ダンジョン第56階層【実録】『魔境への潜入!埃まみれの老舗ギルドで見た絶望のアナログ結界』
前回の物語はこちら👇️👇️👇️
01:アイアン・オールド・ゲート〈鉄の古き扉〉
王都の中枢(ビジネス街)の喧騒から少し離れた路地裏。
俺は今、ターゲットである「田中産業」の建物の前に立っている。

駅から10分ほど歩いた場所。
築30年ほどは経っているだろう。
古びた雑居ビルの3階が見える位置だ。
静寂的…………………………!!
俺の後ろには、魔導女師(女性講師)である平野と山口が控えている。
今回の契約の中で、この実地調査を成功させることが何よりも重要な第一歩である。
彼女たちも痛いほど理解しているのだろう。
いつもにも増して、極度に緊張した面持ちで二人は3階を見上げていた。

俺は少しでも空気を和らげようと声をかける。
「二人とも、大丈夫?」
「そろそろ行ってもいいかな?」
平野の喉元が動く。
ゴクリと唾を飲み込むような仕草が見受けられた。
魂の重力(プレッシャー)がひしひしと伝わってくる。
重圧的……………………………!!
「そんなに緊張しなくても、大丈夫だから」
俺がそっと声をかける。
二人は強張った表情のまま黙ってコクンと頷いた。
俺たち三人は、薄暗い階段をゆっくりと上っていく。
そして、古く立て付けの悪い鉄の扉の前に到着した。
ここで一つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!
「発動せよ……!」
アイアン・オールド・ゲート〈鉄の古き扉(雑居ビルの入り口)〉 ッ!!
極度の緊張から、俺は無い髪を豪快にかきあげる痛々しいルーティンに走った。

存在しない前髪を後ろに流そうと強く手櫛を入れた結果。
汗で滑った手がそのまま自らの後頭部を強烈に強打。
脳天から激痛が走り、目から火花を散らして床に崩れ落ち、ピクピクと痙攣しながら「三十年の重みだ…」と呟く羽目になる。

『おい、おっさん』
『幻の前髪を求めて自らの延髄を破壊し、床で痙攣するとかただのホラーだ ワン!』
『一人で勝手に気絶しかけて、完全に訪問先の入り口を事件現場に変えてる ワン!』
魔犬ツンの容赦なき言語刃が、俺の心臓を鋭く抉(えぐ)る!
痛恨的……………………………!!
俺は激痛に耐えながら立ち上がり、ギーッと軋む音を立ててゆっくりと扉を開けた。
02:レジェンド・オブ・サーティファイブ〈三十五年の歴史〉
「こんにちは。本日お約束をしております」
「魔導指導学校(資格学校)の異次元おじさんです」
俺が声をかけると入り口の奥から感情を見せない巫女(事務員)らしき女性が対応してくれた。
「お待ちしておりました。奥の方へどうぞ」
案内されて事務所の中を見渡すと、そこには圧倒的なまでの泥臭い魔境(会社の縮図)のリアルが広がっていた。

無造作に山積みされた構造の聖典(専門書)や魔導書(資料)の数々。
床から天井まで届きそうな構造の刻印(図面)の山。
埃を被った年季の入った本棚。
すべてが、このギルド(会社)が生き抜いてきた激しい戦いの痕跡だった。
案内された場所は、かなり年季の入った革張りのソファーが二つ並んだ空間だった。
俺たちがソファーの前で立って待っている。
奥から白髪混じりの初老の男性が歩み寄ってきた。

「いや、お待たせしました。座ってください」
「失礼いたします」
俺はソファーに深く腰を下ろす。
目の前のギルドマスター(社長)である田中の顔を真っ直ぐに見つめた。
「田中ギルドマスター(社長)は、ここで何年ぐらい今の仕事をされているんですか」
田中は、積み上げられた構造の刻印(図面)の山を少し愛おしそうに眺めていた。
しみじみと感慨深げに答えてくれた。

「だいたい、35年かね」
驚嘆的………………………………!!
「35年……随分と長くされているんですね」
「学校を卒業してから、ずっとこの仕事なんでね」
「縁があって、独立する機会を持つことができたんだよ」
一つの道を35年。
それは並大抵の覚悟と努力で成し遂げられるものではない。
幾度もの不都合な真実(隠蔽された真実)や理不尽な魔境(ビジネス社会全体)の荒波を乗り越えてきたからこその重みだった。
俺は二つ目の物理刃(自分軸)を心の中で高らかに詠唱した!
「いでよ……!」
レジェンド・オブ・サーティファイブ〈三十五年の歴史(老舗の威厳)〉 ッ!!
「そうでいらっしゃいましたか」
「……社長」
「早速なんですけれども、先日念話(電話)でお話しした件」
「具体的にお話をさせていただいてもよろしいでしょうか」
俺は真剣な眼差しで話し始める。
「本日はまず、私どもの魔道指導学校の説明と、今回の魔法陣(仕組み)の説明をさせていただきます」

「あと社長のギルド(会社)の内容と、実際に魔導錬成(作図)のジョブ(仕事)内容を把握するためのメンバーの方をご紹介お願いします」
03:エンカウンター・オブ・ベテラン〈歴戦の古参兵〉
俺の説明が終わると、田中は深く頷き、早速奥に向かって手を挙げた。
「清水さん、ちょっとこっちに来てもらえるかな」
社長の声に呼ばれて姿を現したのは、年頃は40代中盤ぐらいで中肉中背の女性だった。
彼女は、身なりにはあまり気を遣わない職人肌のタイプなのだろう。
髪はボサボサで、ラフな出で立ちだった。

