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シンガポールでゴンチャは二度消えた|フランチャイズ契約が終わったとき、運営者には何が残るのか

中国のカフェ・ティードリンク20ブランドを紹介した記事でも繰り返し出てきたのが、各ブランドが展開するフランチャイズモデルの話だ。

LuckinとCottiの対決を描いた記事でも直営vsフランチャイズの構図になっていた。

今回はいつもの中国だけでなく、シンガポールで起きた出来事も含め、そんなフランチャイズの話を、加盟側との関係の視点での記事をお送りする。


はじめに

2017年6月、シンガポールにあった約80店のGong Cha(ゴンチャ)が、短期間でLiHOという新しいブランドへ変わった。

それから8年後の2025年10月、再進出後のGong Chaもシンガポール国内の全店舗を閉鎖した。
今度は旧店舗の一部にCai Caという地場ブランドが入った。

Gong Chaは同じ国から二度姿を消し、そのたびに現地運営会社から別のティードリンクブランドが生まれたことになる。

なぜ同じことが二度起きたのか。

これはGong Chaというブランドの撤退史だけではない。
フランチャイズ契約が終わったとき、運営会社から何が失われ、何が会社に残るのかという話である。

そして2026年、ニューヨークでも似た問いがより激しい形で現れた。
中国発の茉莉奶白 (Molly Tea)と現地運営会社が対立し、ブランド名を使えなくなった店舗が突如「?TEA」(クエスチョンティー)として名前を変え、営業を続けたのだ。

看板が消えた後も、店舗は営業できるのか。
ブランドは本部のものでも、現地で育った事業は誰のものなのか。

シンガポールのLiHOとCai Ca、ニューヨークの「?TEA」を通じて、フランチャイズと海外展開の資産構造を考えてみたい。


この記事でわかること

  • ゴンチャがシンガポールから二度消えた経緯

  • フランチャイズ契約終了後に残る資産と争いになりやすい資産

  • デジタル時代はどちらに属するかが明確でない資産が増えていること



1. 事業が成功してもブランドは自分のものではない

Gong Chaは2006年に台湾・高雄で創業したティードリンクブランドだ。
シンガポールへ進出したのは2009年。
現地企業のRTG Holdings、現在のRoyal T Groupがマスターフランチャイジーとして導入した。

その後約8年間で、Gong Chaはシンガポール国内に約80店を展開する大手ティードリンクチェーンへ成長した。
年間売上は約3,000万シンガポールドルに達し、当時のGong Chaにとってシンガポールは世界上位3市場の一つだったとされる。

2016年末、Royal T Groupのマスターフランチャイズ契約は期限を迎えた。
Gong Cha本部の経営体制が変わり、新しい契約では従来より制約の強い条件が提示された。
当時のRoyal T Group代表Rodney Tang氏は、新条件の強い制約が、同社が運営する他の外食ブランドにも影響すると判断した。
そこでGong Chaとの契約継続を選ばず、自社ブランドを立ち上げる道へ進んだと報じられている。

この出来事は、フランチャイズ事業の構造をよく表している。

現地会社がどれだけ店舗を増やし、売上を伸ばし、ブランドを有名にしても、Gong Chaという商標や商品体系は本部の資産である。
契約が終われば、看板、ロゴ、レシピ、指定原料、ブランドの販促物は使えなくなる。

ここで重要なのは契約終了が不採算事業の撤退ではなかったことだ。

Royal T GroupはGong Chaをシンガポールへ持ち込み、店舗を開発し、スタッフを採用し、約80店まで広げ、現地で日常的に飲まれるブランドへ育てた。

ただし成功したから契約が続くとは限らない。
成功した事業であっても、借りているブランドは契約次第で消える。


2. 約80店のGong ChaがLiHOに変わった

2017年5月末から6月初めにかけて、Royal T GroupはシンガポールのGong Cha約80店をLiHOへ一斉に転換した。

5月末までに30店以上が先行してLiHOへ切り替わり、6月5日には最後の店舗を含む約80店すべての転換が完了した。
改装やブランド刷新には約100万シンガポールドルを投じたと報じられている。

一見すると、店舗の看板を付け替えただけに見える。

実際にはLiHOは新しいブランドとして多くを作り直す必要があった。
Gong Chaの商標やレシピ、指定された茶葉や原料調達網を引き続き使うことはできず、新たな供給先、商品レシピ、製造方法、メニュー、店舗デザイン、パッケージを用意した。

