「いい子だね」がNGな理由と、自己肯定感より、育てるべき「〇〇心」について
発達障害の育児書や、ネットの子育てコラムを開けば、
必ずと言っていいほどこう書いてあります。
「発達障害の子は自己肯定感が下がりやすいので、
とにかくたくさん褒めて育てましょう」
この言葉に呪縛され、毎日必死に「褒めポイント」を探して、
無理にテンションを上げて疲弊している親御さんや
支援者の方はいませんか?
はい、私です。
以前の私は、元教員というプライドもあり、
「とにかく褒めなきゃ!」と、息子の行動に対して
大げさなほど声をかけていました。
「すごいね!」
「やればできるじゃん!」
「偉い! いい子だね!」
でも、ある時気づいたんです。
私が褒めちぎれば褒めちぎるほど、息子はなぜか不機嫌になったり、
「どうせ次もできないし」とプレッシャーを感じて
動けなくなったりしていることに。
良かれと思ってやっていた「褒め育児」が、
実は息子を追い詰めていたのです。
今回は、「テンプレ通りの褒め言葉」が
なぜ呪いの言葉になってしまうのか。
そして、私たちが本当に育てるべき「〇〇心」についてお話しします。
凸凹キッズを追い詰める「2つのNGな褒め言葉」
発達支援の現場でも、そして家庭でも、
大人が無意識に使ってしまいがちな「2つの褒め言葉」があります。
実はこれ、特性のある子には逆効果になることが多いのです。
【NGワード①】
「いい子だね!」(人格への評価)
ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つ子は、
物事を「0か100か」で極端に捉える「白黒思考」になりやすい傾向があります。
そんな彼らに「これをして、いい子だね」と褒め続けるとどうなるか。
脳内で「これをしないと、自分は悪い子なんだ」と
極端に変換されてしまうのです。
「常にいい子でいなきゃ愛されない」という強烈な不安を生み、
大人の顔色ばかりを伺うようになったり、
少しでも失敗すると「自分は悪い人間だ」と
深く傷ついたりしてしまいます。
【NGワード②】
「やればできるじゃん!」(結果への評価)
これは特に、ADHD(注意欠如・多動症)の傾向がある子を
苦しめる言葉です。
彼らは「能力がない」のではありません。
脳の覚醒具合や衝動性によって、
自分の意思で「コントロールできない」ことに一番苦しんでいます。
たまたま上手くいった時に
「やればできるじゃん!」と褒められると、
「じゃあ、やれなかった時の自分はダメなんだな」
「次はできないかもしれない、どうしよう」という
プレッシャーに押しつぶされ、
新しいことに挑戦できなくなってしまうのです。
自己肯定感なんて、無理に育てなくていい
ここで、皆さんの「育児の常識」をひっくり返します。
自己肯定感なんて、無理に育てようとしなくていいんです。
「自己肯定感」というのは、
「自分はできる」「優れている」という
【成功体験】に依存した自信です。
しかし、特性によって日常生活の中で
どうしても失敗や怒られることが多くなってしまう彼らに、
成功ベースの自信だけを積み上げさせるのは、
土台のグラグラしたジェンガを積むようなもので、
とても脆く、苦しい作業です。
発達支援において、私たちが本当に育てるべきもの。
それは自己肯定感ではなく、「自尊心」です。
自尊心とは、
「失敗しちゃった自分も、ダメなところがある自分も、まあいっか」と、
ありのままを受け入れる力のことです。
これさえ育っていれば、社会に出て壁にぶつかっても、
ポキッと折れずにしなやかに生き抜くことができます。
私が実践する「承認ルール」
では、自尊心を育てるためには、どう声をかければいいのか?
答えはとてもシンプルです。
親の「評価(ジャッジ)」を捨てて、
「行動の事実だけを実況中継(承認)する*のです。
×「おもちゃを貸してあげて偉いね! いい子だね!」→(評価)
〇「おもちゃ、貸してあげられたね→(事実)。
お父さん嬉しいな(アイメッセージ)」
結果や人格を褒めるのではなく、
行動したという事実を言葉にして認めるだけ。
たったこれだけで、子どもは
「あ、お父さんはちゃんと自分を見てくれている」と
深い安心感を得ます。
そしてこの実況中継は、「失敗した時」にこそ最大の威力を発揮します。
×「また途中でやめちゃって、ダメだったね」
〇「今日は、途中まで座っていられたね」
「やろうとしてノートは開けたね」
結果的に失敗したとしても、
「やろうと行動を起こした事実」は消えません。
そこを認めてあげることで、
「失敗しても自分は否定されないんだ」という
絶対的な安心感(自尊心)が育っていくのです。
親も「完璧な親」を降りよう
毎日育児に追われる中で、
「あの子を褒めなきゃ、自己肯定感を育てなきゃ」と、
無理に高い声を出して疲弊している親御さん。
もう、無理に褒めなくて大丈夫です。
親自身が「評価する立場」を降りて、
ありのままを実況中継する「良きアナウンサー」になるだけで、
親も子も、驚くほど肩の力が抜けてラクになります。
今日から「いい子だね」という言葉を飲み込んで、
お子さんの「事実」をそのまま認めることから始めてみませんか?
【お知らせと予告】
いつも私のnoteを読んでくださり、ありがとうございます。
最近、本当に多くの親御さんや現場の先生から、
「家や外で子どもがパニックを起こした時、
どう対応すればいいかわからない」という切実なご相談をいただきます。
そこで近々、私が現場で使い倒している
『パニック・癇癪を最速で鎮める対応マニュアル』をnoteで公開する予定です。
本当に悩んでいる方にだけ届けたい
「泥臭い実践知」を
詰め込んでいますので、
ぜひフォローしてお待ちいただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
