おひとりさまの老後|あちらとこちらの間|お墓のこと
「あ~うまくまとまらない。
なんか変。…ごめん。」
と苦笑いをして、手を合わせる。
「はぁ、もうあんたは…」
と、母の嘆きが聴こえてくる。
「こうやって足を運んでいるんだから、勘弁して。」
そういって、後にする。
いつものお墓参り。
学生の頃、お墓に連れてこられるたびに、
「ここには、いないのに」
そうつぶやいていたわたし。
そんなわたしに不満だらけの母。
でも、「千の風になって」が流行したとき
「いい歌だ。好きだ」
と、母はいった。
わたしは、ここぞとばかりに
「ほらね、お墓にはいないって歌ってるやん」
と勝ち誇ったように言ったことを覚えている。
そんな会話を思い出しながら、今は、足しげく通っている。
花を生けるのは下手くそだけど。
墓じまいをしたところがぽつぽつと増えていく。
そんな時代に、わたしはお墓を守ろうと思った。
でも、いつかわたしが墓じまいをすることにはなるのだろう。
この場所は、祖母が決めたという。
高台の最前列。
一望できるからという祖母のこだわりだったらしい。
死んでしまったら、もっと高いところから見れるのに。
子どもの頃からそう思っていた。
でも今は、ここから眺める変わっていく風景の中に
変わらないものを見つけるのが好きだ。
風に吹かれながら思う。
ここは、あちらとこちらをつなげる場所になっているのかもしれない。
