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「座りたいのに座れない」じっとできない子にやってはいけないこと

授業参観で、 我が子だけが椅子に座っていない。

周りの子はきちんと手を膝に置いているのに、
うちの子だけがウロウロ、ソワソワ。

他の保護者の視線が背中に刺さる。

「なんでうちの子だけ、 座っていられないんだろう…」

その気持ち、痛いほどわかります。

でも、今日この記事を読み終えた後、
その「なんで?」の答えが変わるはずです。



教員時代、私はその子を叱り続けた

私が教員をしていた頃、
45分の授業で
5分しか椅子に座っていられない子がいました。

当時の私は、
毎日のように叱っていました。
「なんで座っていられないの!」
「みんなは座ってるよ!」と。

ある日、その子に聞いてみたのです。
「どうして座っていられないの?」と。

返ってきた答えに、 私は言葉を失いました。

「ぼくもみんなみたいに座りたい」

……座りたいのに、座れない。

彼は、ふざけていたのではなかった。
サボっていたのでもなかった。

座りたいのに、 体が言うことを聞かない。

それが「多動」の正体だったのです。


「パンツの中にアリがいる感覚」

ADHD(注意欠如・多動症)の当事者が、
多動の感覚をこう表現しています。

「パンツの中にアリが入ってしまった感覚」
だと。

想像してみてください。

今、あなたのパンツの中に
アリが何匹も入り込んでいるとしたら。

じっと座っていられますか?

絶対に無理ですよね。
誰だってモゾモゾして、
立ち上がって、 なんとかしようとするはずです。

彼らは毎日、
そのアリと戦いながら 教室にいるのです。

それなのに、
「座りなさい!」と叱ることは、
目が見えない子に
「ちゃんと見なさい!」と
怒鳴るのと同じくらい、
残酷で的外れな行為だったのです。

教員時代の自分を殴りにいきたい気分です。

以前の記事で
「『落ち着きなさい!』は逆効果」 という
脳のメカニズムについて書きましたが、
今日はその手前にある、
もっと根本的な話をしています。

そもそも彼らは「落ち着きたい」のに
「落ち着けない」のだ
ということ。

ここを理解しないまま 対処法だけ知っても、
叱る回数は減らないのです。


「5分しか座れない」を「5分座れた」に変える

ここで、一つ試してほしいことがあります。

パンツの中にアリがいる状態で、
仮に5分間座れたとしたら。

それは
「たった5分しか座れなかった」
でしょうか。

私はそう思いません。

アリと戦いながら5分耐えた。
それは、ものすごい努力の証
です。

同じ事実に対して、
180度違う見方ができるのです。

「5分しか座れないの!フラフラしちゃダメ!」
→ 子どもは思います。
「一生懸命やっているのに…どうせぼくなんか…」

「5分座れたね!頑張ったね!」
→ 子どもは思います。
「ぼくにもできた!また頑張ろう!」

同じ5分間なのに、
声のかけ方一つで、
子どもの心の行き先が真逆になるのです。

以前「自己肯定感より育てるべき『自尊心』」
の記事でも書きましたが、
子どもの行動を「評価」するのではなく、
行動した「事実」を認める

これが、かれらの心を守る鍵です。


「困った子」ではなく「困っている子」

多動の子を見ると、
私たち大人はつい 「困った子だな」と思ってしまいます。

でも、一番困っているのは
子ども本人なのです。

座りたいのに座れない。
静かにしたいのにできない。
頑張っているのに叱られる。

その繰り返しの中で、
子どもの自己肯定感は 少しずつ削られていきます。

だからこそ、
叱って「困った行動」を減らそうとするのではなく、
座れている瞬間に気づいて、
そこを認めてあげてほしいのです。

大げさにほめなくていい。

「座ってるね」

たったこの一言でいいのです。

子どもの行動をそのまま言葉にするだけで、
子どもは 「お父さん(お母さん)は見てくれている」
と感じます。

その安心感が、 アリと戦う力を与えてくれるのです。


最後に

教員時代、
「5分しか座れないの!」と
毎日叱り続けていた私に、
あの子は教えてくれました。

「ぼくもみんなみたいに座りたい」と。

あの一言が、 私の教員人生を、
そして父親としての子育てを、 根本から変えてくれました。

お子さんが座れないのは、
しつけのせいでも、
やる気がないからでもありません。

パンツの中のアリと、
毎日必死に戦っているだけなのです。

だから今日から、
「座りなさい!」を飲み込んで、
座れている瞬間に 「座ってるね」と
声をかけてあげてください。

その一言が、 お子さんにとって
何よりのお守りになるはずです。


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