee Group傘下で、2025年末時点で985店まで拡大している。ベトナム国内が中心だが、フィリピンにも展開している。
ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国であり、コーヒーが生活に深く根づいた市場だ。
Kopi Kenangan(インドネシア)は2017年創業のユニコーンで、2025年末時点で1,324店まで拡大し、初の通期黒字化も報じられている。
インドネシアの人口規模と、手頃な“affordable premium”コーヒー需要を背景に、東南アジアの新興コーヒーチェーンとして注目されている。
アプリでのピックアップ/デリバリー、ポイント会員導線を組み合わせている点も東南アジア型のカフェスタンドモデルとして面白い。
観察:
東南アジアはコーヒー文化の生産地(ベトナム、インドネシア)と消費地が地続きで、コーヒーへの自己認識が強い
VC資金調達型のチェーンは日本のカフェチェーンとは資金感覚が違うため、スケール戦略も別物
中国系チェーン(MIXUE、HEYTEA、CHAGEE)の東南アジア進出はすでに大きな潮流になっており、2025年前後からさらに存在感を増している。
6. クロスカテゴリ観察:4つのトレンド

20社を俯瞰して見える共通項がある。
① モバイルオーダー+会員制が前提
特に中国の大手チェーンは、店頭注文よりもアプリ/小程序*注文を前提にした導線が目立つ。日本のスタバの「モバイルオーダー対応」とは違い、業態そのものがそもそもアプリ/小程序モバイルオーダー前提で設計されている。
*小程序:WeChatやAlipay等のmini-program。アプリをダウンロードしなくても元のアプリの会員情報を利用して注文や決済等ができる。日本でいうとLINEのミニアプリ等に該当する。
② 価格帯ごとの業態分化
「9.9元コーヒー」「1,500ウォンコーヒー」のような明確な低価格バンドが業態として確立されている。日本は比較的400〜600円前後の中価格帯に見えやすく、中国や韓国ほど“超低価格チェーン”が分かりやすいレイヤーとして発達していないように感じる。コンビニコーヒーの影響が大きいのだろうと推測する。
③ 海外展開の加速
2025〜2026年にかけて、中国系チェーンの海外展開はさらに目立つようになっている。MIXUEは東南アジアで大きな存在感を持ち、HEYTEAやCHAGEEは海外展開を加速、Luckinは北米、Cottiは日本を含む海外市場を試し始めている。
④ 業態のクロスオーバー
Nayukiはティー+ベーカリー、85°Cはベーカリー+カフェ、Twosome Placeはコーヒー+デザート、CHAGEEは中国茶+香りという形で、単なるドリンク販売を超えた組み合わせを作っており、業態ハイブリッドが進んでいる。日本のカフェの「コーヒー+軽食」の延長線とは別の発想で組み立てられている店が多い。
7. 特に注目している3社

調べてみて個人的に気になった3社を挙げておく。
① CHAGEE(霸王茶姬)
先日、実際に店舗にも行ってみたが、この20社の中でも一番気になっている。
中国茶ベースのプレミアムティー業態。「中国茶を世界に売る」という明確なブランドポジションを持ち、急拡大している。日本未上陸だが上陸したら相当インパクトがあると見ている。
個人的にはゴテゴテの甘さではないことも従来のタピオカミルクティー系の流れとも異なり新鮮さを感じる。
② MIXUE(蜜雪冰城)
世界店舗数約6万店のスケールは、もうカフェチェーンというより「水分補給インフラ」に近い。1杯4〜10元の極端な低価格モデルが東南アジアでも機能しており、日本にもすでに店舗があるので実際に見に行って低価格モデルが日本でどう翻訳されているのかも観察してみたい。
③ Kopi Kenangan
Kopi Kenanganは小型店舗・手頃な価格・ピックアップ/デリバリー・ポイント会員導線と組み合わせて成立させている。
中国ほど小程序*経済が前提ではなさそうな市場で、カフェスタンドとアプリ導線をどう組み合わせているのか。ここは日本でのアプリ連動型小型カフェスタンドを考えるうえで参考になりそうだ。
私自身が長くIT業界にいることもあり、アプリやミニアプリ前提での設計にはおおいに関心があるところだ。
8.さいごに
今回はアジアのチェーン20社をとりあげてみた。
この20社はそれぞれ特徴があり、どれもさらに深く見て行きたいチェーンばかりだった。深掘り調査をすればまた新たな発見がありそうだ。
この中から次回はまずCHAGEEについて、実際にお店に行ってみて感じた体験と、次に、なぜ中国発ティーブランドの本命に見えるのかを深掘りしていきたい。
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CHAGEEについて実際にお店に行ってみて感じた体験を記事にしました。
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