契約終了によって失うものと、運営会社に残るものを分けると、構造が見えやすい。

契約終了で使えなくなったもの

  • ブランド名・ロゴ

  • 本部の商品レシピ

  • 本部指定の原料・供給網

  • グローバルブランドとしての信用

  • ブランドの販促資産

  • 本部の標準オペレーション

現地運営会社に蓄積されていたもの

  • 約80店舗を動かしてきた運営経験

  • 店舗スタッフの採用・教育能力

  • 出店・物件開発のノウハウ

  • 商業施設との関係

  • 現地消費者の嗜好への理解

  • 多店舗の採用・品質管理能力

契約終了で失われたのは、主に本部から借りていたブランド資産だった。
一方、現場で蓄積した運営能力はRoyal T Groupに残り、LiHOという新ブランドの土台になった。

物件契約、顧客データ、設備の所有関係は契約ごとに異なるため、すべてが自動的に現地会社へ残るわけではない。
ただ、約80店を短期間で別ブランドへ転換できたことは、Royal T Group側に大きな店舗運営基盤が残っていたことを示している。

LiHOはゼロから作られたブランドだった。
しかし、ゼロから始まった事業ではなかった。


3. LiHOはシンガポールのブランドを作った

LiHOという名称は、福建語で「こんにちは」「元気ですか」に近い意味を持つ。
福建系華人の多いシンガポールで、日常的なあいさつをブランド名にした。
Royal T GroupはLiHOをシンガポール初の地場ティーブランドとして位置づけている。

商品面ではチーズフォームを茶に重ねた「CheezHO」を新たな看板商品にした。
Gong Cha時代に扱っていたミルクフォームとは異なる商品で、LiHOはこれを「シンガポール初のチーズティー」として打ち出した。
チーズティー自体はすでに中国などで流行していたが、シンガポールで広く知られるきっかけを作ったのがLiHOだった。

LiHOが行ったのは旧Gong Cha商品の代替品を作ることだけではなかった。

福建語の名称、シンガポール発という立場、チーズティーという新しい商品軸、新しいパッケージや店舗体験を組み合わせ、Gong Chaとは別の選択理由を作った。

この違いはその数か月後に試されることになる。


4. Gong Chaが戻ってきてもLiHOは残った

Gong Cha本部はシンガポールから完全に撤退するつもりではなかった。

旧フランチャイズ契約の終了後、新しいマスターフランチャイジーを募集し、100件以上の応募から、豆乳チェーンMr Beanの共同創業者Kang Puay Seng氏を新しい運営責任者に選んだ。
Gong Chaは2017年12月、新体制でシンガポールへ再進出した。

LiHOは、Gong Chaがいない市場で旧顧客を独占できたわけではなく、ブランド転換から半年ほどで本家Gong Chaと直接競争することになった。

それでもLiHOは消えなかった。
今、LiHOはシンガポール最大級の地場ティードリンクチェーンであり、生活圏に広く入り込んだ中価格帯の定番ブランドになっている。

もしLiHOがGong Chaの看板を一時的に置き換えただけなら、本家復帰後に存在理由を失ってもおかしくなかった。

LiHOが残ったという事実は、Royal T Groupに蓄積されていた資産が旧ブランドの知名度だけではなかったことを示している。
商品開発、店舗運営、現地客への理解、自社ブランドを作る能力まで会社側へ残っていた。


5. 2025年、Gong Chaはふたたび消えた

再進出後のGong Chaは、Kang Puay Seng氏が率いる現地会社によって運営された。
Kang氏はMr Beanを約70店まで育てた経験を持つ人物である。

しかし2025年10月、Gong Cha Globalは現地マスターフランチャイジーとの契約を更新せず、シンガポール国内の全29店を閉鎖した。

ウェブサイト、SNS、デリバリープラットフォーム上の店舗も停止した。
Gong Cha Globalは2026年中に新しい現地パートナーと再進出し、「Gong Cha 2.0」を導入する方針を発表している。

