見出し画像

ダンジョン第55階層【実録】『金貨180枚の無駄を突く遠隔詠唱!絶望のギルドマスターを動かした魂の覚悟』

前回の物語はこちら👇️👇️👇️

01:ドーン・オブ・デスティニー・コール〈運命の夜明けの着信〉



翌日の朝。


フロント・ライン(職場)である魔導指導学校(資格学校)の東都校には、いつものように重苦しい瘴気(息苦しい空気)が漂っていた。


静寂的………………………………!!


突如、静寂を切り裂くように通信魔導具(携帯電話)が鳴り響いた。



リリン、リリン……!


執務の間(執務室)の奥。


感情を一切見せない巫女(事務員)が淡々と対応する。


「はい、魔導指導学校(資格学校)東都校でございます」


巫女(事務員)の保留の声が漏れ聞こえた。

俺の鼓動が一気に跳ね上がった。


「田中と申しますが、異次元おじさんはいらっしゃいますか」


その名前を告げられた瞬間。


昨日の推測が確かな確信へと変わったのだ。


俺は ドーン・オブ・デスティニー・コール〈運命の夜明けの着信〉 を直感する。


一つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!

極度の緊張から、俺は無意識に存在しない前髪を豪快にかきあげようとする痛々しいルーティンに走った。


汗で滑った手が頭頂部を通過し、勢い余って自らの後頭部を強烈に強打。

脳天から激痛が走る。

目から火花を散らして床に崩れ落ちた。
ピクピクと痙攣しながら念話口(電話口)へと這い寄る羽目になる。


『おい、おっさん!』

『幻の前髪を求めて自らの延髄を破壊し、床で痙攣するとかただのホラーだ ワン!』

魔犬ツンの容赦なき言語刃が、俺の心臓を鋭く抉(えぐ)る!


痛恨的……………………………………!!


俺は激痛に耐え、息を切らせながら呼吸を整える。


震える手で念話口(電話口)を強く握りしめた。

「はい、異次元おじさんです」



02:マインド・ブレイク・ネゴシエーション〈精神破壊の交渉術〉



通信魔導具(携帯電話)の向こうから、重く低い声が響く。


「田中産業のギルドマスター(社長)の田中です」


「社長。本日はどうされましたか」


心臓が破裂しそうなほどバクバクと鳴っているのを必死に抑え込む。

声だけは冷静を装う。


「昨日の件なんですけど、まだ枠は空いてますかね……」


田中の声には、パラドクス・デザイアー(背反の天秤)による迷いが色濃く滲んでいた。


「少々お待ちください」

「少し調べてみますね」


俺は保留ボタンを押し、深く息を吐き出した。

当然、まだ1件の受諾もない。


しかし、ここで「1件もありません」と馬鹿正直に伝えれば、「なんだ、焦らなくてもじっくり考えればいいか」とギルドマスター(社長)も思いとどまってしまうだろう。

自ら通信魔導具(電話)をかけてきたということは、心の中ではかなりの確率で決断しているのだ。


その貴重な決断の炎を、みすみす再検討という冷水で消させてはならない。


こここそが、一気に背中を押すべき『理』の合致点(タイミング)である。


俺は二つ目の物理刃(自分軸)を心の中で高らかに詠唱した!


「いでよ……! 」


マインド・ブレイク・ネゴシエーション〈精神破壊の交渉術〉
ッ!!


保留を解除し、ソウルブラッド〈魂の血(本音)〉を込めた声で語りかける。


「お待たせいたしました、社長」


「何件かすでにお問い合わせもありまして、大変好評でございます」


「しかし、最初にお声かけさせていただきました田中社長の枠は、なんとか現時点では確保できそうな状況でございます」


「今日も朝からお問い合わせがありました」


「この機会に始める準備をされてはいかがですか」


驚天動地的………………………………!!



「……うん、そうだね」


田中の言葉には、まだほんの少しの迷いが含まれていた。

この躊躇いが、魔境(ビジネス社会全体)では命取りになる。

俺はさらに深く踏み込む。


「社長……………」


「今から始めて、信徒(生徒)が実際に作業をし始めるのは、1ヶ月半後から2ヶ月後になります」


「社長の今までの情報の巻物(求人誌)に費やしてきた結果から見ると、その2ヶ月を無駄にするのは、一時の猶予もないように思えますがいかがですか」


悪魔的………………………………!!


「……確かにね」


「ここはメンタル・コミットメント(腹を括る覚悟)を決めて、私と一緒にこのプロジェクトを進めていきませんか」


「今有効な対抗魔導(対抗策)がない以上、前に進むしかないんです」


「どうですか、社長!!」



03:アブソリュート・ソウル・コントラクト〈絶対的な魂の契約〉



通信魔導具(電話)の向こうから、深い沈黙が続く。



静寂的………………………………!


俺の中では、数秒が永遠のように感じられた。


この突破口を開かないと、俺の描いた魔導設計書(企画書)の全てが破綻してしまう。


上層部からの理不尽な呪い(無茶振り)も乗り越えられず、信じてくれた魔導女師(女性講師)たちの信頼にも応えられないのだ。


魂の重圧(プレッシャー)が、全身に重くのしかかる。


戦慄的…………………………………!!


再び、通信魔導具(電話)の向こうから声が聞こえた。


「異次元おじさん………」

「一つだけ確認していいですか」

「……最後までやり切る覚悟はありますか」


俺は三つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!


