#夏の1コマ『森を浮遊』
フォトコン「#夏の1コマ」に参加します。

森を浮遊
平和台公園の森である。
宮崎市の高台にある、はにわ園で有名なあの公園の、その奥の森である。
夏の森というものは、うるさいくらいに静かなのであった。セミが鳴き、葉が鳴り、それなのにしんとしている。緑が濃すぎて、空気まで薄い緑色をしているような気がしてくるのである。
そういう森の中に立っていると、人間はだんだんおかしなことを考え始める。
浮けるのではないか、と思ってしまったのである。
全身黒ずくめの服を着てきたのがいけなかったのかもしれない。黒い服で森に入ると、人はどうしても忍者の気分になる。忍者といえば浮遊である。理屈はよくわからないが、そういうことになっているのである。
三脚を立てる。セルフタイマーをセットする。ピピピと鳴る10秒のあいだに山道を駆け、緑の空気を蹴って、よいしょと跳ぶ。
跳ぶ。落ちる。カメラに戻る。また跳ぶ。
木漏れ日の下でこれを繰り返す黒ずくめの男。ハイキングの人がひょっこり現れたら、いったい何と説明すればよかったのか。考えるだけで冷や汗が出る話なのであった。
それでも写真の中のオレは、緑の中に静かに浮かんでいる。
千数百年前のはにわたちも、すぐ近くの丘で、同じようにとぼけた顔をして立っている。
案外あいつらも、夜になったら浮いているのかもしれない。
フォトコン「#夏の1コマ」に参加します。
AI画像ではありません。
三脚を立てて、セルフタイマーでよいしょと撮影しました。
場所は宮崎市の平和台公園です。
受講生様のnoteです。