Gong Chaは、シンガポールの街から二度姿を消した。

2017年は約80店がLiHOへ一斉転換した。
2025年は29店が閉鎖され、その後、一部店舗から新しいブランドが生まれた。


6. 二度目に生まれたCai Ca

2025年11月、旧Gong Chaの6店舗を引き継ぐ形でCai Caというティードリンクブランドが始まった。

Cai Caを立ち上げたのは、直前までGong Cha SingaporeのCEOを務めていたKang Puay Seng氏である。

Cai Caは日本産豆乳を使ったティードリンクや、シンガポールの栄養表示制度Nutri-Gradeを意識した健康的なドリンク、飲料と合わせて購入できる軽食を打ち出した。
旧Gong Chaで働いていたスタッフ20人以上も継続雇用されたと報じられている。

LiHOとCai Caには共通点がある。

どちらもGong Chaを運営した現地企業・経営者が立ち上げ、旧店舗や組織の一部を引き継ぎながら、自社ブランドとして再出発した。

ただし、規模と実績には大きな差がある。

LiHOは約80店を一斉に切り替え、その後約9年存続している。
Cai Caは旧29店のうち6店から始まったばかりで、LiHOと同じ成功を再現できるかはまだ分からない。

Cai Caを「第二のLiHO」と評価するには早い。
それでも、同じ国で同じ構造が二度現れたことには意味がある。


7. なぜ同じ構図が二度起きたのか

2017年と2025年の出来事は同じ規模でも同じ転換方法でもない。
それでも、同じ市場で似た再編が二度起きた背景にはマスターフランチャイズという展開方式の構造がある。

マスターフランチャイズとは、ブランド本部がある国や地域の企業に、店舗を運営する権利だけでなく、その地域で加盟店を募集・管理する権利までまとめて与える方式である。
本部は少ない投資で海外展開でき、現地企業は地域のフランチャイズ本部として店舗網を広げられる。
一方、現地運営を一社へ大きく依存することになる。

この座組では、Gong Cha本部は既存の運営会社との契約が終わった後も、別の現地パートナーを選んでシンガポールへ戻ることができる。
2017年には新たな運営会社を選び、同年12月に再進出した。
2025年の契約終了時にも新しい現地パートナーと「Gong Cha 2.0」を展開する方針を発表している。(実際には3.0ではないかと思うが)

一方の現地運営者も長年の店舗運営で培った経験を使って事業を続けられる。
Royal T GroupはLiHOを立ち上げ、二度目の運営を担ったKang Puay Seng氏は旧店舗の一部とスタッフを引き継いでCai Caを始めた。

そして両者が事業を続けようとするだけの市場がシンガポールにある。
ティードリンクはすでに定着した商品カテゴリーであり、新しい地場ブランドにも顧客を獲得する余地がある。
LiHOはローカル性とチーズティーを打ち出し、Cai Caは豆乳、健康訴求、軽食を新たな軸にした。

ただし運営者の交代は簡単な看板の付け替えでは済まない。

2017年の契約終了前、Gong Chaはシンガポールで約80店、年間約3,000万シンガポールドルの店舗売上を持つ有力ブランドだった。
しかし、再進出するまで約半年間、シンガポール市場から姿を消した。
再進出後の店舗網も2025年の閉鎖時点では29店だった。

閉鎖後も本部は店舗、スタッフ、物件、顧客接点を再構築する必要がある。現地市場からの収益も途絶える。

Gong Cha本部は現地運営者を替え、現地運営者はブランドを替えた。
この座組は両方向の再出発が可能だったため似た構図が二度生まれた。

同時に、双方とも相手が持っていた事業基盤をそのまま持ち出せるわけではない。
マスターフランチャイズの資本効率の高さは、関係が切れたときに市場全体が一度リセットされるリスクと表裏一体である。


8. ニューヨークでMolly Teaが「?TEA」になった

シンガポールの二つの事例は、契約終了後に新ブランドへ移行した話である。

2026年のニューヨークでは、ブランド本部と現地運営会社の関係が整理されないまま対立し、店舗の看板だけが先に消える事件が起きた。

中国・深圳発の茉莉奶白(Molly Tea)は、ジャスミンなど花の香りを前面に出した新茶飲*ブランドである。

新茶飲:茶にミルクや果物、花の香りなどを組み合わせる中国のティードリンクトレンド

2024年4月、ニューヨーク・フラッシングに海外1号店を開き、その後ブルックリン、マンハッタンのチャイナタウン、コロンビア大学周辺などへ広がった。

Molly Tea本部とニューヨークの現地運営会社MHLは、単純なフランチャイズだけで結ばれていたわけではない。
裁判記録にはブランドライセンス契約に加え、複数店舗を運営する合弁会社の株主契約が提出されている。
本部はブランド、店舗デザイン、レシピ、供給網、研修資料などの知的財産を持ち、店舗側とは株式も持ち合う複雑な関係だった。

