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【発達障害】「またYouTube!?」ASD児にとってYouTubeは必要?不要?

「もうやめなさい!」
「いい加減にしなさい!」
「目悪くなるよ!」

朝起きてYouTube。
学校から帰ってきてYouTube。
ご飯食べながらYouTube。
お風呂上がりもYouTube。
寝る前もYouTube。

そんな声が、
毎日家中に響いていませんか。

取り上げると癇癪を起こす。
隠すと探し出す。
没収しようものなら大事件になる。

「うちの子、
 YouTube中毒なんじゃ……」

そう不安になる方は多いと思います。

スマホ脳。
依存症。
視力低下。
コミュニケーション能力の低下。

世間からの警告は、
本当に山ほど聞こえてきます。

でも、ちょっと待ってほしいのです。

ASD特性のある子にとって、
YouTubeは単なる娯楽ではありません。

むしろ、
ある意味で「必要」な側面があります。

今日はそんな話を書いてみます。



ASDの子とYouTubeの相性が良すぎる理由

なぜASDの子は、
YouTubeにここまでハマるのか。

理由はシンプルです。

脳の特性と相性が良すぎるからです。

一つずつ見ていきましょう。

まず、予測可能性。

YouTubeは、
何度でも同じ動画を再生できます。

次に何が起きるか、
完全に分かる。

ASDの脳は、
「予測できないこと」に対して
強い不安を感じる特性があります。

実生活は予測不可能の連続です。

教室で何が起きるか分からない。
友達がどう反応するか分からない。
先生が何を言うか分からない。

でもYouTubeの中では、
すべてが完璧に予測できる。

何度見ても同じセリフ、
同じ展開、同じオチ。

ASDの子にとって、
これは何より安心できる世界なのです。

次に、刺激のコントロール。

音量、明るさ、停止、巻き戻し。
すべてを自分の意思で操作できる。

感覚過敏のある子にとって、
これは死活問題です。

実生活では、
音や光を自分でコントロールできません。

教室の喧騒、
電車の中の音、
スーパーの蛍光灯。

外の世界では、
刺激は一方的に降ってくるもの。

でもYouTubeの中では、
すべての刺激が自分の手の中にあります。

うるさければ音量を下げる。
怖ければ止める。
もう一度見たければ巻き戻す。

この「自分でコントロールできる」感覚が、
ASDの子の脳を落ち着かせるのです。

そして、特化した興味への深掘り。

電車、恐竜、マインクラフト、
特撮、料理、虫、宇宙、ゲーム実況。

ASDの子の「好き」は、
本当に深い。

YouTubeはその深さに、
ほぼ無限に応えてくれます。

地上波テレビでは
絶対に得られない情報の細部まで、
いくらでも掘れる。

電車一つとっても、
車両の型番、走行音、運転席の映像、
製造工場のドキュメンタリーまで、
すべて見られる。

最後に、社会性のバッファ。

直接の人間関係は、
ASDの子にとって本当に疲れるものです。

表情を読む。
トーンを読む。
空気を読む。

その負荷は、
定型発達の人が想像する何倍も大きい。

でも画面越しのYouTuberとの
「一方通行の関係」は気楽です。

リアルの人間関係で消耗した脳を
回復させる役割を、
YouTubeは果たしているのです。

つまりYouTubeは、
ASDの子にとって「逃避」ではありません。

「補給」です。


YouTubeが果たしている見落とされがちな役割

世間ではYouTubeの悪い面ばかり強調されますが、
ASDの子にとっては
果たしている役割が大きいのです。

クールダウンの装置。

学校で過剰適応していた子が
帰宅後にYouTubeに張り付くのは、
脳の回復行動です。

前回の記事で、
過剰適応について書きました。

学校で全力を出し切って、
ガス欠寸前で帰ってくる子。

そんな子に必要なのは、
対話でも、
勉強でも、
習い事でもなく、
「何も求められない時間」です。

YouTubeはそれを提供してくれます。

「だらだらYouTube見てる時間」が、
実は明日学校に行くための
必要な充電だったりするのです。

学習ツールとしての一面もあります。

マインクラフトの建築技術、
英語、プログラミング、歴史、化学。

学校の授業より深く学んでいる子も、
珍しくありません。

「好きなことしか集中できない」
のではなく、
「好きなことなら異常に集中できる」
のがASDの強み。

YouTubeはその強みを、
最大限に発揮できる場です。

うちの息子も、
ある分野については
私が知らない情報を
山ほど持っています。

YouTubeで覚えた知識ですが、
それは間違いなく
彼の世界を広げています。

社会との接点という側面も見逃せません。

同じ趣味のYouTuberや
視聴者コミュニティを通じて、
リアルでは得にくい
「自分と似た人」の存在を
知ることができます。

「自分一人じゃない」
と感じられる場所。

リアルの教室では浮いてしまう子が、
YouTubeの中で
自分と同じ熱量で
電車や恐竜を語る人を見つける。

それは小さな救いです。

これらをすべて
「ただの暇つぶし」と切り捨てるのは、
あまりにもったいない。


それでも気になる「やりすぎ」問題

ここまで擁護してきましたが、
もちろん「無制限でいい」と
言いたいわけではありません。

問題は、
「YouTubeを見ること」ではなく、
「他の活動が極端に減ること」と
「コントロールが効かなくなること」です。

注意すべきサインを挙げます。

睡眠時間を削ってまで見ている。
食事中も手放せず、
食事のリズムが崩れている。
YouTubeを取り上げると、
激しい癇癪が長時間続く。
体を動かす時間が
ほぼゼロになっている。
他の好きだった活動への
興味が消えている。

