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「もう無理かも…」認知症の在宅介護、施設入所を選ぶ罪悪感との向き合い方

こんにちは。医師のくんぱすです。

内科専門医として臨床経験を積んだ後、介護老人保健施設の施設長を経て、現在は認知症疾患センターの認知症治療病棟医として勤務しています。
外来では予防から軽度認知症を中心に、認知症治療病棟では重度認知症で自宅や施設で過ごすことが難しい症状に対しての治療を行っています。

認知症の方の在宅介護をされているご家族の中には、施設への入所を頭の片隅で検討されている方もいらっしゃると思います。

どんなタイミングが最適なんだろうか。
まだなんとか自宅で過ごせているし。
でもいつまでも自宅で介護は自分(介護者)が疲弊してしまう。
かといって本人の意思もできる限り尊重してあげたい。

そんなお気持ちではないでしょうか?
自分の気持ちと、認知症ご本人の気持ちとで葛藤を常に抱えていることと思います。


介護されているご家族のほとんどは、同じような葛藤を程度の差はあれ抱えていらっしゃることが本当に多いです。

中には自分を犠牲にして、介護に全てを捧げる道を選んでいらっしゃる方もいて、私がお気持ちを代弁するや否や、診察室で堰(せき)を切ったようにどっと涙があふれる姿も実は珍しくありません。

介護者自身では気づかない、いや、頑張って気付かないふりをしている葛藤や苦悩が認知症介護には常につきまとっている現状を日々感じています。

今回は、【施設入所の決断がなぜこんなにも苦しいのか】について、認知症医療の現場で向き合う医師として、あなたに伝えたいことがあります。


「もう無理かもしれない」その気持ちは、十分なサインです

自宅での介護が限界に近づいている。
でも「施設に入れる」という決断が、なぜかできない。
そんなあなたの気持ちは、まったく不自然ではありません。

冒頭でもお話したように、医師として多くの認知症介護の現場に立ち会ってきましたが、「ここまでよく頑張られましたね」と声をかけることが何度あったか分かりません。
その言葉を聞いて、涙を流すご家族も少なくありません。

愛する我が子が自分のことで悩み、苦しむ姿を望む親がどこにいるでしょうか。
あなたがそんなにも心身ともに疲弊することを当のご本人は望んでいないはずです。

私が思う施設入所の最適なタイミングは、
『介護者が自宅で介護がしんどい。』と思ったその時です。

「自分の手で最後まで看るべき」に縛られていませんか?

多くの介護者家族が、「施設に預けるのはちょっと…」という葛藤を抱えています。
それは、“家で最後まで看るのが正しい”という、どこかで刷り込まれた理想の介護像のせいかもしれません。

でも、在宅介護には限界があります。
夜間の徘徊、排泄介助、24時間の見守り…。
介護者の健康や生活が削られて共倒れ寸前まで追いつめられているケースを緊急避難的に入院させる場合も医療現場では日常的にあります。

高齢者が増え、自ずと認知症患者さんも増えた現代において「○○するべき」という介護像に縛られる方が危険かもしれません。

ご本人が嫌がるかもしれないという不安

「本人が納得しないかもしれない」
「嫌がる姿を見るのがつらい」

そう思って踏み出せない方も多いでしょう。

入所当初は拒否的なことがあっても、数週間〜数か月で落ち着くケースが大半です。
そして、介護のプロが側にいて、他の入所者さんなど話す相手も多い環境は、ご本人にとっても安全で穏やかな日々につながることが多いのです。

心配な場合はいきなり入所ではなく、デイサービスなどの通いの介護サービスから試してみるとよいと思います。
自宅から送迎もしてくれるところが多いので、ご家族が直接施設まで足を運ばなくても大丈夫です。

施設での様子を職員に聞いてみることで、意外と馴染まれていることが分かるはずです。

ショートステイという短期入所に対応した介護施設も多くあるので、併せて検討してみてください。

施設に預けた後、家族の役割が終わるわけではない

「全部手放すわけじゃない」

これは大事な視点です。
施設に入っても、通院の付き添いや治療方針の判断、ご本人の気持ちの代弁など、家族にしかできない役割はたくさんあります。
むしろ、“重すぎる介護の手”を少し緩めることで、今まで以上に「本人らしさ」に向き合えるようになる方もいます。

心に余裕がないと”本人のこと”以上に”自分のこと”で精一杯になりがちですが、自分の生活が徐々に戻ってくることで”本人のこと””本人の気持ち”に目を向けられるようになります。

「もっと早く相談したらよかった」

ご家族とゆっくり話ができるのは、実際の臨床の現場では入院時の説明のときが多いです。
そのときご家族の多くがこうおっしゃいます。
その度に医師としての介護者支援の不十分さを感じます。

入院後の方向性として大きく、【自宅へ戻る】か【施設入所】のご意向を伺うのですが、多くの方がなんだか申し訳なさそうにこう言うのです。

「本当は自宅で看てあげたいんですけど、、
私たちももう限界かなと思っていて、自宅に戻るのはちょっと、、
難しいと思うんです。」

やはり施設入所を選択するのは、家族として裏切りのような罪責感を感じるんだなと雰囲気から感じさせられます。
私はそこへこうお伝えします。

「今までこの症状を抱えてよくご自宅で介護されていたと思います。
むしろもっと早くこちらが介入できていればとさえ感じます。
症状の治療と並行して、ご本人にあった施設を検討していきましょう。」

本当は入院を挟まずに施設入所できることが望ましいと私は考えるので、外来に通院できる段階で介入に至らなかったことが悔やまれますが、それでもご家族は安堵の表情を浮かべられます。

まとめ

「ここまでよく頑張った」

その一言を、まずご自身にかけてあげてください。

施設への入所は、“手放す”のではなく“守る”ための選択です。
あなたの大切な人を、そしてあなた自身の人生を守る決断です。

”〇〇すべき”の介護から解放されて、自分の心の声にもっと耳を傾けませんか?

最後までお読み頂きありがとうございました。

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すでに無料相談でお話させていただいた介護者のみなさんから感想が届いていますので一部ご紹介します。

介護でよくあるお悩みに認知症診療医がお答えしています

介護されるみなさんが抱える悩みには「みんなが抱える悩み」の場合と「自分だけの悩み」が両者存在します。
自分だけの個別な悩みは”個別相談”で。
多くの方が抱えやすいお悩みは記事にまとめていますので、色々と覗いてみてください。

普段、診察室でゆっくりと聞けない・話せない介護者の方に是非参考にして頂きたい内容です。


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