「発動せよ……!」


 アブソリュート・ソウル・コントラクト〈絶対的な魂の契約〉 ッ!!


「もちろんです。私は準備万端です。」



俺の即答に、田中の声が少しだけ明るくなった。


「分かりました」


「……是非、やらせてください」


起死回生的………………………………!!


「分かりました!」


「色々と課題はあると思います」


「一緒に乗り越えて、新しい環境を作っていきましょう」


通信魔導具(電話)が切れる音を確認する。


俺はそっと念話口(電話口)を下ろした。


そして、一目散に平野と山口のいる教室へと走って向かった。

息を切らしながら、勢いよく扉を開けて第一声を放つ。


「二人とも!」


「……田中産業さんが決まったよ」


「これで、このプロジェクトがスタートするよ!」

平野が驚きで目を見開き、口を開く。


「本当ですか!?」


「本当に本当なんですね!」


平野は満面の笑みを浮かべながら、その場でジャンプして喜びを表現している。


狂喜乱舞的……………………………!!


一方、山口は無言だった。


しかし、その笑みの中には、少し涙が滲んでいた。

それほどまでに、今までのエターナル・スレイブ・システム(終わらない搾取構造)の呪いを拒絶する強い気持ちが、彼女たちの心の奥底に残っていたのだろう。


確実に新しい第一歩を踏み出す瞬間。

思わず涙が溢れ出たのかもしれない。

彼女たちの深い心の葛藤と熱を、俺は肌で改めて感じることができた。




04:コールド・ブラッド・エリュシオン〈冷血なる大魔女の凱旋報告〉



「二人とも、これから実務を進めていくことになる」


「まずは、ギルド(企業)側の現状を把握するために、田中産業さんに訪問して、現場を見せていただく」


威風堂々的……………………………!!


俺は四つ目の物理刃(自分軸)を心の中で高らかに詠唱した!



「いでよ……!」



 コールド・ブラッド・エリュシオン〈冷血なる大魔女の凱旋報告〉 ッ!!


「そのための情報の巻物(資料)と確認項目の情報巻物錬成(リスト作成)をする必要がある」


「平野さんは相手に渡す魔法陣の巻物(パンフレット)を作成してほしい」


「山口さんは細かな確認項目を作成してほしい」


「俺は引き続き、遠隔詠唱(電話営業)でリサーチしていくから」


二人に指示を終えた。


俺は執務の間(執務室)にいる大魔女(現場責任者)へ報告に向かった。


彼女は何かの情報の巻物(資料)を読んでいた。


俺はその目の前に立つ。


「諸領域の総督(統括部長)。今よろしいでしょうか」

「5分だけね」

「昨日お伝えしました、ギルド(企業)との連携の内容ですが、早速1件受諾がありました!」


しかし、大魔女(現場責任者)は意外な反応だった。


「そんなの当然よ」


「あなたのことだから、それぐらいは分かっていたことなのよ」


「そんな喜んでる場合じゃないわよ」


「これじゃ労力も採算も合わないんだから、とっとと目標の件数を集めちゃいなさい」



冷酷的…………………………………!!



俺はもっと喜んでいただけると思っていた。


しかし、これが大魔女(現場責任者)なりの信頼と喜びの表現なのだろう。


俺が素直に喜ぶよりも、これぐらい少し冷たくあしらうのが最適だと把握されているかもしれない。


上手くコントロールされているのかもしれない。

まさに大魔女(現場責任者)の手のひらの上で転がされている気がしていた。


俺は顔を真っ赤にして恥ずかしくなった。

準備が進む中。


いよいよ泥臭い企業訪問が始まっていく。


絶体絶命的………………………………!!


いざ、次なる階層へ。



【次回予告:ダンジョン第56階層】


ついに勝ち取った初契約!

意気揚々と中小ギルドの現場へ向かう俺たち!

しかし、そこで待ち受けていたのは想像を絶するアナログの極致と鉄と油の結界だった!

机上の空論が全く通用しないリアルな魔境に、魔導女師たちの顔が青ざめる!

大魔女から突きつけられた「目標件数」というプレッシャーが、さらなる重圧となって襲い掛かる!

果たして、この泥臭い現場とカリキュラムを融合させることはできるのか!?

クソゲーの新たな試練に、おじさんのMPは再び限界突破の危機に!

次なる死闘が今、幕を開ける!

次階層を見逃すな!

最後までお付き合いありがとうございます。

一気にこれまでの概要を知りたい方はこちら👇️👇️


【迷宮の深淵へようこそ】


この 「クソゲー(社会)」 から強制ログアウトさせられた、時給1,100円スタートの男の生存戦略。

覚悟がある奴だけ、次のページをめくれ。

まさにこのダンジョンへの現在の最下層までの探索が一気にしたい冒険者はこちら👇️👇️

【お知らせ】異次元おじさんの魔道具店開店セール実地中!!

他では絶対に手に入らない異次元おじさんだけの視点の魔道具が出品中!!

ぜひ、お試しあれ!!👇️

異次元おじさんの自己紹介はこちら👇️👇️


いいなと思ったら応援しよう!

サイコードン 執筆継続のためのMPの回復ポーション受付中!皆様のチップで私のやる気が爆上がりし、供物(生活費)という名の守備力も強化されます。頂いた支援は私の「PPR(個人再構築)」プロジェクトの運転資金として最適に配分され、記事のクオリティを劇的に改善します。ポチッと回復魔法を!