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掃除をしない愛について

築三十年のオフィス一室で廉価のキーボードを叩き続けている。掃除なんて全然していないので辺りはホコリっぽいし、キーボードのキーも場所によっては押しにくい。窓のシャッターはもう随分開けていない。操作棒のつまみが外れて紛失したからだ。それは横に座っている彼女に責任があるのだが、彼女は物の買い方を知らないのだ。それにわたしは忙しい。朝から晩まで取引先から無機質な依頼メールがどんどん積み上がっていく。手を緩めることなく、そして律儀に返信をしていかなければ、限度を知らずひたすら増えていくだろうか。否。しかし、真っ当な商談になるのは半分も無いのだから、見込みのない話に断りを入れるようにしたらどうか。隣でスマホを眺める彼女がそのようなことを言った。スマホに引っかかった指が全く動いておらず、画面を本当に見ているのか怪しい。わたしは答えた。形骸化した業務であったとしても、それをわざと取り込んでおくことが、人と人を繋ぎ止めるコツでもあるのだよ。それに必要なものはほんの僅かな愛情だけ。私にできることは、心ばかりのエッセンスを加えてお願いごとへ返答をしてあげることだけさ。彼女は突然スマホを差し出してきた。画面に映し出されていたのは「すだれ」だった。「どうやったらこれが買えるの?」


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floater 読んでくれてありがとう