ドタドタと足音を立ててソファーの前にやってくる。
彼女は明らかに少し面倒そうな表情を浮かべつつ、ぶっきらぼうに挨拶をした。
「あー、どうも。清水です」
威圧的……………………………!!
そこには、現場の最前線で日々膨大な錬成(業務)をこなしている古参兵特有の近寄りがたいオーラ(個人の放つ威圧感)が漂っていた。
田中が少し苦笑いしながら清水を紹介する。
「ほら、この間話してた、うちのジョブ(仕事)を増やしてくれる件の担当の方たちだよ」
俺は立ち上がる。
ギルドカード(名刺)を差し出して深々と頭を下げる。
「今回、ギルド(御社)の担当となりました、異次元おじさんと申します」
「本日はよろしくお願いいたします」
背後に控えていた平野と山口も、緊張で声を上擦らせながら挨拶をした。
「実際の錬成(業務)の様子を見させていただきます、平野と申します!」
「山口と申します。本日はお時間をいただきありがとうございます!」

清水は無言のまま軽く頷き、ギルドカード(名刺)を受け取った。
俺は三つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!
「発動せよ……!」
エンカウンター・オブ・ベテラン〈歴戦の古参兵(現場担当者との対面)〉 ッ!!
その後___。
田中社長と俺はこれからの具体的なスケジュールについて詳細な確認を行った。
その間___。
平野と山口は清水に連れられて奥の術式(作業)スペースへと向かっていった。
悪魔的…………………………!!
ギルドマスター(社長)との濃密な打ち合わせも終わる。
俺は次のギルド(会社)の獲得に向けて、一旦東都校に戻ることにした。
俺は奥で作業を見学している平野と山口に向かって、軽く挨拶をする。
「二人とも、清水さんに迷惑をかけないように、しっかりと現場の理(業務の流れ)を理解してきてください」
そして清水の方に向き直り、改めて頭を下げる。
「清水さんも、本日は何卒よろしくお願いいたします」
俺は田中ギルドマスター(社長)にも深い感謝の挨拶を終え、田中産業の扉を後にした。
ここまでは、すべてが順調に進んでいるように思えた。
04:ティアーズ・オブ・ディスペア〈絶望の涙〉
俺が魔導指導学校(資格学校)の東都校に戻る。
執務の間(執務室)で他の業務の魔導錬成(PC作業)に没頭してから、およそ3時間が経過した頃だった。
バタンッ!
修練場(教室)の方で、扉が激しく開く音がした。
俺が驚いて顔を上げると、そこには田中産業の現場から帰還した平野と山口の姿があった。
戦慄的……………………………!!
しかし、二人の様子が明らかにおかしい。
肩は力なく垂れ下がり、その表情には深い疲労と、何よりも隠しきれない絶望の色が濃く張り付いていた。

「二人とも……おかえり」
「どうだった?」
俺が恐る恐る声をかける。
二人は俺のデスクに駆け寄り、涙目になりながら震える声で話しかけてきた。
破滅的……………………………!!
「異次元おじさん……」
「私たちには、あの業務を理解するのは到底できません……!」
絶体絶命的…………………………!!
平野の目からは、今にも涙が溢れ落ちそうだった。
山口も唇を噛み締め、絶望的な表情で俯いている。
俺は慌てて椅子から立ち上がり、泣き崩れそうな二人を抱えるようにして、その理由を問い詰めた。
「どうしたの!?」
「一体、現場で何があったの!?」
俺は四つ目の物理刃(自分軸)を心の中で高らかに詠唱した!
「いでよ……!」
ティアーズ・オブ・ディスペア〈絶望の涙(業務理解の崩壊)〉 ッ!!
理不尽的…………………………!!
魔導女師(女性講師)として、魔導指導学校(資格学校)で確かな魔法陣(技術)を教えてきたはずの彼女たちが、なぜここまで完全に心をへし折られているのか。
たった3時間の間に、彼女たちの身に何が起きたというのか。
「そ、それが………………」
平野が震える唇を開く。
田中産業の術式(作業)スペースで目撃した。
想像を絶する光景を語り始めた。

狂気的………………………………!!
現場を知らない俺たちの机上の空論が、無惨に打ち砕かれた瞬間だった。
彼女たちが見たものとは一体何だったのか。
いざ、次なる階層へ。
【次回予告:ダンジョン第57階層】
涙目で帰還した魔導女師たち!
彼女たちの心を完全にへし折った、老舗ギルドの恐るべき真実とは!?
たった3時間で何が起きたのか?
現場に潜む見えない壁が、俺たちの完璧な計画を根底から打ち砕く!
大魔女との約束の期限が迫る中、次なる一手をどう打つのか!?
絶対絶命のピンチに、おじさんのMPは再び限界突破の危機に!
次なる死闘が今、幕を開ける!
次階層を見逃すな!
最後までお付き合いありがとうございます。
一気にこれまでの概要を知りたい方はこちら👇️👇️
【迷宮の深淵へようこそ】
この 「クソゲー(社会)」 から強制ログアウトさせられた、時給1,100円スタートの男の生存戦略。

覚悟がある奴だけ、次のページをめくれ。
まさにこのダンジョンへの現在の最下層までの探索が一気にしたい冒険者はこちら👇️👇️
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