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(1)【人生は終わっていた。それでも、コーヒーは美味かった】人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。-失踪編-


■この物語は筆者の実体験をもとに執筆しています。
・正直、極限まで恥をさらしています。
・僕が生きてきた記録(ノンフィクション)です。
・ほぼ毎日更新を目指しています。


【人生は終わっていた。それでも、コーヒーは美味かった】


朝。

眠っていないのに、朝は来る。

自販機の前に立つ。

小銭を入れる。

コーヒーを押す。

出てきた缶を握る。

あたたかい

カフェインが全身にめぐる。

一口、飲む。

___美味い。

人生は、もう終わっていた。

それでも___

そのコーヒーは、
やっぱり美味かった。

僕の人生には、いつもコーヒーがあった。

稼いでいた時も。
夜逃げした時も。
ホームレスだった時も。

中学生の頃から、ずっとだ。

結婚した日。
子供が生まれた日。
自己破産した日。
うつ病と診断された日。
行政書士試験の日。

どんな日でも___
コーヒーだけは欠かさなかった。

どこから話そうか。

迷ったけれど、
27歳のあの日から始める。

東京都大田区・大森。

僕は便利屋を経営していた。
月収1000万円を超えることもあった。

ゴミ屋敷の片付け。
遺品整理。
夜逃げ後の部屋の処理。

"人の終わり"を片付ける仕事だった。

でも数年後___

僕は、その「片付けられる側」になる。

ある日、仕事が止まった。

たった1週間。

でも、それで十分だった。
休憩ぐらいに考えてた。

小さなズレが、
一気に崩壊へ変わる。

僕はヤミ金に手を出した。

利息は、週5割。

それでも最初は回っていた。

むしろ順調だった。

信用され、借入は増える。

そして___

払えない日が来た。

さらに追い打ちが来る。

広告を任せていた会社が、
僕の会社を乗っ取りに来た。

残ったのは、
数百万円の借金だけ。

その日。

僕は、売上の17万円を握りしめて
逃げた___。

夜逃げって、計画的に
できると思いますか?

できません。

夜にやると思いますか?

やりません。

怖いから。

ほとんどは——昼逃げです。

しかも、突然来る。

ご利用は計画的にできないのだ。

僕は"やり方"を知っていた。

仕事で見てきたから。

翌朝。

僕は名古屋行きの新幹線に乗った。

彼女が見送りに来てくれた。

泣きながら、駅弁と一万円を渡してくれた。

一万円札には、こう書いてあった。

「頑張って」

駅弁の名前を、今でも覚えている。

「21世紀出陣弁当」

人生のどん底に向かう僕と、
あまりにも不釣り合いな名前だった。


名古屋。

安いビジネスホテル。

恐怖。
孤独。
不安。

全部、まとめて押し寄せてきた。

眠れない夜。

プリペイド携帯を握りしめたまま___。

それでも朝は来る。

ここから、僕の名古屋生活が始まる。

【第2話】「終わっていないと思いたかった朝」へ




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■以下連載(ノンフィクション)
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「人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。」

【第一章・失踪編】
目次から読む
1話から読む

【第二章・新聞配達編】
目次から読む
1話から読む


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