報道によると、最初のフラッシング店は初年度に月間販売額約50万ドル、1日約2,000杯を販売する有力店に育った。
事業が大きくなるにつれ、両者は追加出店の方法、株式比率、店舗賃貸契約、POS、デリバリー、SNSアカウント、経営権をめぐって対立するようになった。

本部側は、現地運営会社が合弁体制の外で新会社を設立し、無断で店舗契約を結び、POSを切り替え、本部がデータへアクセスできない状態を作ったと主張した。

現地運営会社側は、本部が出資比率や支配権を強めようとし、供給停止、システム遮断、SNSやデリバリーへの干渉によって店舗営業を妨げたと反論した。

双方の主張は対立しており、現時点で最終的な司法判断は出ていない。


9. 裁判所がブランド名を外した

2026年5月、Molly Tea本部側はニューヨーク南部地区連邦地方裁判所へ提訴した。

6月8日、裁判所は本部側の申立てを認め、訴訟中に現地運営会社がMolly Teaの名称、ロゴ、店舗外観、その他の商標・知的財産を使うことを禁じる暫定的な差止命令を出した。

6月23日の修正命令では、Molly Teaに関連して作られたInstagram、RedNote(小紅書)、ウェブサイト、デリバリーやマーケティングのアカウントについても、本部側へ管理権限を移すよう命じた。

これを受けて現地運営会社は奇策に出た。
Molly Teaの「Molly」の文字を上から塗り潰し、花のロゴを外し、店舗、カップ、スタッフの制服に「?」を掲げ、「?TEA」と名乗った。

「?」は裁判所命令に従ってMolly Teaの知的財産を外した結果として生まれた、暫定的で皮肉的な記号である。
それでも店舗には顧客が訪れ、クエスチョンマーク自体がニュースになった。

この事件は、LiHOと似ているようで大きく違う。

LiHOは契約終了を受け、新しいブランド、商品、供給網を準備したうえで約80店を転換した。

「?TEA」は、契約・株式・店舗支配権をめぐる争いの途中で、先にブランド名を失った。
店舗運営能力は残っていても、商品、供給網、デジタルアカウント、顧客データの支配権が整理されていない。

LiHOが「契約後に残った資産を新ブランドへ移した事例」なら、Molly Tea事件は「何が誰の資産かを事前に決めなかったことで、成功した店舗をめぐる争いが起きた事例」である。


10. 「?TEA」が示した現代のフランチャイズ資産

Molly Tea事件で特に印象的なのは、争いの対象が店舗と看板だけではないことだ。

争われているのは、株式、賃貸契約、POS、販売データ、SNSアカウント、ドメイン、デリバリープラットフォーム、供給網、店舗デザイン、レシピ、研修資料まで広がっている。

現在の飲食フランチャイズでは、店舗物件とスタッフだけを持っていても十分ではない。
顧客との接点の多くはデジタル上にある。

Instagramのフォロワーは誰の資産か。
DoorDashやUber Eatsなどデリバリープラットフォームの店舗アカウントは誰が管理するのか。
POSに蓄積された売上・商品・顧客データを誰が持つのか。
契約終了後に、ウェブサイトやドメインを誰へ渡すのか。

Molly Teaの裁判所命令が、商標だけでなくSNSやデリバリーアカウントの移管にまで踏み込んだのはこの構造を象徴している。

LiHOが生まれた2017年と比べても、フランチャイズの資産は広がっている。

看板を外しても店舗は残る。
しかし、デジタル接点を失えば顧客との関係まで失いかねない。

Molly Tea事件から見えてくるのは、現在のフランチャイズでは、本部と現地会社のどちらに属するかが明確でない資産が増えていることだ。

店舗賃貸契約、POSや会員データ、SNSアカウント、デリバリープラットフォーム、ドメイン、Google Mapsの店舗情報、現地で開発した商品レシピ、合弁会社の株式。
これらは店舗営業とブランドの両方に関わり、契約終了後の扱いが争点になりやすい。