短時間の癇癪は普通です。
誰だって楽しい時間を
中断されたら不機嫌になります。

問題は「程度」です。

これらが揃ってきたら、
生活全体のバランスを
見直すサインです。

ただし大事なのは、
原因はYouTube単体ではない、
ということ。

「他に逃げ場がない」ことが
原因であることが多いのです。

学校で消耗する。
家ではYouTubeしか
回復手段がない。

この構図ができあがっていると、
YouTubeを取り上げるだけでは
何も解決しません。

YouTube依存に見える子が
本当に必要としているのは、
「YouTubeの禁止」ではなく
「別の安全な逃げ場」です。


声かけと関わり方のコツ

「やめなさい!」が
なぜ効かないのか。

脳がYouTubeに没入しているとき、
突然の「やめなさい」は、
ASDの子にとって
認知的な急ブレーキです。

これまでの記事で繰り返し書いてきた
「予測できない切り替え」が、
脳に強い負荷をかけている状態です。

だから怒鳴るほど、
癇癪は強くなる。

効くアプローチを紹介します。

まず、予告すること。

「あと10分で終わりだよ」
「この動画が終わったら一回休憩ね」

終了のタイミングを、
事前に伝えてください。

突然の停止ではなく、
予測可能な終了に変える。

これだけで切り替え時の
癇癪はかなり減ります。

時間ではなく「動画単位」で
区切るのも効果的です。

「30分まで」より
「この動画あと3本まで」のほうが、
ASDの子には分かりやすい。

時間という抽象的な概念より、
「動画の本数」という
具体的な単位のほうが
処理しやすいからです。

途中で切られるより、
最後まで見終われるほうが
満足度が高く、
結果的に切り替えやすくなります。

代わりの活動を提案するのも大切です。

「やめなさい」だけだと、
脳に空白が生まれます。

「YouTube終わったら
 一緒に夕飯作ろう」
「外で散歩しようか」

次の楽しみと
セットで提示してみてください。

「奪われる」ではなく
「次に進む」感覚に変わります。

そして、内容に興味を持つこと。

これが意外と大事です。

「何見てるの?」と聞いて、
その子の好きな世界に
入っていってみてください。

共有することで、
YouTubeが
「親に怒られるもの」から
「親と話せるもの」に変わります。

会話のきっかけにすらなる。

うちでは、
息子が好きなYouTuberの話を
私から振ることがあります。

「あの人、最近こんな動画あげてたね」と。

それだけで息子は
驚くほど嬉しそうに語り始めます。

最後に、家族の時間を
別に設計すること。

YouTubeを禁止するのではなく、
「YouTubeを見ない時間」を
別に確保する。

食事は全員でテーブルにつく。
寝る前30分は本を読む。
土曜の朝は外に出る。

禁止より「別枠」のほうが、
子どもには受け入れられやすいのです。


親自身の罪悪感を手放す

最後に、親御さんに伝えたいこと。

「YouTubeばかり見せていて、
 ダメな親かもしれない」

そう自分を責めている方へ。

SNSや育児書では
「画面時間を減らしましょう」
という情報があふれています。

比較して落ち込む親御さんは
本当に多い。

でも、
定型発達の子向けの基準を
ASDの子にそのまま当てはめる必要は、
ありません。

発達特性のある子にとって、
YouTubeが「必要な道具」になっている側面を、
どうか否定しないでほしいのです。

一日中べったりではなく、
適切な配分の中で使うなら、
それは「ダメな育児」ではなく
「特性に合った育児」です。

罪悪感は手放していいのです。


YouTubeはツール、扱い方次第

YouTubeは、
敵でも味方でもありません。

ただのツールです。

ASD特性のある子にとっては、
相性が良すぎるツール。

だからこそ、
扱い方次第で
「依存」にもなれば、
「成長の道具」にもなる。

大事なのは、
「禁止か放任か」の二択ではありません。

「どう付き合うか」を、
子どもと一緒に作っていくこと。

「YouTubeばかり見て」と嘆く前に、
「この子はYouTubeから
 何を得ているんだろう」と、
一度立ち止まって
観察してみてほしいのです。

きっと、
見えてくるものがあります。

そしてその観察こそが、
あなたの子の世界を
誰よりも深く理解する第一歩になります。


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