政治家の名前を冠した二つのコイン 〜拒んだ首相と、担いだ大統領〜 仮想通貨とは第7稿
先に二つ、断っておきます。僕はこの連載で名指しする銘柄のいくつかを、小遣いの範囲で少額保有しています。保有は推奨ではなく、以下の記述は売買の助言ではありません。それから、今回扱う日本側の件は、事件としての経過を別の連載で追いかけていて、そちらは既に12回を数えます。経過の詳細を知りたい方はそちらへ。あちらは事件の記録、こちらは構造の標本。同じ素材でも、切る角度が違います。
理屈の話で物差しは揃いました。四つの買い手、三本の線、三つの崩れ方、三つの積み荷。今回から、名前のある実例に当てます。最初の標本は、政治家の名前を冠した二つのコインです。日本の首相の名を使ったサナエトークンと、米国の大統領が自ら出した$TRUMP。同じ「権力者の名前」という積み荷を載せて、正反対の寿命を辿りました。
二枚の設計書
第4回で、暴落は設計書に書いてある、と書きました。まず二枚の設計書を並べます。
サナエトークンは2026年2月25日に発行されました。総量10億枚のうち、運営側の配分は65%。運営分には半年間売れない鍵が掛かり、その後一年掛けて解除されていく設計でした。
$TRUMPは2025年1月17日、就任式の三日前に発行されました。総量10億枚のうち、トランプ氏側の二つの会社が握る配分は80%。三年掛けて段階的に鍵が外れる設計です。
第4回の読み方を当てはめれば、どちらも「胴元の取り分が過半」という賭場です。宝くじの還元率に相当する数字が、片方は65、片方は80。この時点で、いずれ大きな売り圧力が出ることは、両方とも仕様でした。ここまでは同じです。
違いは、名前の主との距離にありました。片方は名前の主が承認を否定し、片方は名前の主が自分で出した。同じ設計書でも、物語を握っている人が違う。この一点が、二つのコインの死に方を分けます。
ここから先は
よろしければ応援お願いします!チップはnote更新用のPC購入費用に当てる予定です。よろしく!