2017年のLiHOは、Royal T Groupが新しい名前、商品、供給網を用意して転換した。
Molly Teaでは、店舗、ブランド、データ、デジタルアカウントの管理権が整理されないまま対立が表面化した。
フランチャイズ契約で定めるべき範囲は、商標や原材料から、顧客とのデジタル接点まで広がっている。


11. 成功した店舗ほど支配権をめぐる争いは大きくなる

海外展開では、ブランド本部と現地運営会社の双方がそれぞれ大きなリスクを負う。

ブランド本部は、商標、商品、店舗デザイン、供給網、運営ノウハウを提供する。
現地パートナーが品質基準を守らず、勝手に出店し、データを遮断すれば、ブランド全体が傷つく。

現地運営会社は、出資、物件、採用、許認可、現地供給網、マーケティングを担う。
市場を立ち上げ、店舗が成功した後に本部が支配権や利益配分を変更しようとすれば、それまでの投資を失う不安が生まれる。

どちらか一方だけが価値を作っているわけではない。

海外1号店の成功は、ブランドの強さと現地運営の強さが組み合わさった結果である。
だからこそ事業が成功すると、誰がどれだけ価値を作ったのかという争いも大きくなる。

Molly Teaのフラッシング店が小さな赤字店だったなら、ここまで激しい支配権争いにはならなかっただろう。
報道上の月間販売額約50万ドルという成功が、ブランド、店舗、データ、店舗の賃貸権の価値を一気に高めた。


12. 中国新茶飲の海外展開にも同じ問いがある

この話は、シンガポールやニューヨークだけの特殊事例ではない。

中国の新茶飲ブランドは、国内市場の競争激化を受け、アジア、北米、欧州、中東へ出店を進めている。
海外展開では、直営、マスターフランチャイズ、地域代理、合弁、ブランドライセンスなど複数の方式が使われる。

市場へ早く入るには、現地パートナーの資本、物件、人材、規制対応力が必要になる。

一方、現地パートナーへの依存が高すぎると、ブランド本部が店舗データや運営実態を把握できない。
国内と同じ供給網を作れず、商品品質にも差が出る。
現地側が店舗と顧客を握れば、本部の商標権だけでは事業を制御できないこともある。

LiHOは、現地運営会社に能力が蓄積した事例である。
Molly Teaは、その能力と本部のブランド資産が正面衝突した事例である。

海外出店数を増やすことだけでは、グローバルブランドは作れない。

契約終了後まで含めて、ブランド、店舗、データ、供給網、顧客接点の所有権を設計する必要があるし、運営会社もその点を気にする必要がある。
海外展開では、関係が良好な時期だけでなく、両者の利害が分かれる局面まで契約に織り込む必要がある。


さいごに

フランチャイズ契約が終わったとき、運営者には何が残るのか。

人材、物件や商業施設との関係、多店舗を動かす経験、地域の供給網、現地消費者への理解。
長年の営業を通じて身につけたものは、契約終了と同時には消えない。

ただし、それらは次のブランドを自動的に成功させる完成品ではない。

LiHOは、残った運営基盤を新しい名前、商品、供給網、店舗体験へ組み直し、Gong Chaとは別の選択理由を作った。
本家Gong Chaが戻った後も生き残ったことで、自社ブランドへの転換が一時的な避難ではなかったことを証明した。

Cai Caは同じ挑戦を始めたばかりである。
「?TEA」も看板を外した状態で店舗営業を続けているが、独立したブランドとして定着できるかはまだ分からない。
Molly Teaをめぐる訴訟は2026年7月にも追加の申立てや審理が続いており、最終的な判断は出ていない。

運営者に残るのは、事業を再出発させるための材料である。

その材料を、新しい顧客が選ぶ理由へ変えられるか。
LiHO、Cai Ca、そして「?TEA」が投げかけているのは、その問いである。

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※ヘッダー画像はAIで生成した画像であり、実際の商品とサイズなど同じものではありません。


主な参考資料


次に読む一本

中国の各チェーンブランドがどのような特徴や歴史があり、どういうモデルで運営されているのかを解説した記事です。
今回扱ったフランチャイズでの運営で展開するブランドや、逆に直営での運営で展開していくブランドなど様々な運営形態がわかる記事です。


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